【Review】第13節 vs. 三菱重工相模原ダイナボアーズ

2026.04.03

前半に3トライをリード。相手がアタックする機会を阻み、試合をコントロールして8勝目

残すところ6試合。6位以上進出条件となるプレーオフに向かって一歩ずつ前進するリコーブラックラムズ東京(BR東京/7勝5敗/5位)は、東京・秩父宮ラグビー場に三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB/4勝8敗/10位)を迎えた。試合の入りからアグレッシブなプレーを見せるも、相模原DBの猛烈な抵抗にミスやカードが出て思うように引き離せずにいたが、前半の終わりにFBアイザック・ルーカスのランを足がかりにした2トライで試合の流れを掴む。後半開始直後のトライで点差を拡げると、その後も長く相手陣に留まり試合をコントロール。追加点はなかなか獲れずにいたが、試合終了直前にPRパディー・ライアンのトライが生まれ33-7(前半21-0)で勝利。3トライ差をつけたことによるボーナスポイント1を加えた勝ち点5を獲得。なお、同一シーズンでの同じ相手からの2勝はリーグワンではチーム初となる。

通算成績は8勝5敗、総勝ち点を36とし5位をキープ。4位の東京サントリーサンゴリアスとの勝ち点差は2に、6位の東芝ブレイブルーパス東京との勝ち点差は10となった。プレーオフのボーダーとなる7位の三重ホンダヒートとの差は11。残り試合は5試合となっている。

FLフィリックス・カラプがリーグワン8試合目にして初の先発を掴み、PR谷口祐一郎、LO山本嶺二郎、CTBラズロー・ソード、HO大内真ら復帰組が加わる布陣で挑んだ一戦。BR東京はアタックでもディフェンスでも、チームとしてのビジョンの共有をうかがわせた。ハンドリングやキックでのミスがなかったわけではないが、そうしたものが出ても組織でカバーし、気がつけばボールを取り戻し、押し込まれた自陣から脱しているという場面が続いた。

前半12分に迎えた最初のチャンスでトライゾーンにボールを運んだが、映像判定後にキャンセル。しかし、直後の16分に前回の相模原DB戦(第6節)以来の出場となったCTBラズロー・ソードの伸びやかかつ鋭いランでチャンスをつくり、FBアイザック・ルーカスが仕留め先制。前半27分にインターセプトを狙ったWTB西川大輔にデリバレートノックフォワードでイエローカードが出たが、ここも組織でカバーした。

「自分たちにはフィットネスがあります。(略)14人になっても、ボールインプレー(試合をきらず、フィールドにボールを残し続けた状態)でやれる自信がありました。今日はこの時期にしては暑かったのですが、だとしても、6、7、8フェーズと重ねながら戦っていく自信があったんです」(SH TJ・ペレナラ)

相手が数の優位を活かそうとボールを動かしてきても、対応できる自信があったとキャプテンは誇る。実際、不利をほとんど感じさせることなく戦い、逆に相手のディフェンスを動かしスペースをつくって破ってみせた。セイムピクチャー、フィットネス、そこに安定したモールとスクラムがあれば、多くの状況に対応できることをわかりやすく示した。

前半35分、FBルーカスの突破からつくったチャンスでゴール目前のスクラムを得ると、これをドミネート。空いたスペースでBKが仕留めにいき、ここもルーカスのトライで加点。前半終了直前には、ホーン後も隙を狙っていたWTBメイン平がブレイク。繋いだSO中楠一期がトライを奪い(前半41分)、3トライをリードして前半を終えた。

後半も開始早々にNO8ファカタヴァアマトがスピードを見せ突破。迫るディフェンスをはねのけてトライを奪い26-0(後半2分)。その後もチャンスは訪れたが獲りきれない時間が続く。そこから反則が重なり自陣に入られトライを許した(後半31分)。

「4、5フェーズでターンオーバーしてるんですよ。10フェーズ、15 フェーズでトライを獲れればいいと思うんですけど。少し獲り急いでいるっていうのはあるのかな」(FL松橋周平)

「どうなのかな。わからないんですけど、もしかしたら少し気の緩みもあったかもしれないです。僅差の戦いをしていたときなら与えていなかったトライだったとは思うので」(FL山本秀)

それでも、試合の最終盤まで相手に主導権を渡すことなく攻めた。後半に限れば6割程度は敵陣にいたとみられる。

「そこ(22m内)に長くいることができたので、あまりディフェンスをせずに済んでいたともいえます。今日は自分たちが達成したいことは達成できたのかな」(SH TJ・ペレナラ)

試合終了直前には、22m内のスクラムからアタックし、SH髙橋敏也からパスを受けたPRパディー・ライアンがギャップを突き、自ら持ち込んでポスト左にトライ。チーム最年長のプレイングコーチが、歯がゆさを歓喜に昇華しノーサイド。

プレーヤーオブザマッチには、多くのチャンスをつくり2トライを挙げたFBアイザック・ルーカスが選出。今季2度目の受賞となった。

「自分の役割以上のことをしようとする選手はいないし、役割を果たさない選手もいない」(LOアラダイス)

「ここのところは毎週『今週が大事だぞ』って言っていたんです。それだと飽きてくるじゃないですか(笑)。それで、なぜ今週が大事なのかを、もう少し先を見ながらチームで確認したんです。例えば、今までは近い順位の相手に1回は勝つけれど1回は負けるみたいなことが多かった。でも、三菱(相模原DB)に2回勝って、ホンダ(三重H)に2回勝って、トヨタ(トヨタV)に2回勝ったら、ほぼトップ6にいける状況が来ている。だから、そういう(1度は勝てるが1度は負けてきたような)相手に続けて勝てる、新しいブラックラムズを見せようと」(FL松橋周平)

リーグワンは大激戦となっており、1つの敗戦が状況を変え、プレーオフ進出という目標達成に影響してくる状況にある。一戦一戦が重要で息つく間のない日々が続く。そんな中でチームを硬直させないための工夫か。チームは目前の試合に集中しながらも、少し未来のありたい姿にもピントを合わせて戦った。

勝つための方策としては、ディフェンスにフォーカスした。

「相模原DBにはビッグボールキャリーがいるので、ディフェンスを2人ボールキャリーに当てる。ダブルショルダーと呼んでいますが、それで相手のボールをスローダウンさせ、ゲインラインの前で止めようとしていました。そこはできた部分もあったんじゃないかと思います」(LOマイケル・アラダイス)

接点で前に出てクイックボールをつくり、テンポを上げていくようなフェーズアタックは、ほぼさせなかった。接点での対応に加え、アタックでミスが出た後の対応、キックなどを使ったテリトリー管理にも成功し、敵陣でボールを保持する時間を長く保てたことも失点抑止に繋がった。タイトなゲームが増えてくる終盤戦を前に、強固な守りを見せられたことは大きい。7失点はチームとしてのリーグワンでの最少失点タイだった(入替戦を除く)。

アタックでは5トライを奪った。敵陣深くに入っていた時間が長く、その分仕留めきれなかったように映る場面も増えたが、そこに付け込まれて流れを変えられることはなかった。LOアラダイスは、適切なディフェンスとアタックで試合をコントロールしたチームをこう評する。

「それぞれが自分の役割を果たしています。リーダーはリーダーの役割をするし、他の選手たちも自分の仕事、例えばスクラムだったらスクラムでしっかり仕事をする。(無理をして)自分の役割以上のことをしようとする選手はいないし、役割を果たさない選手もいない。だから、それぞれの仕事がシンプルで明確になっている。それが僕たちにとって効果的なやり方になっていると思います」

「自分の役割以上のことをしようとする選手がいない」という指摘は興味深い。様々な要素を考慮し適切に割り振られている役割。それぞれがその内側でベストを尽くせば、チーム全体のベストに繋がる。そうしたシステムへの信頼が一貫性のある戦いができていることの背景にある。

試合前日にはJAPAN TALENT SQUADプログラム2026トレーニングスコッド(JTS)とトレーニングマッチを実施

試合の前日、3月28日(土)には東京・リコー総合グラウンドにて、日本代表として世界の舞台での活躍を目指す23歳以下の選手たちによるJapan Talent Squad (JTS) との練習試合を実施。BR東京はノンメンバーたちが、相模原DB戦に向けてのサポートと並行しながら練習生と準備を重ね立ち向かった。序盤にFLに入ったシオペ・タヴォとLOファカタヴァタラウ侍がトライを奪い、SO堀米航平がCVを成功させ14-0と先行したが、JTSはハイテンポなアタックを80分間貫く一貫性を見せる。前半の中盤以降にうまく加点され、21-61(前半14-21)で敗れた。

「(ノンメンバーとして)相模原DBのアタックのコピーにフォーカス当てていたので、(練習試合への)準備期間は少し短かったんですけど、自分にできることにフォーカスしようと考えて入りました。JTSの速いスピードに苦しめられる場面もあったんですけど、その中でも自分をアピールできていた選手もいたと思います。個人的には、オーバーエイジとして参加したU20日本代表の合宿で一緒だったメンバーが多かったので、やっていて面白かったです」(CTB秋濱悠太)

「80分間やりきりたかったんですけど。そこは課題ですね。練習もハードにやった上で(練習試合で)自分たちの力を試せるといういい機会だったんで。リカバリーの仕方だったり、試合への持っていきかたみたいなところはもっとできるのかなと。ラインアウトも練習生が1週間一緒に準備して適応してくれました。結果がついてきたかなとは思います」(LO岸佑融)

プレーヤーズプレーヤーにはFLシオペ・タヴォ、SH南昂伸、LOファカタヴァタラウ侍が選出された。

次節14節は4月5日(日)13:00より、東京・秩父宮ラグビー場で行われるホストゲーム、コベルコ神戸スティーラーズ(神戸S/11勝2敗/3位)戦となる。今年1月、第5節の対戦では21-67(前半7-34)と引き離されて敗れた。果敢に攻めていく中で失ったボールをトライまで繋げられる場面が重なった結果だが、アタックでのボールロストはコントロールされてきており、発生した際の攻守の切り替えも試合を追うごとに改善されてきたように映る。

神戸Sはどちらもリーグ最多となる575点、86トライを記録。高い攻撃力で突き進んできたチームに対し、ここ数試合高いクオリティを見せているディフェンスで失点を抑え、流れを掴めるかはポイントとなりそうだ。自分たちの力を試す上で最高の相手に全力でぶつかり、さらに自信を深める一戦となることに期待したい。

「PCAクラウドマッチデー」として開催。試合終了後には特別表彰も

この試合はピー・シー・エー株式会社の協賛による「PCAクラウドマッチデー」として開催した。試合終了後には、ピー・シー・エー株式会社より特別表彰を実施。「PCAクラウド賞」には、FBルーカスが選ばれた。

監督・選手コメント

タンバイ・マットソンヘッドコーチ

ハッピーです。勝ったことによって、トップ6に入るという目標に向かっていく道をキープできたので。今日はそこが一番のポイントかなとは思います。

SH TJ・ペレナラキャプテン

アグリーですね。シーズンや目標を考えたとき、今日はすごく大事な日でした。もちろんゲームの一部にはまだまだ改善できるところもあります。後半は相手の22mの中に留まることができました。いろいろなことがあってコンバージョン(スコアに)できなかった場面もあったのですが、そこに長くいることができたので、ディフェンスをせずに済んでいたともいえます。今日は自分たちが達成したいことは達成できたのかな。

来週はビッグウィークが待っています。皆さんもご存知かと思いますが、前回の神戸S戦は大量に失点してしまいすごく悔しい思いをしました。チャレンジが待っていることはわかっていますが、楽しみでもあります。

質疑応答

——ここに来て安定感が出てきている

マットソンHC:それが目標だったので。目標はトップ6と言っていますが、(そのポジションは)安定していないと目指せません。今シーズンはリーダーたちがすごくよくやってくれてます。今日もリーダーシップグループのマツ(FL松橋周平)は素晴らしかったし、ご覧の通りTJもリーダーとしてよくやってくれました。トレーニングでも、彼らがしっかりリードしてくれるから質を安定させることができています。チームメイトにも高いレベルを求めてくれています。

今日はいいスタートをきることにフォーカスしていました。いつもはどちらかというと、フィニッシュがいい感じで最後に逆転する流れが多かったと思うのですが、今日はしっかりとした意図を持ってプレーをして、いいスタートがきれました。後半は実行力の部分で少し求めていた通りにはいきませんでしたが、ボーナスポイントが獲れたのは、ここまで一貫性を持って取り組んできたことの成果なのかなとも思います。

——フィニッシュのところ(後半40分)はPRパディー・ライアンが仕留めた

マットソンHC:フロントローの選手が走ってラインブレイクを狙うのはよくない。

TJ・ペレナラ:よくないね。

マットソンHC:数年後には「50mくらい走ってトライした」って言っていると思うよ。

TJ・ペレナラ:きっと言うね。

※BK出身のマットソンHCとTJのジョーク

——14人になった時間帯に意識していたことは

TJ・ペレナラ:自分たちにはフィットネスがあります。プレシーズンもしっかりやってきましたし、試合までの1週間のトレーニングを通じて、たくさん走れてハイテンポでプレーできるようにコンディショニングしています。だから14人になっても、ボールインプレー(試合をきらず、フィールドにボールを残し続けた状態)でやれる自信がありました。今日はこの時期にしては暑かったのですが、だとしても、6、7、8フェーズと重ねながら戦っていく自信があったんです。

14人対15人になると、15人のチームはボールをキープしたいものです。だから、ボールインプレーのフェーズが長くなる。ですので、14人になったときには「相手はボールキープする。でもうちにはフィットネスがあるから大丈夫」「次の10分は自分たちに合った状況だ」とリーダーがチームに伝えました。その10分は自信を持って戦えたと思います。

——相手を1トライに抑えた今日のディフェンスのパフォーマンスについて。

マットソンHC:そこは今日勝つための重要なポイントだという話をしていました。TJも言っていましたが14人になったときにスコアさせませんでした。早い時間帯の相手のチャンスでスコアされなかったのは少しラッキーだったかなとは思いましたが、10点以下に抑えられたので、基本的にはゲームを支配できたと言ってもいいのかなと。すごく誇りに思います。

——元NZ代表のSHブラッド・ウェバーとの対決について

TJ・ペレナラ:対戦できてよかったです、結構久しぶりだったと思います。彼は前はフランスでプレーしていて、今シーズンから日本に来て、この舞台でウェービーと対戦するとは思っていなかったので予想外でした。すごくいい友人なので、ダイナボアーズに加入したと聞いたときはすごくワクワクしていたんです。キャリアを通じて何度も対戦し、同じチームでプレーしたこともありました。困ったことがあったときに相談する信頼できる仲間。素晴らしい人間なんです。試合では戦うことになりますが、フィールド外での関係は何よりも大切なものだと思っています。日本でハッピーに過ごしているようで、それは僕も嬉しい。プレーを続けるかを考えたこともあったようなのですが、日本でプレーすることで改めてラグビーへの愛が高まってきたらしいです。そこは僕も共感するところです。

試合ハイライト

 

■公式ファンクラブ『RAMOVE』限定コンテンツとして、選手インタビューを公開しています。マイページよりログインいただきご覧ください。

■試合結果はこちら https://blackrams-tokyo.com/score/score.html?id=445

文:秋山 健一郎

写真:川本 聖哉、ブラックラムズ東京

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