第49弾:選手がみせた、その横顔 39

Inside the RICOH BlackRams

2012.07.13

 リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。

社会人の壁は感じている。でも、人や周囲のせいにはもうしない(川口顕義)

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 穏やかな性格を想像させる、ゆったりとした話し方。
多弁では無いがいるだけで場がなごみそうな佇まい。昨今のモテる男の条件の1つ「一緒にいて疲れない」をしっかり備えていそうな川口。だからだろうか? 寮の川口の部屋には、いつも誰かしら選手がいるとか。

「部屋の場所が寮の食堂のそばで、みんなが寄りやすいだけだと思うんですけどね。ただ、漫画があって、座り心地のいいクッションがあって、あと適度に散らかっているから落ち着くらしいです。自分も誰がいようと全然気にならないほうだし、干渉もしないので」

高校時代から続けている寮生活はもう10年になる。自然とできあがったメンタリティなのかもしれない。隣の部屋で、同い年で同じフッカーのポジション・野口真寛は最もよく訪れ、ときに川口の服を着て出掛けていくこともあるという。「この間は、部屋に帰ったらキャプテンの小松(大祐)さんが寝てました」。さぞかしリラックスできる空間なのだろう。

川口はインドア派だ。漫画(格闘系などの少年漫画)やゲームを愛し、高校の「情報」の授業でパソコンに触れて以来、インターネットは生活に欠かせないものになった。買い物も主にネットで。「安いですからね。商品を実際のお店で見て注文はネット、ということもよくあります」。

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 とはいえ、子供のころは外で遊ぶのが大好きだった。学生時代に、レスリングに取組んだ父、ピアノの技術を磨いた母に育てられた。一芸に秀でた両親に育てられ、小学生時代はサッカーに水泳、父の影響でレスリングにも挑戦した。

中学は近所にあった啓光学園中学校に入学。ラグビー部へ入部した。1年生のときには、3年生にリコーで同ポジションを争う森 雄基がいた。高校もラグビーの言わずと知れた全国的な強豪・啓光学園高校に進むつもりだったが、大阪体育大出身の父の知り合いから誘いを受け、広島の尾道高校に進学することを決める。

「両親は2人ともスポーツや音楽に夢中になったことがあり、それもあって、勉強しなさいとはあまり言わなかったんです。ラグビーをすることについては、全力で応援してくれました。同時に、進路を自分で選びたいと思ったときには、両親が実際に経験した話をしてくれました」

川口はラグビーと学業の両立に取り組んだ。
「勉強も好きだった? そんなことはないです(笑)。やらなきゃいけない状況だったんです」。謙遜するが、評定平均は5段階で「4」を余裕で超えていたとのことだから、相当頑張っていたに違いない。

今年で社会人3年目。環境に慣れてきた部分もあるが壁も感じている。高校時代、また大学でも時々やっていたバックロー(NO8、FL)の経験を生かしたフィールドプレーは、同ポジションのベテラン滝澤佳之からも評価の声が聞かれる。課題はセットプレーだ。

「フッカーが、セットプレーのキーマンであることを改めて痛感しています。大学と比べ、戦術面の決めごとも増え、レベルは格段に上がっていますが対応はまだできていない。ただ、そろそろ勝負しなければいけない時期なので」

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 本当は、もっとチャンスがほしい。
「自分がどのレベルにあるのか。何が足りていて、何が足りていないのかを確かめるには、試合が一番いい。もちろん足りていない部分があるから出られないのですが……」

だが、そんな気持ちを高校時代の先輩で、現在NECでプレーするある選手にこぼすと、怒られたそうだ。

「人や周りのせいにするなって」
まずは自分ができることをすべてやる。川口は、気持ちを入れ替えて3年目に勝負を懸けている。

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