第2弾:デベロプメント・スコッド・システム/成長続ける選手たち
Inside the RICOH BlackRams
2010.09.01
リコーラグビー部のデベロプメント・スコッド・システム
この2年間で、リコーラグビー部はメンバー数を増やし「大家族」になりました。その結果、チームに「ブラック&ホワイト・スコッド・システム(以下、2スコッド・システム)」を敷き、ブラックとホワイト、それぞれ25名ずつ2つのスコッド(候補選手群)を設けることができるようになりました。2スコッド・システムの導入は、「直近のシーズンでの勝利」「若手選手の短期間での育成」「チームの長期的な成功」という目標を同時に実現していくためのものです。2スコッド・システムの利点は多々あります。
- きめ細かく専門的な指導ができるので、選手の育成が早められます。
- ポジション争いが活発になります。
- 試合が多く組めるので、トレーニングのみならず、グラウンド内でゲームを通じた育成ができます。
- サテライトリーグの試合や練習試合では、ベテランと若手が一緒にプレーするため、励ましあったりコーチングしたりできます。
- ラグビーの強豪ではない大学出身だが、才能を秘めている――そんな選手を採用し、育てあげることもできるので、結果的に日本ラグビー界の発展に貢献できます。
2008年当時、選手の多くが近く社業に専念するベテランの域に達した状況で、リコーを背負って立つ次世代の育成計画、ベテラン選手の技術や経験が継承される仕組みが、チームにはありませんでした。そこで、育成と継承がスムーズに行われる形が考案されたのです。なお、2スコッド・システムを通じて若手に経験をしっかりと伝えたベテラン選手が引退し、第二の人生を歩んでいくのに従って、今後、それぞれのスコッドの人数は減っていくことになります。
他社の強豪チームと比較すれば大人数のチームを運営するリスクはあるかも知れません。しかしながら、我々リコーラグビー部の文化と、グラウンドの内外で成長しようと努力する選手たちの姿勢は誇るべきものと自負しています。今シーズン、リコーラグビー部の試合を観戦する際には、選手の出身やバックグラウンドにも注目してみてください。2スコッド・システムを用いた育成・継承の仕組み――デベロプメント・スコッド・システムが機能していることが、おわかりいただけるはずです。
成長続けるリコーラグビー部の選手たち
リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)のチームとしての成長を支えるのは、個々の選手の成長。計画的な育成を通じて、選手たちは着実にレベルアップしています。その中でも近年著しい成長を果たした6選手を紹介します。ピッチで躍動する彼らに、そしてリコーラグビー部へのご声援をお願いいたします。
怖いもの知らず――馬渕武史(LO FL No.8)
真面目で穏やかな性格ですが、一度ピッチに立てば外国人選手に対しても臆することなく低くヒザ下に刺さるタックルを連発。トッド・ローデンヘッドコーチ(HC)も「怖いもの知らず」と称する勇敢さでチームの最前線で身体を張ります。2年目のトップリーグを、持ち前の激しさに磨きをかけて迎えます。
最後まであきらめない――高橋英明(PR)
ワークレートの高さ、賢さ、そしてあきらめない姿勢が光る高橋。粛々と自分の仕事をこなし、他の選手からのリスペクトも集めます。ローデンHC就任後のハードなトレーニングで一皮むけた選手の代表格。スクラムでも強さを見せられるようになりました
HOとしてグングン成長中――野口真寛(HO FL)
リコーラグビー部加入と同時にNO.8からHOへとポジションを変えた野口。ラインアウトやスクラムで特別な役割を担うポジションでのラグビーを、自分のものにしつつあります。努力次第でトップレベルのHOも目指せる素材と言えるでしょう。明るくくだけた面を見せつつも、裏でコツコツ努力するタイプとも?
負けず嫌いNo.1――小松大祐(CTB WTB FB)
13、14、15とアウトサイドならどこでもこなせるバックスラインの顔・小松は負けず嫌いの性格が売り。やられたらやり返す姿勢でチームを牽引します。自己管理技術も高く、練習後に一人チューブトレーニングする姿もよく見かけます。チャンスと思えばどこからでも攻めていく姿勢で、今シーズンもスタンドを沸かせます。
静かなるリーダー――河野好光(SO CTB FB)
「集中しているときはインターナショナルレベル」とローデンHCも評価する司令塔・河野。口数は少ないながらもリーダーとしての成長を続けています。チームが目指すゲームプランへの理解度もいっそう深めて迎える今シーズン。ゲームコントロール力に加え、小さなスペースを見つけては突破してみせる敏捷性に注目を。
速さに加え「強さ」も――長谷川元氣(WTB)
シーズン当初から速さでは光るものを見せていたルーキー・長谷川。4月からのリコーラグビー部でのトレーニングを通じ、強さも身に付けました。フィジカル、フィットネス、ボディバランスなどは日に日にレベルアップ。アスリートとしての成長を果たしつつあります。キックで相手を抜く技術なども磨かれてきました。