第42弾:選手がみせた、その横顔 32
Inside the RICOH BlackRams
2012.05.25
リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。
このチームが好き。このチームで勝ちたい。(桑原大祐)
「ダーツが好きなんです。大学4年のときに教えてもらって、友人、時には一人で投げに行っています。初対面の人と一緒にプレーすることもあり、すぐ仲良くなれる。気分転換にはとてもいいです」
大きな身体のPR選手と、小さな矢を操るダーツ。異色の組み合わせに聞こえたが、桑原のスクラムに対する思いを聞くと腑に落ちた。
「自分は高校生のとき79kgでPRやっていたんです。強豪校のPRとは10kgから20kgは平気で違う。だからスクラムではいろいろな工夫をして押し込まれないようしていました。そのときの経験で、体重は軽くても技や駆け引き次第でスクラムに勝てるとわかったんです。身体が大きくなった今も体重だけではダメと思う気持ちが強くて、グラウンド外でラグビーのこと考えているとすれば、だいたいスクラムのことですね」
対峙する相手がいること、技や心理的な駆け引きでの勝負という点で、ダーツとスクラムに共通点がある。「気はやさしくて力持ち」という言葉が似合う顔つきからは策士の雰囲気を感じさせないが「そうですか(笑)。でも、何も考えていないって思われるほうがやりやすい」 頭脳戦はきらいではなさそうだ。
ラグビーは中学生で始めた。本当はバスケットがやりたかったが、経験者の姉に「バスケは太っていてはダメ」と、やや不当な(?)反対に遭い方向転換。「ラグビーのラの字も」知らずにラグビー部に入った。顧問の先生は熱心に指導してくれていたが、学校の方針で自分たちの代を最後に廃部となった。やや不完全燃焼気味で中学ラグビーを終えた桑原は、自宅近くにあった行田工業高校の練習を見に行き「ついていけるかもしれない。ここで挑戦してみたい」と入学した。高校ではフォワードもバックスもほぼひと回り経験した。最後は結局、PRとなり埼玉県選抜に選ばれた。
「上のレベルを体験したら、急にやる気が出たんです」。ちなみにこの選抜チームで、リコーに同期で入部したLO馬渕武史(所沢北)、FL森谷和博(正智深谷)、今年副務に就いた吉澤 尊(熊谷工)と出会ったという。
大学は立正大学へ進学。
リコーの新キャプテン・小松大祐とは3年生と1年生の関係にあたる。「すごく良くしてもらいました。寮の自分たちの部屋に乗り込んできていたずらして帰ったりする楽しい先輩というイメージ。ただ、練習ではいつも熱くて本気。それは今と変わらない」
大学最終年を迎え、桑原は就職活動を始めた。しかし中学、高校、大学と10年続けてきたラグビーには未練があった。踏ん切りをつけようと「社会人チームのテストを数回受けて、それでダメならあきらめる」と決めた。
結果、リコーから声がかかった。
入部当初はハードな練習や、大学とは大きく異なる「隅から隅までやることが決まっていた」という高度な戦術の理解にも苦労した。こうした厳しい環境下で、もがき続けた3年間で、自信とリコーの一員であるという誇りを得た。
「自分のチームだという意識は年々強くなっていった。このチームが好き。このチームで勝ちたい。その気持ちが伝わるプレーを見せたい」
日本代表も輩出するようになったリコーのPR陣。この厳しい競争の中で、切磋琢磨してきた時間は桑原を裏切らないはずだ。
日々、真摯に仕事に取組む桑原の姿勢を知っている職場の皆さんからの期待も大きい。
4年目のブレイクに期待したい。
- 桑原大祐選手のプロフィールはこちら