【Review】第5節 vs. コベルコ神戸スティーラーズ
2026.01.21
分厚い壁に阻まれ3連勝逃すも、復帰&新鋭選手が輝き
前節、逆転勝利で2勝目を挙げ、勝敗を五分に戻したリコーブラックラムズ東京(BR東京)は、第5節のコベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)戦に挑んだ。第4節を終え3位と好調の相手から約3年ぶりの勝利を目指し果敢に攻めたが、ボールロストからの速攻で繰り返し失点し、21-67(前半7-34)で敗れた。
先発メンバーにはハイボール対策などを期待されたと思われるWTB西川大輔が名を連ね、2024年5月以来の公式戦出場を果たした。また、リザーブには直前の入替でCTB/WTB秋濱悠太が入り、後半22分から西川に替わって出場。苦しいゲームとはなったが、西川はハイボール処理、秋濱は冷静で力強いタックルや思い切りのよいランで存在感を示した。
BR東京はPGで先制を許したあとの前半8分、相手がPKをノータッチにするミスを起点に攻めてモメンタムをつくりだすと、FWがパスワークを見せてトライを獲り切り7-3と逆転。しかし13分に自陣ラックでボールを失いキックで前進され、ラインアウトでのミス、さらにラインアウトモールでトライを許し7-8とリードを奪い返される。
さらに前半19分にもスクラムからのアタックで、LOブロディ・レタリックとFLアーディ・サベアのFWの連携でゲインされると展開され、WTBイノケ・ブルアのトライで7-13。25分にも神戸Sの自陣スクラムからのアタックでエッジを走られ、LOレタリックがトライ。7-20とリードを拡げられた。
この場面で最終ラインでタックルにいったFBアイザック・ルーカスにイエローカードが出て、数的不利も背負う苦しい展開になると、27分にブレイクダウンでのターンオーバーから、35分にハイボールキャッチからとアンストラクチャーから2つのトライを奪われ、7-34と引き離された。BR東京は29分に時間を使いながらPGを狙ったが、ポストに当たり不成功。
試合はそのまま後半へ。WTB西川大輔のハイボールキャッチとCTB池田悠希のキックで敵陣深くに入ることに成功すると5分、ラインアウトから攻めCTB PJ・ラトゥのトライで14-34とした。
後半10分にはSH TJ・ペレナラの50:22が決まり再び敵陣に侵入するなど流れをつくりかけたが、ラインアウトのミスが重なり好機を逃す。14分にゴール前で与えたPKからのリスタートで、21分にラインアウトからのアタックでトライを許し14-48。
BR東京は後半18分にSOに伊藤耕太郎、22分にWTBに秋濱、26分にSHに髙橋敏也をピッチに入れて戦い、29分には秋濱のブレイクを足がかりにした攻撃でNO8サミュエラ・ワカヴァカにトライが生まれ21-48としたが、ラスト10分でターンオーバーなどを起点に3つのトライを奪われ、21-67と突き放されノーサイド。
神戸Sのボールを獲得した際の実行力を80分間保ち続ける一貫性のあるラグビーに失点が重なり、BR東京として最多失点を喫する悔しい敗戦となった。第5節を終えての通算成績は2勝3敗となり、順位は1つ下げ8位となっている。
ターンオーバーアタックから奪われた4トライ
「ターンオーバーをされてしまったら、必ず相手が罰を与えてくる。それが1試合通して続いた。それに対しエナジーを見せたり、解決策を見出してリアクションすることができなかった。今週行ってきた準備について、ヘッドコーチとして責任を感じています」
タンバイ・マットソンヘッドコーチの表情は険しかった。
この試合でブレイクダウンでボールを失ったケースは、ペナルティとなったケースを含め7回。そこからプレーを切らずにアタックを仕掛けられ、トライもしくはトライを引き寄せる大きなゲインが生まれたケースは4回あった。奪われた10トライの4割を占め、ターンオーバーアタックへの対応が試合の行方に影響を与えていたのは明らかだった。
点差はついたが、敵陣でプレーしていた時間やボールを保持していた時間に大きな差はなかった。ペナルティの数も、22mの内側に入った回数にも差はなく、試合を完全に支配させたわけではない。数字から見えてくるのは、敵陣に入り脅威を生むアタックを仕掛けながらもスコアに繋げられずにいたBR東京と、それを受け止め、ボールを奪い返すたびに少ないフェーズでトライを重ねていった神戸Sの姿だ。
「攻めているときにターンオーバーが起きても、(即座にプレッシャーをかけ)相手が自陣からビルドして攻めないといけなくなるようにしないといけない。一発で獲られる状況ができてしまっていたことが、今日の課題」(SH TJ・ペレナラ)
ターンオーバーが起きたあと、混沌から始まるディフェンスは、それぞれに状況が異なる。こうすれば絶対に対応できるという答えはない。ピッチを上から観る視点であれば、ボールの位置や発生しているスペース、選手のポジションなどの把握はしやすいが、ピッチレベルの目線で、身体をぶつけあっている選手が、それを察知し適切に動くのは、本当に難しいことであるはずだ。エナジーやリアクションの鋭さはもちろん、経験や想像力、選手同士の相互理解なども必要になるのだろうか。非常に難しいからこそ、そこを狙って攻めることが一般化しているともいえる。
爪痕を残した2人のWTB
厳しいゲームになったが、この試合で出場機会をつかんだWTB西川大輔と秋濱悠太のプレーは、観る人々にインパクトを残した。
「結果は試合を左右する。セットプレーと同じぐらい大事なもの」とSO中楠一期も話すハイボールのコンテストでの貢献を期待され抜擢されたであろう西川は、出足鋭く競りにいき、前半21分と後半3分にキャッチに成功。後半のキャッチは直後のCTB池田悠希のエリアを奪うキックに繋がりトライを導いた。チームが強く意識しているというエッジでのプレーでも強いキャリーやタックルがあった。
「ハイボールのところを求めるっていうのは前から伝えられていたので。そこはもう100%出そうと。自分の武器でもある部分なんで。そこに関してはパフォーマンスを出せたかなとは思ってます」(WTB西川)
タンバイ・マットソンHC就任後は初の公式戦出場だった。メンバー入りした選手の試合への準備をサポートする役割を1年以上続けてきたが、常に大きな声を出しノンメンバー側の熱量を引き上げ、トレーニングを盛り上げてきた。2023-24シーズンは14試合(入替戦含む)に出場し5トライを挙げた経験を活かし、チームへのさらなる貢献を目指す。
西川と替わり、後半22分にピッチに立ったのがリーグワン初出場となった秋濱だ。登場するとすぐに相手のCTBマイケル・リトルを低いタックルで止めてスローフォワードを誘うと(後半25分)、直後のスクラムからのアタックで乱れたボールを拾い、ギャップをブレイク。敵陣に入ると足に掛け、さらにブレイクダウンでWTBイノケ・ブルアをクリーンアウトしボール確保に成功(26分)。その後はエッジでトライを狙ったWTBアタアタ・モエアキオラをタックルで押し出すビッグプレー(31分)を見せるなど、攻守で鮮烈な印象を残した。
「(31分のプレーは)たまたまです。相手のWTBもボールがよくなくて、姿勢がよくなかったので。(今季のテーマは?)1つは23人に入ること。それと1つのポジションに執着しない。いろいろなポジションができたほうが、23人のスコッドに入りやすいなってのがあるんで。スタメンに限らずですね。マルチプレーヤーになること」(WTB秋濱)
プレーだけではなく、俯瞰視点のコメントにも新人らしからぬ冷静さがあった。
次節は1月24日(土)の14:30より相模原ギオンスタジアムで開催されるビジターゲーム。三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)戦となる。直近のリーグワンのゲームでは2025年5月に22-7(前半22-0)で勝利を挙げた。一方、9月のリーグワンライジングはBR東京は若手主体で臨んだゲームだったものの、21-38(前半7-7)で敗れている。現在1勝4敗で9位となっている相手ではあるが、第4節の東芝ブレイブルーパス東京戦では後半21分まで22-28と接戦を演じ、36-47で惜敗した前節の静岡ブルーレヴズ戦は前半をリードして終え、後半39分まで6点差とやはり接戦だった。コントロールされている総失点数からも粘り強いディフェンスや試合をマネジメントする力がうかがえる。
今節もタフな試合になることが予想されるが、まずはどんな展開になろうともエナジーとエフォートを見せ、泥臭く食らいついていくBR東京のラグビーを取り戻すことか。1週を空けて始まる、世田谷でのホストゲーム2試合を含む東京での3連戦に向け、弾みをつける勝利に期待しよう。
監督・選手コメント
タンバイ・マットソンヘッドコーチ
まずは、スコアを見てもらったら自分たちのパフォーマンスがそこに現れているかなと思います。相手を止めることができなかったというのが、スコアに現れているかなと思います。いいスタートは切れたと思っていてそこはポジティブでしたが、かなりの回数に及んだターンオーバー、そこからのターンオーバーアタックについては、相手からレッスンを受けるようなかたちになったと思います。ターンオーバーをされてしまったら、必ず相手が罰を与えてくる。それが1試合通して続いた。それに対しエナジーを見せたり、解決策を見出してリアクションすることができなかった。今週行ってきた準備について、ヘッドコーチとして責任を感じています。ここ(神戸に)来させていただき、こういう結果になってしまったのは本当に残念です。
SH TJ・ペレナラキャプテン
本当に残念です。試合前からターンオーバーアタックが相手の強みだということはわかっていたんですけど。そういう相手と戦うときに大事なのは、1つはターンオーバーを起こさせないこと。もう1つはターンオーバーが起きたあと、エナジーやコネクションを高く保って、素早くアタックを封じこめること。今日はそれができませんでした。必要なエナジーレベルを見せられなかったと思います。相手は本当にいいチーム。ターンオーバーアタックに関してはリーグでもナンバーワンかもしれません。もう一度対戦するときまでに、しっかりと止められるように修正できるかが大事になってきます。来週もまた重要なゲームなので、ひとつになってやっていきたいと思います。
質疑応答
——WTB秋濱悠太がデビュー。評価を
マットソンHC: 秋濱はこれから長くキャリアが続いていく選手なんじゃないかなと思っています。今日のような試合で若い選手が出てきて光るっていうのは、すごく難しいことだと思うのですが、彼はそれをやった。アタックでもディフェンスでも見せてくれた。すごくよいファーストゲームだったんじゃないかと思います。またセレクションミーティングが難しいものになるなと。今回は木曜日にケガ人が出てメンバーに入ったかたちだったのですが、いいパフォーマンスを見せてくれたと思います。誇りに思います。
——開幕から失点数が多くなっている。特に前半に畳み掛けられて後半追いかけるという展開が第2節以降続いている。そこをどのように修正していきたいか
マットソンHC:すごくいい質問です。ターンオーバーのところが大きく関わっていると思います。今日学んだことは、これまでの4試合もずっとトレンド(傾向)になっていて。ハーフタイムで34点を獲られるとやはり後半を難しくしてしまうので。それでもスコアを返してきたところについてはプライドを持っているんですけども、ここまでの失点をしない方法を見出す必要はある。ボールキープのところもコンシステンシー、一貫性を持って。「ここを1個直せば」とかそういう話ではなくて、取り掛からなければいけないことはいくつかあると思うので、そちらも含めてやっていきたいと思います。
——いいアタックはあったが、最後のところで繋がらないシーンが多かった。その要因は
TJ・ペレナラ:相手のいいディフェンスもあったと思いますし、自分たちに辛抱強さが足りなかったのもあると思います。今日の一番の教訓は、相手の22mの内側、レッドゾーンと呼ぶエリアでのアタックのあとです。そこでターンオーバーが起こったとして、普通はそこからそのままストレートに失点に繋がるとは思わない。(相手がアタックに転じ攻め上がる中で)ミスとか、ペナルティも起こりうるし、どこか別のところでセットピースになることが多いと思います。今日はいいアタックしているときにターンオーバーが起き、そこから直接ポイントにされたり、自分たちのゴールに近いところのラインアウトまでもっていかれていました。グラウンド上の場所、プレッシャーを与える側が大きくスイングした(逆に振れた)。
自分たちはプレッシャーのバルブ(弁)を簡単に解放してしまっていました。いいエリアに入ったとしても、ターンオーバーが起きてしまうことはあります。できるだけ避けたいですが。でも、プレッシャーをかけていたのに、一瞬で同じようなプレッシャーをかけられる側に回ってしまうのは。攻めているときにターンオーバーが起きても、(即座にプレッシャーをかけ)相手が自陣からビルドして攻めないといけなくなるようにしないといけない。一発で獲られる状況ができてしまっていたことが、今日の課題でした。
試合ハイライト
■公式ファンクラブ『RAMOVE』限定コンテンツとして、谷口祐一郎選手、西川大輔選手、秋濱悠太選手のインタビューを公開しています。マイページよりログインいただきご覧ください。
■試合結果はこちら https://blackrams-tokyo.com/score/score.html?id=437
文:秋山 健一郎
写真:川本 聖哉