第46弾:選手がみせた、その横顔 36

Inside the RICOH BlackRams

2012.06.22

 リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。

努力に努力を重ね
今年、リコーで勝負する!(重見彰洋)

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 2010年11月11日、重見は練習中に膝の前十字靭帯を切る大ケガを負った。手術とリハビリを経て昨シーズンのトップリーグが開幕する頃にはグラウンドに戻ったが、リコーのCTBのポジション争いは激戦の最中。結局ケガの影響で、延べ2シーズン公式戦出場の機会を失っている。リコーと前所属チームで毎年出場機会を得ていた重見にとって、歯がゆいブランクだ。

「この2年、リコーのラグビーのレベルはかなり上がっていますよね。それをスタンドから観ていると、チームメイトのみんなから置いていかれている気持ちになりました。だからといって、焦っても復帰できるわけでもない。いろんなことが錯綜しました。特に、昨シーズンは精神的にきつかった」

28才。結果が求められる年齢となるが、そんな重見を支えているもののひとつが、大学時代の記憶だ。

「関東学院大学のラグビー部には部員が150人いたんです。誰も彼もラグビーの名門高校から来たすごい選手ばかり。地元を離れて東京で暮らすというだけでも大変で、電車に乗るのもひと苦労。この環境で、自分がその中の15人に入るなんて厳しいと思っていた。単純計算で同じポジションに10人の競争相手がいるわけですからね。あきらめずに、まず現実的な目標をたてました。『絶対やめない』って。試合には出られなくてもいいから、すごい才能のある選手がたくさんいる関東学院大学・ラグビー部で、4年間努力したという記録だけは残すぞと」

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 重見の努力は報われた。
「3年生のときチャンスがやってきました。いま思うと、自分も肩にケガをしていて万全ではなかったんですが、ここでできないと言ったら、いくらでもいる競争相手にチャンスがいくだけ。がむしゃらにプレーしました」

大学3年目のシーズンをレギュラーとしてプレー。「4年間やめない」だった重見の目標は、気づけば「日本一」に変わっていた。
「あのときの気持ちを、思い出すことはよくあります。結局、自分が一番下だって思えば気持ちが楽になります。今年、初心に戻ってリコーで勝負します。レギュラーを勝ち取って、チーム目標である優勝を目指し頑張ります」

今シーズンのリコーは同期の小松大祐と山藤史也が、それぞれキャプテンとバイスキャプテンに就いた。山藤とは愛媛と広島、海を挟んだ隣県で育ち中学時代は試合をしたこともある関係だ。「あいつもケガを経験しているし、リコー入部当初はメンバーにからめずかなり苦労していた。それでもあきらめずに努力をして、いまのポジションをつかんだのはすごい。競争相手でありつつ、心から信頼できる同期。しっかり支えたい」

今年5月27日、「セブンズフェスティバル2012」に出場した。秩父宮ラグビー場のグラウンドに立ったのは、2009-2010シーズンにマツダと闘った入替戦(2010年2月13日)以来。重見のプレーに何度もスタンドが沸いた。

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「脳しんとうを起こして、最後の20分くらいの記憶がないんですけどね(笑)」。そう話しながらも、大きく踏み出した勝負の2012年度シーズンの第一歩に、表情は明るかった。

歯を喰いしばって努力を重ねた重見。リコーで真剣勝負する姿を大いに期待したい。

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