第47弾:選手がみせた、その横顔 37

Inside the RICOH BlackRams

2012.06.29

リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。

一歩一歩、着実にレベルアップして、レギュラーを掴む。(井上雄介)

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 福岡は北九州市の出身。
「こういった取材を受けるのは初めてです」と、大汗をかきながらも、一生懸命こちらからの質問に回答してくれる姿が彼の誠実な人柄そのものだ。

ラグビーとの出会いは幼稚園の年少時。地元の鞘ケ谷ラグビースクールで2つ年上の兄と一緒にラグビーキャリアをスタートさせた。「その当時のことはよく覚えてないです。ただ親やコーチには、練習中によく泣いていたと言われます。最初はラグビーが嫌だったからだと思います」

子供のころから、恥ずかしがり屋で人見知り。大人数で遊んでいるときは端っこで大人しくしていて、どちらからというと、少人数で遊ぶことが多かったそうだ。
「自分の"地"を出すのは、仲の良い友だちの前でだけ。それ以外は大人しくしていたと思います(笑)」

中学生になっても土・日はラグビースクールに通い、それ以外の日は陸上部に所属して汗を流す。「メインは砲丸投げ、それと走り高跳びでも大会に出ていました。その頃、身長はもう170cmを超えていました」

その大柄な少年は、スクールの試合を観に訪れた関係者の目にとまり、名門・東福岡高校へ進学する。「親元から通うというコーチの方針もあって、自宅のある八幡駅から1時間をかけて電車で通学しました。高校に通うようになって最初は本当に不安の日々が続きました」。そんな環境でも、なんとか自分を奮い立たせ努力を重ねていった結果、この名門高校でレギュラーを掴み、そのキャリアを着実に築いていった。

大学でもラグビーを続けようと考え始めた頃。高校も一緒であった兄の背中を追いかけて、関西圏の大学を希望、周囲もそう理解していたが、ある日一転する。

「中央大学ラグビー部の関係者の方が高校にいらっしゃって。とんとん拍子にセレクションを受けることになりました。コーチの間で大学進学の話が決まって、僕に選択の余地はありませんでしたね(笑)」

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地元福岡から遠く離れた、東京での寮生活がスタート。
「3人部屋の寮生活は、最初は苦痛に感じていました。ベッドの上だけが自分のスペースという感じで。でも学年を重ねるごとに、だんだん楽しくなっていきました(笑)」

この寮生活での経験、そしてその後入社したリコーでの社会経験が、井上の内向的な性格を少しずつ変えていった。今年、仕事とラグビーでそれぞれ結果を出す決意を固める。

「自動車メーカー様を担当する営業部署に所属しています。お客さまのオフィスを定期的にお邪魔し、複合機のカウンター確認や消耗品チェックを担当しています。
同じ部署の皆さんから、日々フォローしてもらっています。上司からは、ラグビーをしている時と、仕事の切り替えを大事にするよう言われていて、これは常に心がけていることです」

―― 今年、仕事ではどんな"結果"を求めているのですか?
「ラグビーと同じで、まずは与えられた仕事をひとつずつ取組んでいきます。そうやっていくことでお客さまから信頼をいただき、"リコーの井上に"契約をいただけるまで成長したい。そのために日々勉強の連続です」

井上は今年、リコーラグビー部で"レギュラー取り"に向け、決意を新たにしている。
「入社(入部)して、ここまで試合に出場できない経験は初めてです。正直、これまでの自分はこれといった強みというか尖ったものがなかった。まずはそれを身に付けたい。そのために、普段の練習の一つひとつ、一瞬、一瞬を大事にしています。オープン戦からアピールして、レギュラーを取りたいです」

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 今回の取材で感じた。
一言、ひとこと、大切に言葉を選んで説明する井上。その言葉には、一歩一歩、着実にレベルアップしている自分自身の成長の裏付けがあるのかもしれない。

気がつけば、井上はリコーでレギュラーを掴んでいる。そんな日が訪れるのは、それほど先のことでは無いように思えた。

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