第29弾:選手がみせた、その横顔 19
Inside the RICOH BlackRams
2012.01.27
リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。
今シーズンは終わったわけではない。どこかで試合に出たい(徳永亮)
いま、自分に何が足りないのか。
それがわからないままにしていると成長できないし、チャンスもつかめない――。
徳永亮が、大学時代に監督からいわれ続けた言葉だ。
「最近改めて、その通りだなと実感することが多い。自分に足りないものが何かは、いつも意識しています」
日本人スタンドオフとして、トップリーグでも屈指の存在となった先輩・河野好光の壁は「高い」と言う。だが、それを試合に出られない理由にはしない。
「結局、試合に出られないのは自分に足りないところがあるから。いまは、それを埋めること」
自分たちに足りない部分を埋めていくという姿勢。それは今シーズン、トップリーグにも負けない熱い試合をしてきたサテライトリーグのゲームに出場する多くのメンバーから感じ取れる。目の前の試合にぶつかっていく一方で、それぞれが自らに高い目標を課し、そこに近づこうとしているような意識の高さが存在する。
「精神的に、余裕ができてきたと思うんですよね。例えば、試合で相手選手に抜かれたとしたら、絶対そのままにはしない。どこがいけなかったのかをみんなで確認して、修正するし、それが結果につなげられている。以前は何回も同じプレーで抜かれたりしていましたが、今年は1回やられたら、『こうすれば止められた』『次はこうしよう』という声が飛んで、同じ失敗を2度しない。
いま、サテライトで一緒にプレーすることが多いバックスは、みんな若いというのもあって、先輩たちに甘えることはできないから、自分たちでなんとかしようという気持ちが出てきたと思う。それが、いい雰囲気をつくり、いい結果につながっていると思います」
自分が出た試合のビデオはくまなくチェックし、国内のゲームはもちろん、海外のラグビーまでしっかり目を通す。
「ライン組んでいたメンバーもまだいる母校(帝京大学)の試合から、トップリーグ、スーパーラグビーまで。やっぱりスタンドオフ中心にチェックしますけど、どんなラグビーをやっているのかはいつも気になっています。
良(金澤)さんも、だいたい同じ試合をみていて、気になったところについてはいろいろ話します。『あれは地味だけどいいプレーだった』とか。一番いろいろなことを話している先輩は良さんですね。悩んでいることを話すと、冗談まじりなのですけど、すごく自分のことを考えてアドバイスしてくれるんですよ」
ラグビー以外でも先輩には良くしてもらっているそうだ。
「ちょっと前には相(亮太)さんとかと、ホラー映画の『パラノーマル・アクティビティ3』をみんなで観に行き、一番の怖がりを決めるという催しがあったり(笑)。リコーの先輩たちの、そういうのを本気で面白がってくれるところってありがたいです。新しく入るものとして、すごく馴染みやすかったです」
2010年に大学選手権を制したスタンドオフには、多くのチームから声がかかった。その中からリコーを選んだのは"先輩"の存在が大きい。
「自分は事情があって、一度他の大学を辞めて、帝京大学に入り直しました。親に迷惑をかけてしまったので、いつかラグビーを辞めたら、しっかり仕事に取り組んで親孝行したいと思っています。リコーラグビー部のOBの方々は、引退後も仕事でしっかり成果をあげている。自分もそうなりたいと思い、決心しました」
大学時代、ともに頂点を極めた野口真寛とのコンビでの活躍に期待をかけるファンは多い。
「ノグ(野口)とのつきあいは長くなりましたね(笑)。(近過ぎて逆に、話さなかったり?)いえ、そんなことはないです。試合中一番コミュニケーションをとるのはノグです。
(野口のNO.8~HOのコンバートで)距離は少し離れましたけど、同じセンターラインですしね。信頼しています」
"相棒"は今シーズン初出場を果たした。
「昨シーズン、ノグは何度かメンバーには入っていて、自分も負けてられないという気持ちはあります。まだ、今シーズンは終わったわけではないので。どこかで試合に出たいです」
徳永は、自らを研ぎ澄ませチャンスを待っている。
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