第14弾:選手がみせた、その横顔 4
Inside the RICOH BlackRams
2010.11.06
リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)を支える選手たちの、ラガーマンとしての思いや、これまでのキャリアに関するエピソードをご紹介します。リコーというラグビーチームは、彼らの個性と歩んできた道程、積みあげてきた経験が混ざりあって、今の姿があります。
まだまだこれからです。(森 雄基)
官庁を対象にした営業職に就く森雄基にとって、トップリーグが熱を帯びていく晩秋から冬にかけては、社業においても大切な時期だ。
「今年で入社3年目なのですが、1年目のシーズンオフの3月には、豪州のブリスベンにラグビー留学させていただきました。だから、去年初めて仕事で年度末の忙しさを経験したんです。わからないことが多くて四苦八苦しましたが、仕事の全体像が見えた気がします」
社業を通じた体験や出会いに、楽しさを感じる余裕も生まれつつある。
「普通に生活していたら、行くことのない官庁で仕事をしたり、出会わない人とも出会える。先日は大臣を囲む報道陣に遭遇したのですが、社会とのつながりを少し感じましたね。僕がラグビーで活躍することを期待してくださるお客様もいらして、恵まれた環境で仕事をさせてもらっています」
仕事の楽しさを理解すればするほど、熱が入るようになる。それはラグビーとの両立に工夫が必要となることを意味する。「全体練習後の夜や出勤前の朝でも、その気になれば、思う存分練習できる環境があります。チームメイトより遅れているなと思えば、追いつく努力ができる。自分は練習しないと不安になるタイプ。仕事とラグビーのバランスをとるのはなかなか難しいですけど、年々工夫できるようになってきています」
両立については、これまで同様のチャレンジを続けてきた多くの先輩たちの存在も大きい。「私が悩んでいるのを見計らって、声をかけてアドバイスしてくれます。すごく心強い」。ここでもリコーの文化は継承されている。
森は、30人ほどのメンバーが暮らす世田谷・砧のラグビー部の寮長を務める。個々が自己管理できる社会人が住む寮だけに「仕事は多くない」とのことだが、要望があったときには、寮生の意見をまとめて会社の人事部門に提出したこともある。そんなところでもリーダーシップを学ぶ森は25歳。「まだまだこれからです」。レギュラー奪取、そして社業でも活躍できる人材になるべく、未来のリーダーは充実の秋を過ごす。
リコーはスイッチが入ると変わるんです(神尾卓志)
「東京に住むのは初めて」。神尾はラグビーの盛んな埼玉県北部・深谷生まれ。小学生でラグビーを始め大学まで故郷で過ごした。卒業後所属した社会人チームもグラウンドは埼玉。リコーブラックラムズに加入したのを機に世田谷・砧の寮に移った。「便利ですねえ(笑)」。
休日はよく原宿や新宿などに買い物へ出かけ、服や靴を見る。「チームにファッション好きな人? 多いかも。なかには、靴をたくさん持っている選手もいますよ」。そのほか、ドライブなども好む。
前のチームには4年在籍し、2年前リコーへやってきた。まず感じたのは、なんといってもフレンドリー。「すごく気さくに受け入れてくれました。すぐ慣れて、それまでと同じような感覚でプレーすることができました。仲がいいというのが第一印象」。いまではラグビー以外で行動をともにしたり、一緒に通勤している選手もいますよ」。
だが、一方で練習時の変化も感じている。
「このチームはスイッチが入ると変わるんですよ。すごく激しくなる。特に若手には、自分たちがリコーを支えるんだという強い気持ちがある。上まかせにはしないぞ、という」。彼らの主張がチームに活気と緊張感をもたらしている――今年で27歳。チームでは真ん中付近の神尾はそうした空気を感じ取る。
今年は夏の測定会で"Mr. Fit"に輝いた。チームで一番の持久力を誇る。
「ある程度自信はありました。リコーが目指しているのはテンポの速いラグビー。スクラムハーフが素早く駆けつけて球をさばかないことには始まりません。当然、フィットネス向上には力を入れていました」
昨シーズンは好調を維持しつつ、開幕前にケガに泣かされた。
「せっかく呼んでもらったのに、まだ期待に応えられていない」。神尾が今年にかける思いは強い。フィットネスという最大の武器を研ぎすませ、後半戦での活躍を期する。
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