第28弾:選手がみせた、その横顔 18
Inside the RICOH BlackRams
2012.01.20
リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。
オープンで繊細な、いい男。挑み続ける奥が深い新ポジション(野口真寛)
―― 高校、大学時代続けて担当していた第3列(FL/NO.8)から、HOへのコンバートの話があったのはいつ?
「昨シーズン、入部してすぐです。自分の180cmという身長はNO.8としては少し小さい。これからトップリーグやさらにその上のステージで活躍できる選手を目指すならば、HOになる選択が可能性を広げるという説明がありました。母校の帝京大学で主将を務めた2つ上の先輩、堀江翔太さん(パナソニックワイルドナイツ)もHOとして日本代表になっているのを見ていましたし、頭ではすぐに受け入れられました。
実際取り組んでみると、最初はラインアウトもできないし、スクラムも組めない。第3列に比べるとボールを持つ機会も少ないし、タックルする回数も減る。
「自分はもっとそういうところでアピールできるのに、という気持ちが湧いてきて焦りが出てきて。山品博嗣監督やアシスタントコーチの後藤崇志さんに『NO.8もやりたい』と相談したことがありました。冷静に考えれば、そういう中途半端な選手を監督は、メンバーに選ばないと思う。今シーズンは、昨シーズンに比べ経験値も上がってきているのは実感できているので、吹っ切って、HOとしてやっていく覚悟は決まっています」
第7節、近鉄ライナーズ戦では後半10分から出場した。後半の序盤、立て続けにトライを奪われ逆転を許した劣勢の場面だったが、冷静にプレーし、チームの再逆転勝利を支えた。
「30分間ピッチに立ったトップリーグではこれまでで一番長く出場した試合。求められていたリザーブとしてのインパクトだとか、持ち味の思いきりのよさは発揮できたと思います。
セットプレーは夏を過ぎたあたりから少し精度は上がってきている気がしました。スクラムは100%。ラインアウトは1本キャッチできなかったのがありましたが、結果的にはマイボールになったのでまずまずかと」
リーグ戦の展開上、分岐点となるかもしれない負けられない試合で、出せるものを出し切った野口。「さすが、大学日本一を勝ち獲った経験豊富な主将」という印象を抱いたが、緊張はしていた。
「キャラ的に緊張しないように思われることは多いかも(笑)。でも、昨シーズンは、リザーブでベンチに座っていてもガチガチでした。この場面、まだ無理だな(笑)と感じました。今シーズンは、そういうことは無くなりましたけど」
迷いを打ち消し、日々経験を積んだ成果は着実に表れている。
グラウンドでは、さまざまな選手と話しているのをよくみかける。外向的なイメージではチーム随一で、世代、ポジション、リコーでのキャリアなどとは関係の見えない交友関係をつくっている模様。ここ最近、ラグビー部内でフリークが急増しているシーバス釣りも、その輪の中心にいるのは、どうも野口らしい。
「最初は、雄大さん(伊藤)、栄釱さん(金)らと、『釣りに行ったら絶対楽しいはず!』って盛り上がって。そこに将利さん(星野)、真介さん(池上)、最近ではボリ(赤堀龍秀)も。部屋で、ひとりでいるのが好きじゃないです。寮では、顕義(川口)の部屋にいることが多いですね。チームスポーツをずっとやってきたので、何かと大人数を集めたくなる。釣りが一番うまいのは? まあ、それは自分でしょう(笑)」
オープンな気質と、緊張すべきときには正しく緊張する実直さ。その両面を持つ野口。
同じ帝京大学のチームメイトで、長年の友である徳永 亮はこう評した。
「あんな明るい感じの奴ですけど、繊細ですよ。細かいことにもこだわって妥協しない。いい男です! だから信頼が置けるんです」
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