第67弾:選手を支えるコーチ陣の横顔 4
Inside the RICOH BlackRams
2013.01.23
選手たちを日々サポートするコーチ陣。これまでのキャリアに関するエピソードはじめ、人となりなど、ファンの皆さんと普段あまり接する機会が少ないコーチ陣の横顔を紹介します。
リコーのラグビーは、さらに“安定感”を増すと信じている。( ヒュー ディビス ストレングスコーチ)
10年に及んだイングランドのプレミアシップ・ロンドンワスプスでのコーチングを離れ、2012年日本にやってきたヒュー ディビスストレングスコーチは29才。今シーズンのリコーのコーチ陣では最も若い。
大学時代はスポーツ運動科学を学びながら自らもラグビーをプレー。大学3年生だった2002年、インターン的に加入したワスプスでの働きが認められ、そのまま正式なスタッフとして契約。大学生とコーチ、二足のわらじを履き翌03年に卒業を果たした。以来10年間、数々のタイトルを獲ったワスプスの2000年代を支えた。
コーチの仕事のやりがいについて、 ディビスコーチはこう話す。
「一番のやりがいは、選手が成長して、ポテンシャルを見せる場面に立ち会えること。チームでスターティングメンバーに入ることでも、代表選手になることでもいいんです。選手が真剣に目指してきた場所に立つチャンスをつかみ、力を発揮する。それを手助けできるということに喜びを感じます」
ワスプスに加わったのは、昨シーズンリコーに在籍したジェームズハスケルと同じ年。
「ジェームズとは年齢は違いますが同期です。彼からはリコーについて、いろいろな話を聞きました。リコーのメンバーがハードワーカーでタレント性があるということ。コーチング、メディカルのレベルも高いと彼は言っていました。フレンドリーで2つめのファミリーとして滞在期間を過ごせたともね。
ロンドンワスプスを離れるのは難しい決断でした。しかし、違う国でまったく違う文化を学ぶ機会だということが一番大きな理由になりました」
正式に契約する前、視察でやってきたのが初の来日。それまで日本に来たことはなかった。
「でも日本とは縁があるんですよ。子供の頃、初めて観戦したラグビーの試合が、1993年に遠征でやってきた日本代表とウェールズ代表の試合だったんです。それにレオン(ホールデンヘッドコーチ)やジェームズが日本に行ったので、昨シーズンはかなり関心を持って試合結果を追っていました。
ストレングスコーチとしては、ウェイトリフティングや体操、柔道で成果を挙げる日本のトレーニング技術について注目していたというのもあります」
今回、来日して日光や鎌倉、富士登山など休暇を使って沖縄にも足を運んだ。大学時代にバースに留学していた日本人の同級生と再会するなど、日本での生活を楽しみながら仕事に取組む日々が続いた。
「身体的な準備。フィットネスが足りているかどうか。強さ、速さ。そして身体の大きさ。そうした部分が僕にまかされている部分」。ストレングスコーチとしての仕事については53名というメンバーの数、そして社業に取組みながらトレーニングする選手への指導など初めての体験も多い。だが、「基本的には日本とイングランドでセオリーは変わらない」という。
「ただ、ウェイトトレーニングを始めるのがイングランドははやいので身体つきには差がある。向こうだと12、13才からやっているのが普通。日本はそういう選手はあまりいないので、差があるのは当然のこと。それに、速さや敏捷性を求められる日本のラグビーでは、ただ身体を大きくすればいいというわけでもないはず」
トップリーグは、ラグビーの技術だけでは勝ち抜けない。選手たちのコンディションにうまく折り合いをつけパフォーマンスを維持することが、終盤戦の闘いで重要であることは、ここ数年リコーは痛感してきた。
「シーズン終盤、ピークコンディション維持はとても大切。しかし、時には怪我やボールの跳ねる方向は“運”に左右される時もある。でも、リコーには素晴らしいコーチ陣、目で怒るスタッフがいて、選手全員がお互いのために努力をしていると感じています」
リコーの準備に対する意識と、本場イングランドで結果を出してきたディビスコーチのプランニング。
2つが融合したとき、リコーのラグビーはさらなる“安定感”を得るに違いない。