【Review】NTT JAPAN RUGBY LEAGUE ONE 2022-23 第7節 vs.横浜キヤノンイーグルス

2023.02.07

アクセル踏み込めず。“フラット”な戦いに

年明けから5週にわたった連戦の締めの一戦は、インターバル5日のショートウイークで迎えた。肉体的な疲労は当然のことながら、激戦がもたらした多大な学びや反省は、リコーブラックラムズ東京(BR東京)のメンバーのメンタルに小さくはないストレスを与えていたのかもしれない。リーグワン第7節、ビジターとして挑んだ5位・横浜キヤノンイーグルス(横浜E)とのゲームは13-34で敗戦。通算成績は2勝5敗となり、順位は1つ下げて10位に。我慢のときが続く。

「フラットな感じがした」

ピーター ヒューワットヘッドコーチが試合後の記者会見でこの表現を用いたのは今シーズン2度目。開幕戦で三菱重工相模原ダイナボアーズに敗れたとき以来だ。この数試合必ずどこかで踏むことができていた“アクセル”を踏めずに終わってしまったといったところか。前半の序盤に連続トライを許しながらも、13-17と4点差まで戻して試合を折り返しスコア的には反撃を見せたが、質の部分でブラックラムズの本来の力を見せることができた時間はわずかだった。FBマット マッガーンも「自分たちがコントロールしている時間帯はなかった」と振り返った。

熟成進むBKの連係。WTBメイン平が今季初トライ

試合はBR東京が先にアタックチャンスを得た。蹴り合いからカウンターを仕掛け、SOアイザック ルーカスとWTBネタニ ヴァカヤリアの連係で左サイドをブレイク。敵陣深くに入った。しかし、相手ボールになったあとのディフェンスでPK、直後のスクラムでFKを与えフィールドポジションを下げると、蹴り合いで押し込まれ自陣深くのラインアウトというピンチを招く。そこからのスピーディーな展開にディフェンスで粘れずトライを許す。(前半7分)

さらに、リスタートキックからのアタックで右のエッジで突破をされると、ワイドにボールを動かされ、ここもディフェンスが後手に回りゲインを許す。ホイッスルなしでゴールを割られた。(前半9分)

開始直後、うまく入った敵陣でのチャンス。直後に訪れたピンチ。ここで粘り強いプレーを見せられなかった場面の印象も、指揮官の用いた“フラット”の表現には含まれていたのかもしれない。

それでも25分に敵陣の中盤、左中間で得たスクラムから右に展開しブレイクに成功すると、WTBメイン平がディフェンスを強くハンドオフして今シーズン初トライ。直後にもゴール前まで攻め込みアドバンテージを得た状況でSOルーカスの短いキックを蹴り、WTBメインが背後から走り込みインゴールでキャッチを狙うプレーでトライを奪いかけた。(前半30分/映像判定でノックオンに)

前節のゲームでトライを重ねたBK陣。その連係のレベルアップが確かなものであることは示せていた。

 

強みのモールディフェンスで規律を守れず、招いた失点

後半は規律という課題が改めて浮き彫りになる40分となった。後半開始からの22分までに7つのペナルティ(イエローカード1枚含む)が出て、これを利用され2PG、2トライで17点を失った。反撃し点差を詰めたかった時間帯に点差は4点から21点へ拡がり、セーフティリードに持ち込まれてしまった。

試合展開上最も大きなダメージになったのは、13分に立て続けに2度犯した相手ラインアウトでジャンパーが着地する前に、モールに備えたディフェンスを仕掛けてしまうペナルティか。今シーズンのBR東京にとってモールディフェンスは大きな武器だ。相手に思う通りのラグビーをさせないための鍵といっていい要素となっている。だがそんな強みも、規律の中に収めることができなければ無力と化すのがラグビーであることを痛感する場面だった。

後半のエナジー注入を託されたNO8ネイサン ヒューズや前半に負傷したFL松橋周平と交替したブロディ マクカラン、2試合連続で試合の終盤のゲームコントロールを担った南昂伸らがあきらめない姿勢を見せチャンスもつくったが、チームとしてここ数試合の後半に見せていたうねりを起こすことはできなかった。

減らせるペナルティから減らしていく姿勢

ペナルティを減らす。規律を守る。試合後の記者会見で敗れたチームの多くが口にする。だが、「ペナルティの数」という指標が示すのは多種多様な状況や状態だ。当然、求められる対応も多種多様となる。こうすればいいという一つの答えがあるものではない。ラグビーとは、そんなとらえることの難しい反則というものを、いかにかいくぐるかを競い合うスポーツという面もあるように思う。

「まずは自分たちがコントロールできる部分でペナルティを減らす」

以前、ゲームキャプテンのFL松橋はそういった。連戦の中では、考え込んでしまうのではなく、こうした切り分けをしていくことがとても大事であると感じる。自らの意思でコントロールできる部分の規律を徹底する。もちろんそれだけでは反則はゼロにはならないだろう。レフリーとコミュニケーションを重ね、正しい理解のもとで基準に対応したり、フィジカルで優位に立つことでしか減らせない反則もある。偶然や巡り合わせが大きく影響する反則すらある。その全てで対処を図れればベストだが、明日からできるのは、松橋がいうような対処であるはずだ。

次節までの2週間というインターバルは規律意識を変える大きなチャンスだ。それ次第で、BR東京の未来は大きく変わってくる。

監督・選手コメント

ピーター・ヒューワットHC

本当に残念。今日はフラットな感じがした。先週の接戦でエナジーを使ったのかなと。スタートはそんなに悪くなかったが、セットピースが機能しなかった。多くのスクラムペナルティを取られ、フィールドポジションを与えてしまった。早い時間帯は相手にそれを活用されてしまった。それでも13-17まで戻したが、後半もディシプリン(規律)やスクラムなどで同じようなミスが続いてフィールドポジションが獲得できず、前で横浜Eにドミネートされた。

(3連敗となった。どんな修正をしていくか?)タフな試合が3試合続いた。埼玉WK、S東京ベイ――。先週、接戦に敗れたダメージはあったとは思う。今日はスタートからスローだった。でも、自分たちのゲームができれば、相手にとってやりづらいチームであるとは思っている。あとは安定して、そういうゲームを毎週すること。トヨタVや静岡BRとの試合ではそれが見せられたと思う。埼玉WK、S東京ベイ戦でも部分的には見せられたかなと。波をなくして安定させなければいけない。正しい準備。メンタル的にもしっかり試合に集中し続けることも含まれるのかなと。ゲームにおいてそういうことができるのがトップの選手だと思っている。

FB マット マッガーン

基本的にはヘッドコーチと同じです。なんとか食らいつこうとしている感じになってしまった。自分たちがコントロールしている時間帯はなかったといえると思う。そうしてしまったのは自分たちのせい。

(敵陣に入りながらもチャンスを逃す場面が続いた。ブレイクダウン周りなど、横浜Eのプレッシャーはどのようなものだったか?)プレビュー通りではあったと思う。コーナーはハードで速く、いいボールキャリーができなかったり、ブレイクダウンのリアクションがよくなかったりしたら危険だというプレビューはしていた。偶然ではなく、その通りのことが起きた。

PR 西和磨

(スタートから出場するチャンスを得た。難しい試合にはなったが感想を)自分はやっぱりFWとしてセットプレーを意識していたが、規律を守りきれず自分たちで苦しい試合展開にしてしまった。

(チームとしてフォーカスしていたのは?)ここ数試合のことだが、規律というのはずっといっていた。あとは試合のエナジー。自分たちでコントロールできるところはチャレンジしていこうと話していたが、その点についても押しきれなかった。

(ラインアウトでは相手との距離の保持など、規律を意識させる声がけをしていた)個人の役割として与えられた仕事だったので果たそうとはしていた。

(後半はラインアウトディフェンスでペナルティが続いて出てしまった)強みにしているところで規律が守れず、アーリーに入ってしまった。ただリーグが始まってから犯してしまっている現象でもあるので、チームとして解決していかないといけない。ああいう対応があるというのはわかっていたこと。そこで早く入ってしまった自分たちに隙があった。もう少しお互いがコネクトして、そういうのもあるよという声がけをしていれば防げた。

LO ジョシュ グッドヒュー

(合流は開幕直前の11月。そうとは思えないほどにチームにフィットしているように映る)チームがウェルカムしてくれたから。1日目からチームの一員として関わってきてくれた。合流が遅れることについての心配はあったが、すごく助けられた。

(一番心がけていることは?)フィジカル。ラインアウトのリーダーとしての役割。スーパーラグビーでの経験をチームに持ち込み、伝えることも求められていると考えている。

(チームワークが重要なプレーであるラインアウトでの貢献も大きい)マーフ(ローリー マーフィーアシスタントコーチ)が、僕が知らなければいけないことをクリアに教えてくれているから。複雑にしないということを心がけてやってくれている。今回のようなタイミングでチームに加わってラインアウトのコーラーをするのは難しいことだと思うが、手厚いサポートのおかげでできている。

(今日のゲームでは、自陣での相手のラインアウトでのディフェンスが大きなポイントとなった)あれは難しい。タフだった。テクニック的には、選手を高く持ち上げ続けてはいけないという前提がある。ただ基準にはどうしても幅があるものなので、それを理解して適応しなければいけなかった。スマートにできず、不必要なペナルティを犯してしまったと考えている。「その瞬間」にいなければいけない。何が起きるんだろうと心配ばかりしていると、避けられるようなペナルティをしてしまうというのはあるのかなと。

(次のゲームまでは2週間空く)自分たちは惜しいところまできている。シンプルなところを直していくのにはいい期間になると思う。出場機会が回ってきていない選手たちが、いいプレッシャーをかけてくれると思うので、そこにも期待している。

CTB 池田悠希

最初に規律のところ。ペナルティを多くしてしまい、なかなかリズムに乗れないというのがあるので。毎週意識はしているがなかなか減っていないのが現状。もう一回チームで見直して、どうやって減らすかを話し合いたい。あとは80分間通して、一貫性のあるいいパフォーマンスをすること。いいときもあるが、それをいかにやり通すか。

(前節の試合ではBKが本来の力を見せたようにも映った)今日の試合では、ボールを保持して、フェイズを重ねてアタックするシーンがあまりつくれなかったので、ボールをキープすること。ブレイクダウンなどからもう一度見直して、自分たちのアタックができるように、次に向けて準備していきたい。

(自分に求められているものは何だと考えているか?)僕は身体も大きいので、フィジカルにボールキャリーをしていくこと。アタックでチームを前に出すというのは意識している。

(SOルーカス、CTBハドレー パークスと優れた選手がチームを牽引している。刺激も受けているのでは?)ミルキー(ルーカス)はラインブレイクする力があり、パクシー(パークス)はボールキャリーで前に出られる。ディフェンスでは盛んにトークしてくれるので、とてもやりやすい。自分も周囲とのコミュニケーションのところでもっとやれることがあると学ばせてもらっている。

■試合結果はこちら https://blackrams-tokyo.com/score/score.html?id=359

文:秋山健一郎

写真:川本聖哉

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