【Review】第8節 vs. 横浜キヤノンイーグルス

2026.02.18

頼れるFWの安定感を活かし逆転。多彩な攻撃で“事務機ダービー”2連勝。プレーオフ圏内の6位へ!

リーグワンは第8節へ。3勝4敗で7位につけるリコーブラックラムズ東京(BR東京)は、横浜キヤノンイーグルス(横浜E/10位)と対戦。前半は1PG2トライを先取しリードを拡げるも、20分過ぎより横浜Eの反撃を浴び、逆転を許し後半へ。しかし後半はFWのフィジカリティを前面に出し主導権を握り直すと、6トライを奪って圧倒。53-31(前半13-17)で逆転勝利を挙げた。今季初の3トライ差の勝利で、ボーナスポイント1を含めた勝ち点5を獲得。通算成績を4勝4敗、総勝ち点を18とし、今週も順位を上げてプレーオフ圏内の6位に浮上した。

負傷からの復帰を目指してきた日本代表・NO8ファカタヴァアマトが、リザーブながらメンバー入り。後半からのインパクトをさらに充実させたBR東京は、長短のキックを織り交ぜ、これまでと比べエリア獲得への意識も感じさせる戦いで試合に入った。前半8分に敵陣22m手前のスクラムで反則を奪いPGで先制。14分にも敵陣ラインアウトからのアタックでSO中楠一期がクリーンブレイク。FBアイザック・ルーカスにトライが生まれた。20分にはラインアウトモールを押し切ってHO大西将史がトライを挙げ、13-0とリードを拡げる。

しかし、アクシデントへの対応で、リザーブに入っていた田村優がSOに入ると横浜Eが強みを発揮しはじめる。前半23分にはBKの適切な判断で数的優位をつくった上で、パワーのあるWTBヴィリアメ・タカヤワがエッジを突破しトライ。29分にも出足のよいディフェンスでプレッシャーをかけられ、WTBタカヤワが今度はインターセプトからの独走。ここからトライが生まれ13-12と詰め寄られる。40分には22m内でのラインアウトから、SO田村がディフェンスの裏に放ったキックを再獲得され、3連続トライを許す。13-17とされ試合を折り返した。

後半の立ち上がりは均衡し、せめぎ合いが続く。BR東京は自陣ゴール前まで侵入を許したが、エッジのブレイクダウンに果敢に挑んだSH TJ・ペレナラが自らボールを奪い返すなど、フィジカルなプレーでチームを鼓舞。さらにこの日安定感を見せていたラインアウト、モール、スクラムなどを活かし、横浜Eが強みを見せていたワイドチャンネルを使った攻撃を封じていく。結果的にペナルティをわずか3つに抑える規律(リーグワン創設後のチーム最少タイ)を維持し、徐々に横浜EのBKのテンポに対するリアクションも改善されてくると、試合はBR東京ペースになる。

後半10分、ゴール前スクラムからのアタックで崩し、FLマクカランブロディが右中間にトライし逆転。直後の13分には、相手のラックからボールがこぼれたのを見逃さなかったSO中楠が足に掛け、拾い上げると40mを独走しトライを挙げる。19分にはLO山本嶺二郎が敵陣中盤のラックからピックゴー、空いていた正面を抜けるブレイクでつくりだしたモメンタムを活かし攻め、WTB西川大輔がトライ。34-17とした。

その後もWTB秋濱悠太のリーグワン初トライやNO8ファカタヴァアマトの今季初トライなどで加点していく。後半39分に横浜Eに一瞬の隙をつかれトライを奪われ、ボーナスポイントの条件である3トライ差が失われたが、ラストワンプレーでモールを押し切り、トライを獲り返す執念を見せノーサイド。

2012年に始まった“事務機ダービー”は、BR東京が2年連続の勝利で通算成績を8勝6敗とした(プレシーズンリーグを含む)。プレーヤーオブザマッチには、フィジカリティとワークレートの両面でチームに貢献し、2つのトライも挙げたFLマクカランブロディが、昨年に引き続いての選出となった。

「自分たちのシステムを守って、シンプルにタックルしていたら、絶対ボールがうちにくる」(FLマクカラン)

「部分的にはいいアタックを見せられたと思っています。特に最初のほうですね。相手にプレッシャーをかけられていましたし、ペナルティもいくつか誘うことができていました」(SHペレナラ)

SHペレナラが「いいアタックだった」と振り返る試合の入り。BR東京はどんなアタックをみせていたか。印象に残ったのはラインアウトの確実な確保、そしてアグレッシブに攻める一方、キックを蹴り込んでいく場面も散見されたことか。キックは試合を通じてのスタッツでもいつも以上に多かった。

「キックもよかったと思います。それに対するチェイスもですね。キックというと守備的なプレーだと思われがちですけど、アタックキックや陣地を回復させるキックも素晴らしかったと思います」(SHペレナラ)

キックも活用しながら前進を果たしたあとは、相手にボールが渡ったとしてもディフェンスでプレッシャーをかけていこうという意識がうかがえた。前節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦で圧をかけ続けたラインアウトディフェンスは、この日も効いていた。

「シンプルなことを継続する。特別なことはいらない。自分たちのシステムを守って、シンプルにタックルしていたら、絶対ボールがうちにくる。ターンオーバーからトライを獲るチャンスをつくろうと」(FLマクカラン)

これはリードを許し後半に向かっていく際の意識を語った言葉だが、おそらく試合を通じて貫かれていたテーマだろう。後半13分、試合の流れを引き寄せることとなったSO中楠のトライは、CTB池田のタックルのあと、LOジョシュ・グッドヒューとNO8ファカタヴァアマトのプレッシャーでこぼれたボールを拾うことで生まれた。一見偶発的にも見えたが、プランにのっとったものだったのかもしれない。

このトライについてのSO中楠のコメントは味わい深い。

「こぼれ球であったり、小さいエラーを突いていくのは、大学時代にそういうちょっとしたところを積み重ねて勝っていこうとするチームにいたからかもしれません。いい習慣になっているとは思います」

プレースタイルには、その人がどんな道を歩んできたかが反映されている。

2つのモールトライ

「一番良かったのは、バリエーションが豊富だったことですね」

SHペレナラがアタックをそう評価した後、傍らに座るタンバイ・マットソンヘッドコーチがつぶやいた。

「モールトライね」

今季のモールトライは、第2節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦(後半17分:HO大西将史)と第3節の三重ホンダヒート戦(後半10分:HO大内真)に1つずつあったのみで、少し遠ざかっていた。

マットソンHCはチームづくりを進めていたプレシーズンから、モールの重要性をよく語っていた。22mに入ったあと、確実にスコアを挙げられるチームになるための武器としてモールは欠かせない。加えて、そこでプレッシャーを生み出し相手の意識を向けさせれば、モール以外のアタックも効果的なものになっていくという話をしていた。その意味で、この日の2つのモールトライは指揮官にとっては待望のものだったかもしれない。

ここまで、後半のゲームマネジメント、ハイボールバトル、ターンオーバーディフェンス、ラインアウトと課題は様々出てきた。しかし試合を重ねる中で、一歩一歩ではあるが、これらの改善が実感できるシーズンになっている。細かなパーツは仕上がりつつある。ここから全体を組み上げていけるか。チームはそんな局面にある。

次節第9節は、駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場に、現在暫定8位の浦安D-Rocks(浦安DR)を迎えてのホストゲーム。キックオフは2月21日(土)13:00。このゲームをもって、全18試合で組まれているレギュラーシーズンは折り返しとなる。

順位表を見ると、7勝以上を挙げているトップ3が抜け出しかけており、5〜3勝を挙げ現在4位から8位を争う中位集団が生まれつつある。BR東京と浦安DRはともにここに入っており、さらに序列を上げ、シーズン後半でプレーオフを争っていく挑戦権を懸けた一戦ともいえる。

互いにカテゴリーCに属する代表クラスの選手が比較的コンスタントに力を見せ、チームにいいインパクトを与えているという共通点もある。互いに、実力者たちが繰り出すプレーに、チームとしてどんな対応ができるかがカギとなりそうだ。

リーグワンでの初対戦となった昨季はBR東京が44-22で勝利。ただ前半は15-22とリードを許し、後半に巻き返しての逆転勝ちだった。今年もタフなゲームが予想されるが、2023年2月以来約3年遠ざかっている駒沢で勝利を挙げ、世田谷に歓喜を届けたい。

監督・選手コメント

タンバイ・マットソンヘッドコーチ

キヤノン(横浜E)が自分たちに与えた脅威は、スコアには反映されていない部分もあったと感じています。ハーフタイムのスコアではリードを許していましたし、ワイドチャンネルのところで示していた脅威には苦しめられました。かなりの失点があったので、月曜にはそこをしっかりと見直したいと思います。

ですが、皆さんのご想像の通り僕はチームのことをすごく誇りに思います。そういった厳しい中でもしっかりアジャストし、相手が見せてきた強みを封じてくれたからです。

ボーナスポイントを獲得して勝てたことも、シーズン全体を考えたときにすごく重要なことでした。社員選手、OBのメンバーにとっても、大事なゲームだったので、その点でも特別な勝利かなと思っています。

SH TJ・ペレナラキャプテン

僕もすごくみんなのことを誇りに思います。昨年このカードを戦って、会社にとってすごく重要なゲームであることを実感できたのですが、今年もそれを感じることができました。そうしたゲームでパフォーマンスを見せ、よい結果を残せたことは、チームとして忘れられない出来事になると思います。ロッカールームもハッピーな雰囲気でした。

でもヘッドコーチが言ったように失点も多かったですし、やらなきゃいけないことはたくさんあります。部分的、時間帯によってはキヤノンさんにかなりのプレッシャーをかけられ、前半の後半部分などは、ワイドチャンネルで結構苦しめられました。チャンスを得ると確実にダメージを与えてくる強い選手がいました。

5、6時間くらいは勝利したことを存分に喜びたいと思いますが、自分たちはスポーツをやっていて、大きな目標に向かって前に進んでいかないといけない。しっかりリカバリーして、月曜日からトレーニングに戻ってきたいと思います。

質疑応答

——前半の途中、相手のSO田村優が出場したあたりから失点が増えたように映った

マットソンHC:特に前半のあの場面は、リアクションが悪かった。CTBジェシー・クリエルはやっぱりいい選手ですし、バックスリーもかなり速い。そこは相手の強みだと思うんですけど、それが示されたときに合わせられなかったんですよね。なので、できるだけその強みを活かさせないようにしなければいけなかった。

30点を取られてるので、失点については重点的に見る必要があるのかなと思っています。今季は少しアタックを意識したゲームがテーマになっていて、伸ばしているところです。それもあってか、ターンオーバーが起き相手にボールが渡ったときのリアクションがやや遅く、相手チームに簡単にポイントを取られてしまっています。トップ6を目指すのであれば、そこはさらにフォーカスし、解決していかなきゃいけないと思っています。

——会社の代表として戦うことについて

TJ・ペレナラ:チームには、社員選手とプロ選手がいます。特に(プロの)外国人選手は、こういう環境に置かれた経験がない。会社のために戦うっていうのはニュージーランドやオーストラリアではないんですね。ですので、社員メンバーから会社同士の関係性、このゲームでいい試合をすることが会社にとってどれだけ大事なのかを話してもらうことはすごく大事なことでした。100%理解するのは難しいのですが、少しずつ理解していくっていうことが、とても大事だったと思います。

プロの選手の中でも、自分たちにとって今週は一番大事な週だという話をしました。トレーニングでよい姿勢を見せて、プレーできるチャンスをもらった選手は身体を張る。この会社への思いを、会社とそこで働く方たちに、しっかり伝えようと。会社がなければ、ここで大好きなラグビーというゲームはできていません。彼らがそれを可能にしてくれている。だから、勝っても、負けても、引き分けでも、どんな結果になろうと、姿勢やエナジーを絶対に見せなきゃいけないとも話して、1週間を過ごしてきました。

——アタックについての手応えは

TJ・ペレナラ:部分的にはいいアタックを見せられたと思っています。特に最初のほうですね。相手にプレッシャーをかけられていましたし、ペナルティもいくつか誘うことができていました。スタートのかたちっていうのはすごくよかったです。相手がほんの少しコントロールを持ち始めて、そこから自分たちのアタックプランもほんの少し変わっていったかなと。FWのプレーですね。モールやスクラム、密集の近場でのプレーが増えた。自分たちのチームのFWは、試合が上手くいっていないときに頼ることができるレベルにあると思います。

一番良かったのは、バリエーションが豊富だったことですね。

マットソンHC:モールトライね。

TJ・ペレナラ:2つのモールトライ。スクラムからのトライ。1週間ずっとリハーサルしてきたセットピーストライもありました。その通りできることは少ないんですけどね(笑)。キックもよかったと思います。それに対するチェイスもですね。キックというと守備的なプレーだと思われがちですけど、アタックキックや陣地を回復させるキックも素晴らしかったと思います。今日はアタックのバリエーションがすごく豊富でよかったかなと思いました。

試合ハイライト

 

■公式ファンクラブ『RAMOVE』限定コンテンツとして、李淳弘選手、マクカラン ブロディ選手、ファカタヴァ アマト選手のインタビューを公開しています。マイページよりログインいただきご覧ください。

■試合結果はこちら https://blackrams-tokyo.com/score/score.html?id=440

文:秋山 健一郎

写真:川本 聖哉

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