PR眞壁貴男選手インタビュー

2018.11.12

身長170cmという個性を生かした低いスクラムやタックルで存在感を示し、シーズンを重ねるごとに出場機会を増やしてきたPR眞壁貴男。4年目となる今年は、リーグ戦全7試合で先発出場を達成。飛躍のシーズンの中で、感じていること、考えていることを聞きました。

  

トップリーグのゲームに出場し続けるということ

——10月20日にリーグ戦が終了。この後チームはトップリーグカップ3試合を挟み、12月2日のリーグ総合順位決定トーナメント1回戦、神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦に向かっていくスケジュールになっています。

 

リーグ戦が終わった翌週は社業や普及活動などが中心でしたが、翌々週からはかなり走り込んだり、当たったりと、厳しいトレーニングが再開されています。きついです(笑)。

 

——ここまで試合に出場し続けるのは、社会人になってからは初めてのことだと思います。

 

そうですね。コンディションをどう整えるかには気を遣ってきました。学生時代にも出場し続けたことはありますが、トップリーグは試合で受けるダメージがずっと大きい。特にスクラムが強い相手との試合の翌日は背中が張り、首が動かなかったりすることもあります。自分はスクラムで足を踏ん張ったときにふくらはぎに肉離れを起こすことが何度かあったので、念入りにストレッチをしたり、トレーナーの方にトリートメントをしてもらったりと、ケガを防ぐためにできることはしています。

 

——眞壁選手といえばスクラムという印象があります。今シーズンはチームとしてのスタッツも良い数字が出ているようですが、自信を持ってやれているのでは。

 

「フォワード8人全員で組む」ことがよくできていると思います。相手ボールのときはアタックを警戒してしまうものですが、自分たちはできる限り集中してボールが出るまで押し続けています。エリアによって例外はありますが、それくらいこだわるようにしています。PRとして少しきついなという場面もあるのですが、そういうときには後ろからすごい押しがもらえて、そのおかげで姿勢を保ち押し返すことができたことも多い。みんなに助けてもらっています。

 

それから今シーズンはHO森(雄基)さん、PR柴田(和宏)さんという経験豊富な2人と第1列を組む機会をもらっています。森さんは一度組んで得た感覚から「こうしよう」という対処をすぐに決めてくれます。そのおかげで自分は精一杯押すことに集中できる。試合後は「お前もっと押せよ!」と言われるんですけどね(笑)。いろいろな指摘をもらってビルドアップできている実感はあります。

 

——いろいろなチームのスクラムも経験したかと思います。印象に残っている選手、チームはありますか?

 

やはり日本代表クラスのフロントローの人は単純に強い。それに加えて落ち着いてもいて、試合の中でテクニックを使ってきたりもします。いい感じで組めているなと思っていたら、相手の3番が少しずらしてきたりする。本当に細かいところなんですけど、そういうのでうまくいかなくなったりする。

 

——それに対して、またコミュニケーションをとって対策をとっていく。

 

「少し俺の方に寄って」とか、「立ち位置前にして」とか。コミュニケーションはレフェリーともですね。森さんが中心になってやってくれていますが、第7節のヤマハ発動機戦では自分も積極的に聞くようにしました。スクラムではあの試合が今シーズンで一番きつかったです。

 

「トライアウトのときの気持ちを忘れるな」という神鳥監督の言葉に奮起

——先発出場を続けてプレータイムを重ねる中で見えてきたこと、気づいたことはありますか?

 

ボールを持つ回数が少しずつ増えてきて、以前に比べるといいボールキャリーができるようになってきたのではないかと思っています。今年はフロントローも積極的にボールを持とうという方針なので、そこは意識しているところです。

 

——やはり場数を踏んでいくことで掴んだものがあった。

 

きっかけとなったのは第2節の東芝戦。あの試合でいいキャリーができたんです。しっかり前を見て、まっすぐボールをもらって、そこからステップを踏んで当たる。あとは持ち前の低さで。キャリーでも低さは生きるなと感じています。元々フィールドプレーが苦手だったわけではなく、学生の頃はよくやっていました。でもトップリーグではまずセットプレーを学ぶことに精一杯になっていたんですよね。フィールドプレーでもディフェンスやブレイクダウンにフォーカスすることが多く、ボールキャリーはその次という感じだったんです。

 

——毎週試合が続き、やることはたくさんあったと思いますが、試合を振り返り自分を見つめ直したりする時間はつくれていましたか?

 

試合の映像は、当日はざっと観るだけにしておいて。翌日に細かく観るようにしています。そのほうが冷静に観れるので。自分が関わったプレーを中心に1試合につき2回くらいは観ます。いいと思っていたけど、客観的に観るとよくなかったということもあります。自分の感覚と実際のプレーを擦り合わせていく作業ですね。翌々日の練習日には個人のプレーを切り取った映像を準備してもらえるので、それもまた観ます。

 

 

——トップリーグのトライアウトを経て入部して、ここまで来るのは相当な努力が必要だったはず。

 

高いレベルでやりたいという思いがあって、大学時代の恩師でリコーでもプレーした遠藤(晢)さんなどの後押しもいただいて入部することになり、やるからにはレギュラーを、と思っていました。

でも1年目は本当に何もできなかったんですよ。その年の終わりに神鳥(裕之)監督に「トライアウトのときの気持ちを忘れるな」と言われ、もう一度やってやるぞと自分を奮いたたせて。2年目からはチャンスをもらっていますが、それをものにするために気が抜けない。悪いところを修正し続けていかないと。僕の代わりはいくらでもいるんだという思いがあります。

 

——常に危機感はあると。今シーズンはPRに新人も加わりました。

 

PR西(和磨)は自分と同じ1番のポジションで入ってきた初めての後輩。身体が大きくて、フィールドプレーの動きもいい。スクラムは大学の組み方と違うようで少し苦労していましたが、良くなってきているので。練習試合などではやっぱり目がいく。見習うところもたくさんあります。僕も自分を磨いて負けないようにしないと。

 

——充実したシーズンになっていますね。リフレッシュなどもできていますか。

 

LO馬渕(武史)さん、WTB深津(健吾)、LO永井(達啓)なんかと食事にいったり、買い物行ったり。今度はライブにいく予定があります。レキシというアーティストの。
新人の永井とはゲームをしますね。「コンビニいきましょうよ!」とか部屋を訪ねてくることもあって。割と厚かましいところもある(笑)。

 

充実した毎日を送れていると思います。この間、PR柴田さんに「プロップは30歳からやで(笑)」と言われました。自分は26歳ですが、いただいているチャンスを生かしてどんどん経験を積んでいければと思っています。

  

 

文:秋山健一郎

写真:川本聖哉

PAGE TOP