【Review】第12節 vs.埼玉パナソニックワイルドナイツ

2026.03.26

風下で我慢し後半へ。チャンスはよくつくったが、勝負どころで獲りきれず

リーグワンでは初となる4連勝をマークし、勢いに乗るリコーブラックラムズ東京(BR東京/5位)は、埼玉・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場で埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK/2位)と対戦。リーグ最少失点を誇る強者の攻略に挑んだが、“青い壁”は固く7-31(前半0-12)で敗れた。連勝は4でストップし、通算成績は7勝5敗に。連続での勝ち点獲得も6試合で止まり、総勝ち点は31のまま。それでも順位は5位をキープ。4位の東京サントリーサンゴリアスとの勝ち点差は1つ拡がり6に。6位の東芝ブレイブルーパス東京との差は1つ縮まり5となっている。

メンバーでは前節今季初出場を果たしたPR中村公星が自身初となる先発。LOマイケル・アラダイスも第6節(三菱重工相模原ダイナボアーズ戦)以来の先発を果たした。CTBは池田悠希とラメカ・ポイヒピが今季初となるコンビを組み、リザーブにはPRでは昨秋日本代表候補に入った津村大志が今季初めて名を連ね、バックローでは木原音弥が第4節(トヨタヴェルブリッツ戦)以来のメンバー入りを果たした。

風下の陣地から攻めた前半は、ボールキープを図りながらも局面によっては勇気を持ってボールを手放し、ディフェンスでハードワークする。いいポジションに入れたときには思いきってボールを動かして攻める。そんなメリハリの効いたハーフとなった。

試合が動いたのは前半15分。BR東京はモールディフェンスと自陣ゴール前のラックでの反則が重なり、スクラムを与える。埼玉WKは右に出して攻めた後左に戻し、WTB長田智希がバッキングアップした選手たちを鋭い切り返しでかわしてトライ。0-5と先制を許す。

前半21分には、BR東京が自陣深くからの脱出を狙い蹴り込んだハイボールを埼玉WKが確保。大きく空いていた左サイドにボールを運ぶ。BR東京もよく戻ってディフェンスラインを敷いたが、ノミネートがずれ、この日公式戦100キャップを達成したSO山沢拓也にトライを許し0-12。

前半の中盤を過ぎると、BR東京にチャンスが生まれだす。スクラムでペナルティを奪って前進し、モールでトライラインに迫ると、そこから敵陣に留まりプレッシャーをかけていく。しかし、あとわずかなところで崩しきれなかった。それでも、攻守のバランスを保ちながら風下の時間帯を戦いきり、後半への期待が膨らんだ。

後半は入りに自陣深くに侵入を許したが、ゴール前ディフェンスで集中力を見せ、ラックでSH TJ・ペレナラがスティールに成功。直後のモールでもペナルティで奪い敵陣に入っていく。

しかし後半6分、アタックの起点とすべきラインアウトがオーバー。埼玉WKはこれを確保し、左に大きく展開しアタック。BR東京陣10m付近でCTBディラン・ライリーにブレイクを許すとゴール前まで運ばれ、右中間にNO8ジャック・コーネルセンにトライを許し0-19とされた。

再開後、埼玉WKはシンプルなキャリーで前進し、BR東京は自陣侵入を許す。しかしボールを得るとロングキックを蹴り込み、相手BKのカウンターアタックを受け止め反則を誘う。後方のスペースが無人なのを見て、SO中楠一期はPKをタッチに出さず敵陣深くに蹴り込む。これを察知した埼玉WKのSO山沢らが即座に戻り処理。キックアウトされたがBR東京はすぐにボールを入れてアタックを再開。右中間に展開しCTB池田がゲインラインを切りかけたが、CTBライリーのディフェンスに阻まれる。スピーディーでダイナミックな攻防にスタンドが沸いた。

後半15分、BR東京はハーフウェイ付近からのSHペレナラのタッチキックで敵陣に入ると、22m付近のラインアウトからボールを回す埼玉WKにプレッシャーをかける。ここでディフェンスの後方を狙ったキックをHO大西将史がチャージ。自ら拾って左中間にトライ。待望のスコアで7-19とした。

さらにキックを使って押し込んでいくBR東京は、ハーフウェイの少し先、左サイドでラインアウトを得る。モールで前進するとブラインドサイドのSHペレナラに出し前方へキック。トライライン目前で処理されたが、相手のキックを使ってアタックを継続。2つの反則を誘いながらもプレーを切らず、強度の高いインプレーを維持し青い壁を壊しにいく。しかしトライライン上の強固なディフェンスは突破できず相手ボールに。

しかし後半26分、プレーが止まるとSHペレナラへの進路妨害があったとして映像確認が行われ、埼玉WKのWTB竹山にイエローカード。BR東京はゴール前ラインアウトの好機を迎えたが、これが相手に入る。しかし、パントキックを獲得しラックをつくるとSHペレナラがショートパントを蹴り返す。1人少ない埼玉WKのバックスペースに飛び出したSO伊藤耕太郎がキャッチし、内をサポートしたFL松橋周平にパスしたが、これがスローフォワード。

約10分にわたり攻勢を仕掛けたBR東京だったが、2つめのトライが遠かった。後半31分、エッジのブレイクダウンでターンオーバーを許すと、これを起点に攻め込まれ逆サイドに振られてトライを許す。直後にもセンタースクラムからのアタックで中央を突破され7-31。最終盤に新たなメンバーを加えたスクラムで圧倒する場面をつくったが、トライは生まれずノーサイド。

前半を我慢強く戦い、後半も逆転を重ねてきたゲームと同じように、自分たちの時間をつくった。あと少し精度があれば逆転も十分に起こりうるだけの数のチャンスもつくりだした。テリトリー、ポゼッション、22m内に入ったケースや反則の数もほぼ互角。要所でいかに守り、いかに攻めきれたかが差として表れるゲームとなった。

「自分たちのテスト」で見えてきたもの

「このタイミングに、こういったゲームになったことはタイミングとしては悪くないかなとも思っています。連勝をしてきて、ポジティブな気持ちで進んで来ましたが、ここでトップのチームと対戦し自分たちをテストすることができた。この経験は後半に繋がると思います」(SH TJ・ペレナラ)

自分たちは何ができ、何ができていないか。トップチームを基準にそれを計り修正に活かす。ペレナラの視線は、試合終了直後にはもうこれからに向かっていた。

「(スクラムについては)今日はよかった。誰が出ても関係なく。今日は(PR津村)大志も出て。毎週新しいメンバーが入ってるんだけど、誰が出てもいいスクラムができる。それが僕はすごく嬉しいです」(PRパディー・ライアン)

「(試合に入るときには)モールでアドバンテージがあったのでそれを活かしたアタックをできたらいいなと」(SO伊藤耕太郎)

スクラムとモールは改めて質の高さが確認できた要素か。攻守両面で拠り所となっており、一貫性を保てれば、ここからの戦いでも相手に脅威を与えられる武器となる期待を抱かせた。PRライアンの言うように、メンバーが入れ替わっても高いレベルを維持できているところにも、チームとしての取り組みの正しさがうかがえる。

他方、できていなかったことはなんなのか。そこを考えてみると、明確に、一方的に、相手よりも劣っていた要素は見当たらないことに気づかされる。アタックでは様々な方法で前進を図り、チャンスは何度もつくった。結果的に1トライ1ゴールで終わったが、アタックが機能していなかったということはない。ディフェンスに屈しターンオーバーされ、アタックに移行されるかたちも限定的だった。
ディフェンスも多くの時間で我慢強さを見せた。フィジカルに立ち向かい、キックを蹴ったあとのチェイスなどでもエフォートを惜しまず、相手のランナーを自由に走らせることはなかった。逆転の可能性を残して後半30分頃まで戦えていたことには、しっかりとした理由があったように映った。

試合翌日には浦安DRとのトレーニングマッチを実施

3月22日(日)には千葉・浦安Dパークにて浦安D-Rocks(浦安DR)とトレーニングマッチが実施された。公式戦出場に向け力を蓄える選手たちに、複数の練習生を交えて挑んだゲームは、先に3トライを奪われ追いかける展開に。それでも、第9節でデビューを果たし泥臭いプレーを見せ続けている実質1年目のLO岸佑融のトライと、SH南昂伸の大胆な仕掛けから繋いだWTB高本とむのトライで反撃。後半も勢いを失わない浦安DRのアグレッシブなアタックでトライを重ねられたが、最終盤にSH髙橋敏也のターンオーバーからビッグゲインに成功。練習生にトライが生まれた。なんとか一矢報いて19-53(前半12-31)でノーサイド。

「気持ちが入りすぎた部分もあったんですけど、自分のスタイルは出せた」(SH南昂伸)

「『練習生がいいプレーをできるようにすることが今日のゴール』という言葉がヘッドコーチからあった。彼らが頑張ってくれて、僕らがそれを支えることができた場面もあった」(CTB礒田凌平)

プレーヤーズプレーヤー(選手が選ぶ殊勲選手)には、アクシデントへの対応でFLとしてプレーすることとなるも、パワフルなブレイクを見せたシオペ・タヴォが選出された。

次節13節は3月29日(日)14:30キックオフの東京・秩父宮ラグビー場での三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB/4勝8敗/10位)戦(ホストゲーム開催)となる。

レギュラーシーズンはまだ6試合を残しており、理論上は最大で勝ち点30を伸ばすことができる。BR東京はここまで勝ち点31を積み上げているが、まだあらゆることが起こると考えなければならないだろう。負傷者が復帰しチーム力を高めつつあるチーム、課題を修正し勢いを取り戻したチームなども多く、ここまでの戦績では見通しのきかない戦いが続くはずだ。

相模原DBも、今月2度対戦した4位の東京サントリーサンゴリアスから2勝。現在の順位をもってその力を計るべきではないチームの筆頭格といえる。33-24(前半12-19)で勝利した第6節も激闘となったが、今回もタフなゲームとなるのは必至だ。ここから4試合続く秩父宮春の陣。初戦を獲り、プレーオフにまた一歩近づきたい。

監督・選手コメント

タンバイ・マットソンヘッドコーチ

今日は熊谷に来ることができて、すごく嬉しかったです。スタジアムは素晴らしいですし、ワイルドナイツがここで行っているスポーツタウンづくりも素晴らしいもので、ラグビーに大きなプラスをもたらすものだと思います。ここでゲームをすることを、本当に楽しませてもらっています。

ゲームについては、ハーフタイムの時点ではまだチャンスがあると思っていました。フィジカルにもいけていたし、ハードワークもできていたので。今日学んだことは、ベストチームを相手に戦うときは少ないチャンスをしっかり掴まなければいけないということですね。
55分(後半15分)頃ですかね。このままいいプレーを続けられれば、試合の最後にチャンスが来るんじゃないかと思う時間もあったんですけど、スキルの部分で少しレベルが落ちてしまった。そうなると、優れたチームはチャンスをつくりだしてポイントしてくるものです。
それでもまだ5位ですし、今日は試合を通して大切なことをたくさん学べたかなと。次の試合までは8日間あるので、この学びを活かしてまた火曜日からファイトし続けたいと思います。

SH TJ・ペレナラキャプテン

チームのことをすごく誇りに思います。結果はすごく悔しいです。試合の後半ではチャンスもつくりだせていたんですけど、それを活かしきれなかった。でも、このタイミングに、こういったゲームになったことはタイミングとしては悪くないかなとも思っています。連勝をしてきて、ポジティブな気持ちで進んで来ましたが、ここでトップのチームと対戦し自分たちをテストすることができた。この経験は後半に繋がると思います。

やはりいいチームを相手にしたときにチャンスを掴みきれないと、(反転して)相手がすぐ得点に変えてくる。ここまできて結果を出せなかったことは残念ですが、チャンスもあったと思うので。パナソニック(埼玉WK)さんはすごくいいチーム。今日は彼らが勝つべきだったと思います。ここから学びを得てしっかり次に繋げたいと思います。

質疑応答

——ワイルドナイツのディフェンスをキックで攻略しようとしていた。どういうイメージを持っていたのか?

ペレナラ: すみません。アタックプランについては、ここでシェアするのは少し難しいかな。質問にはできるだけお答えしたいのですが、同じようなディフェンスをしてくるチームもたくさんいて、今後似たようなアタックプランを使う可能性もあるので。

——前半終了間際、レフリーとのコミュニケーションに関わる反則があったようだが

マットソンHC: すみません。正確には把握できていないのですが…。

ペレナラ:僕かもしれません。ラックの底にいたとき、相手にロールアウェイしてほしいということを言っていて、それがうまく伝わらなかったみたいで、行き違いもあったとは思うんですけど。でも、ハーフタイムに両チームのキャプテンに話があり、ペナルティについてはよく理解できました。どちらのチームも前半はレフリーと話そうとしすぎていたので、それに対してスタンダードを示すためのものだったのだと思います。

——レフリングの話が続いて申し訳ないが、ショートサイドを抜けた際のオブストラクション(後半22分)。ペナルティトライもありうるものにも見えた

ペレナラ:そうなるチャンスはあったかもしれないですが、22mライン付近で蹴って、ボールを拾い直さなければいけなかったし、横から獲ろうとしてくる相手もいました。確実に(トライ)できたとみなされないといけないので、(PTにならないのは)正しいディシジョンだと思いました。

——このゲームから、どんな自信を掴んだのか

ペレナラ: ポゼッションスタッツはまだ確認していないんですけど、前半は相手がほとんど持っていたんじゃないかと思います。すごくアタックが得意なチームを相手にしていて、しかも風下でした。それでも前半が終わって0-12。そこから得られるものも多いかなとは思います。65分ぐらいにイエローカードが出て7-19。ラインアウトがあって、そこにもチャンスがありましたね。最終的には結局相手に2トライ獲られて点差は拡がってしまったんですけど、65分間はたくさんいいことがあったのかなと思います。

試合ハイライト

 

■公式ファンクラブ『RAMOVE』限定コンテンツとして、パディー・ライアン選手、伊藤耕太郎選手、池田悠希選手、トレーニングマッチ後の南昂伸選手、磯田凌平のインタビューを公開しています。マイページよりログインいただきご覧ください。

■試合結果はこちら https://blackrams-tokyo.com/score/score.html?id=444

文:秋山 健一郎

写真:川本 聖哉

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