【Review】NTTジャパンラグビーリーグワン2022 第15節 vs トヨタヴェルブリッツ
2022.05.06
攻守で強いフィジカルを見せる難敵に苦戦。LO柳川大樹のリーグワン初トライで反撃
「リーダーの多くが試合に出られない状況になっており、それは若い選手たちにとって苦しいこと。ただ苦しいからこそ、いい経験になっている」
試合後のピーター ヒューワットヘッドコーチ(HC)の指摘は、確かに気になるところではあった。若手選手と経験を積んだシニアプレーヤーと比べたときに大きな強みとなるのは、恐れを知らないことだ。だからこそ可能となるがむしゃらなプレーが試合を動かすことは多くある。
ただ、若手選手がそうした働きを見せるためには、経験を持つリーダーらによる、ときに荒削りな面もある若手選手のフォローを通じて、バランスをとることも必要となる。現状のリコーブラックラムズ東京(BR東京)は、若手選手同士でバランスをとらざるを得ない時間帯もあり、ただ思いきりのよいプレーをしていればいいという状況ではないようにも映る。
だが、そうした状況でしか磨かれない判断力なども当然あるだろう。ヒューワットHCは、このタフな状況が成長スピードを早めていると認識しているようだった。ケガなどの影響によってもたらされている状況ではあるが、この若い選手に経験の機会を与えるという投資は、チームを必ず次のステージに導く。そう信じ、闘い抜くべきときがきている。
リーグワン第15節はホストゲーム。秩父宮ラグビー場でのトヨタヴェルブリッツ(トヨタV)との今季2度目の対戦となった。13時、快晴のスタジアムにキックオフのホイッスルが響く。
FBマット マッガーンが蹴り込んだボールがラインの後方に転がり、BR東京のチェイサーが詰める。ゴール前でボールを持った選手にプレッシャーをかけるとインゴールに下げてキックアウト。いきなり右サイド、22mラインの内側でのラインアウトを得る。
これをキープしアタックに取りかかるが、2フェイズ目にラックサイドを猛烈なキャリーを仕掛けたHO森雄基に対し、鋭く手を入れたトヨタVがボールを後方に弾き確保。BR東京の最初のチャンスは阻まれた。(前半2分)
逆サイドにボールを持ちだしたトヨタVはキックと猛烈なプレッシャーでBR東京を押し込んでいくが、BR東京もキックを蹴り返しエリアへのこだわりを見せる。
SH髙橋敏也のキックをチャージして攻めに転じようとしたトヨタVにノックオン。ファーストスクラムを迎える。ここはトヨタVがやや押すが、ボールはキープしSOアイザック ルーカスがキックを蹴り込む。これを追ったCTBメイン平が先にボールを触れて後方に弾く。だが、転がったボールをトヨタVも選手が足にかけBR東京陣内へ。ゲインはできなかった。(前半5分)
WTB古賀由教がボールキャリーを仕掛けるが、激しいディフェスに遭いノックオン。このボールを使ってトヨタVが攻める。見るからに重さを感じさせるボールキャリーで前進。BR東京陣内中盤まで攻め込むが、ステップを切ってブレイクを狙った14番がノックオン。
このスクラムもキープしたBR東京は、ここもキックを蹴り込む。22mラインの先まで転がったボールをトヨタVがキックアウトし、ハーフウェイ付近まで戻す。(前半7分)
右サイド、ハーフウェイ付近のラインアウトからBR東京が攻める。テンポよくフェイズを重ねていくが、ブレイクダウンで重い壁が立ちはだかり、前に出られない。SOアイザック ルーカスがハイパントを上げるが、トヨタVが確保。ディフェンスがプレッシャーをかけたが、わずかにコネクトが途切れたところをトヨタV5番が抜けてブレイク。35mほどゲインして、これを足がかりにトヨタVが攻める。左中間から展開して右サイドを狙うがここはパスが乱れタッチを割る。(前半8分)
自陣中盤、左サイドのラインアウトからモールを組むBR東京。さらにSH髙橋がハイパントを上げる。だがこれを直接キャッチしたトヨタVは右中間から左へ展開。エッジを12番が抜ける。ゴール直前で内をフォローした13番に戻しトライ。CVは不成功ながら0-5とトヨタVが先制する。(前半10分)
再開後、ハーフウェイ付近でキックをキャッチしたSOアイザック ルーカスがステップで突破を図るとトヨタVにハイタックル。PKで22mライン付近まで前進する。右サイドのラインアウトから攻めると、CTB池田悠希がゴロキック。これがタッチを割り22mライン内側のトヨタVのラインアウトで再開。キープしたトヨタVは15番が冷静にキックアウト。エリアの奪い合いが続く。(前半13分)
ラインアウトは安定感を見せていたBR東京だが、直後のアタックでボールキャリアが手を差し込まれボールを奪われる。トヨタVがキッキングゲームを仕掛け、互いにキックを蹴り合う。ここで前方に出ながらキックを蹴ろうとした15番との間合いを詰めたPR谷口祐一郎がキックをチャージ。しかしボールは谷口ではなく、下がってボールを処理しようとしたトヨタV11番に入る。ボールが谷口に入ればトライもあり得た場面だった。
アタックを続行したトヨタVは、自陣からパスを細かくつなぎでじりじりとゲイン。BR東京陣内22mライン付近で6番が抜けてそのまま左中間インゴールまでも運ぶと、食らいつくディフェンスを引きずるようにしてグラウンディングしトライが認められた。CVも決まり0-12となる。(前半17分)
再開後、BR東京がチャンスをつくる。トヨタVがリスタートキックを落球。右中間、22mライン付近のスクラムとすると、これをキープして左に展開。SOアイザック ルーカスがパスダミー1つ入れてクラッシュ。その脇に走り込んだCTBメインにオフロードパス。これが通り、メインはディフェンスをかわし左前方へ走る。ゴール目前で外をフォローしたFBマッガーンにパス。マッガーンは2人のディフェンスにつかみかかられたが、インゴールに身体を倒しグラウンディングを狙う。しかし、認められずゴールラインドロップアウトに。(前半18分)
ハーフウェイ付近まで転がったドロップアウトを、FBマッガーンが確保すると自分でキャリー。左中間のラックから右へパスアウト。PR千葉太一を経て、SOアイザック ルーカスへ。アイザックはステップを切り前方のギャップに向けて急加速。前方へ抜け、一気に22mラインを越えていくと、フォローしたPR千葉にパス。千葉はゲインを狙うが、あと5mというところで8番に倒され、ボールに手をかけられてノットリリースザボール。(前半20分)
SOアイザック ルーカスの仕掛けにCTBメイン、PR千葉と2度続けて周囲のメンバーが対応を見せたが、惜しくもトライを獲り切るまでには至らなかった。
PKで前進したトヨタVは、右サイドのラインアウトから逆サイドまでボールをつなぎ、再び左のエッジをブレイク。ここはなんとか追いつき、22mラインの内側のブレイクダウンでボールを奪い返し、キックアウトして危機を逃れる。このプレーで直前のプレーで傷んでいたPR千葉が再び傷み笹川大吾と入替。(前半21分)
左サイド、BR東京陣内中盤のラインアウトからトヨタVが攻める。BR東京はディフェンスラインのリサイクルで後手に回り相手のアタックを受けてしまう。守るBR東京の選手の手に当たってボールがこぼれノックオン。22mラインの内側でスクラムに。
このスクラムをトヨタVが猛烈に押す。10m以上押しゴールに迫ると、レフリーはBR東京にペナルティ(コラプシングとバックスラインオフサイド)。
右中間ゴール前の位置のスクラムでの再開を選択したトヨタVは、中央に出して強烈なキャリー。ラックのボールをピックゴーした7番がポスト右に飛び込みトライ。CVも決めて0-19とした。(前半25分)
再開後、ハーフウェイ付近でアタックを仕掛けたBR東京はノットロールアウェイの反則を誘うと、FBマッガーンの長いPKでゴール前まで前進。左サイドのラインアウトから、モールを組んで前進を図るがアンプレアブルに。スクラムでの再開となる。(前半28分)
組み直しを経て、BR東京は右にSH髙橋がダイビングパス。SOアイザック ルーカスが仕掛けゴール目前までボールを運びラックに。右に出しFL湯川純平が鋭くギャップに身体を捻じ込みダウンボール。これをLO柳川がピックゴー。ポストの右にトライを決めた。直前の相手のトライをトレースするかのような鮮やかな攻撃でBR東京が1本獲り返す。CVも成功し7-19となる。(前半31分)
連続ポイントで食らいつきたいBR東京だったが、リスタートキックを受けて自陣から蹴り出したボールで与えた22mラインの少し手前のラインアウトを起点にアタックを受ける。接点で食い込まれ、また細かいパスをつながれながらじりじり下げられる、4番に割られ左中間のインゴールに運ばれてトライ。CVは不成功も7-24となる。(前半34分)
BR東京はハーフウェイ付近の密集にプレッシャーをかけてきた相手選手がペナルティを犯すと、FL湯川がタップスタート。フォローしたSOアイザック ルーカスにつなぎギャップを抜け22mラインの内側へ。このゲインを起点に連続攻撃を仕掛け粘る。しかし選手がそろったトヨタVのディフェンスは強固で、右中間でボールキャリーを見せ、さらに倒れずレッグドライブを狙ったCTB池田のボールに腕を差し込まれターンオーバー。ここも攻め切れなかった。(前半36分)
前半終了が間近に迫る中、タッチキックを蹴られハーフウェイ付近まで戻されたBR東京は、そこから果敢に攻め、22mライン手前でノットロールアウェイを誘う。ほぼ正面の位置からショットを選択しPGを狙ったが、これわずかに左にそれ不成功。(前半38分)
22mのドロップアウトのボールを使って再び攻めたBR東京は、ハイパントを上げて落下地点にプレッシャーをかける。ボールをキャッチしたランナーを捕まえLO柳川がボールに仕掛けノットリリースザボール。PKで左サイド、22mライン付近までボールを運ぶと、ラインアウトをキープして激しく攻める。
わずかに足が止まったトヨタVディフェンスに対し、LOマイケル ストーバーグのブレイク、FL湯川の鋭いキャリーなどを活かし粘り強く攻めゴールライン目前まで迫ったが、ホーンが鳴ったあと、最後はラックからピックを狙った際に激しいディフェンスに遭いノックオン。BR東京らしいアタックをみせたが、惜しくもトライには届かなかった。7-24のまま前半が終了する。
スコアを重ねられ苦しい展開に。最後に奪ったトライでプライドを見せる
ともにメンバー入替は行わず後半へ。
自陣ラックからSH髙橋のハイパント。ここにWTB栗原とPR谷口が詰めて反則を奪う。PKで22mライン手前まで前進すると、ラインアウトをキープしてテンポよくボールを動かしてフェイズを重ねていく。
しかし、SOアイザック ルーカスのFBマッガーンと連携を狙ったディフェンスの頭上を越える裏へのキックが、大きく戻るように弾みトヨタV11番に入る。チェイスしていたBR東京の選手と入れ違うように前方に抜け、外にフォローした15番につなぐ。
15番は左サイドからインゴールへ転がすと11番がこれに追いつきグラウンディング。15番のキックと11番の飛び出しについて映像確認が行われたが、問題なくトライとなる。BR東京はいいかたちで攻め込みながら、一転失点を喫する苦しい後半の入りとなった。CVも成功し7-31となる。(後半4分)
次のスコアもトヨタVへ。BR東京陣内10mライン付近のスクラムでペナルティを奪われると、PKで22mライン付近まで前進を許す。左サイドからのラインアウトモールを押されじりじりと後退するとゴールまで5m付近の位置でトヨタVがボールを展開。12番がインゴールにキックを転がすと、15番がこれをポスト左で押さえてトライ。CVも成功し7-38。
BR東京はこのトライの後、LOストーバーグをアマト ファカタヴァに、SH髙橋を中村正寿に入替。(後半11分)
リスタートキックの後、キックの蹴り合いを経て自陣から回して攻めるトヨタV。BR東京はディフェンスを試みるも、強いキャリーへの対処で人数に要し、それにより生まれスペースを的確につかれ、後手を踏んでいく。22mラインの内側への侵入を許すと、左中間から長いパスをつながれ外の14番へ。ディフェンスはなんとか追いつくもタックルが決まらず弾かれ、右サイドにトライを許した。CVも決まり7-45。
BR東京はこのトライの後、FLジェイコブ スキーンをタラウ ファカタヴァに入替。(後半15分)
ホストゲームを盛り上げるサポーターのためにも意地を見せなければいけないBR東京が、反撃をみせる。突破口を開いたのはSOアイザック ルーカス。短く蹴ったリスタートキックを確保すると自陣からランで仕掛け、ステップを切って裏に抜ける。右中間、22mラインの先まで運びポイントをつくると、左に展開。一矢報いるべくディフェンスの隙を探り黒いジャージが挑んでいく。
トヨタVにオフサイドが出ると、PKで左サイドのゴール前ラインアウトにする。ラインアウトモールを強固に組み、押し返すディフェンスを阻みゴール目前、左隅のラックに。アドバンテージが出る中、パスを受けたCTB池田悠希はステップを切りスペースにボールを運び、最後は持ち前のフィジカルでディフェンスをねじ伏せ、力強くインゴールにグラウンディングしトライが認められた。CVは不成功も12-45とした。BR東京はPR谷口を西和磨に入替。(後半18分)
試合終盤を迎えてもトヨタVの高い集中力は維持された。激しいアタックで守るBR東京の反則を誘うと、PKで22mラインの先に侵入。ラインアウトモールを押しゴールに迫ると、21番がモールサイドを突いて右中間にトライ。CVも成功し12-52。(後半22分)
BR東京はこのトライの後、HO森を眞壁貴男に入替。(後半23分)だが再開のキックの争奪でLOタラウ ファカタヴァが空中の選手にタックルしてしまいイエローカード。一時的退出を科された。(後半24分)
BR東京陣内左サイド、中盤のラインアウトからモールで押したトヨタVは、手薄な狭いサイドにボールを出し、15番、14番とつないで左中間にトライ。CVは不成功も12-57。(後半27分)
BR東京はCTB池田を牧田旦に入替。(後半28分)
その後も守勢に回るBR東京だったが、アタックを仕掛けるトヨタVにラックでオフサイドが出ると、SOアイザック ルーカスがタップスタート。自陣10mライン付近から真っ直ぐにゲイン。この動きをしっかり見ていたWTB古賀がフォロー。アイザックは古賀にパスを出すが、トヨタV15番がこれをカットしようとして前方にはたく。この故意のノックオンに対し、不当なプレーとして15番にイエローカード。一時的退出を科された。(後半31分)
PKで敵陣深くに攻め込み、HO眞壁から先頭のPR笹川に合わせるスローからアタック。しかし、テンポが出ずなかなか前に出られない。こぼれ球を拾われると、前方に大きくキックを蹴られる。自陣22mラインの内側まで転がったキックに追いついたFBマッガーンは、角度的に距離が出せないと見たのか、タッチに出さずフィールドの内側にボールを蹴り込む。
これを使ってカウンターアタックを仕掛けたトヨタVは、整っていないディフェンスラインの隙間を突きながらパスをつなぎ、インゴール左サイドに16番がグラウンディング。しかし映像確認でグラウンディング時にノックオンがあったと判定され、ノートライに。ここでBR東京はFL湯川を山本秀に入替。(後半34分)
ゴールラインドロップアウトからの再開となったが、これをキャッチしたトヨタVは丁寧にボールをつなぎ、BR東京陣内に攻め込む。22mライン付近で21番が鋭くギャップを抜けゴール前に到達すると、ピックゴーでつなぎ5番が左中間にトライ。CVも成功し12-64となる。(後半36分)
LOタラウ ファカタヴァが復帰し最終盤へ。FBマッガーンが短く蹴った再開のキックを確保し時間を使うトヨタV。しかしレフリーの促しを受けてBR東京にキックを蹴り込む。
自陣右サイド、10m付近にポイントをつくると左に展開。FBマッガーンからのパスを受けたWTB古賀がタッチライン際を走り、前方へ小さく浮かせたキック。これがディフェンスの背後で跳ね、戻ってくるようなバウンドでフォローしたFBマッガーンに入る。激しいブレイクダウンになったがBR東京が確保。倒れ込みの反則のアドバンテージが出る中、BR東京がアタックを継続。NO8アマト ファカタヴァが右中間を強くキャリー。ディフェンスに食い込んでいく。混戦の中ボールが奪われそうになったところで笛。ペナルティが発生した場所にボールが戻される。
FBマッガーンが蹴り出しゴール前ラインアウトに。しかしこのラインアウトが合わず、トヨタVにボールが入る。残り90秒、時間を使った後に狙ったハイパントにLO柳川とPR西がチャージ。弱まったボールがBR東京に入る。
FBマッガーンからLOタラウ ファカタヴァヘつなぎゲイン。ここからひたすらボールをつなぎ、ディフェンスの隙を探る。FW、BK入り乱れパスを託しあい、おそらくはアタックにおける事前の取り決めとは異なる、メンバーの意地が継続させたアタック。左中間、CTBメインのキャリーで前に出てポイントをつくると、SH中村がタッチライン際のFL山本にパス。山本は長身を目一杯伸ばし左隅に飛びこむが、ラストパスにスローフォワードの判定。(後半40分)
ホーンが響く中、トヨタVボールのスクラムで再開。このスクラムをBR東京FWがすべての力を出し切って押し込む。完全にドミネートしたあと、レフリーの腕がBR東京側に上がった。
ここでSH中村がタップスタート、長いパスをSOアイザック ルーカスへ。CTBメイン、牧田とつなぎクラッシュ。すぐさまSH中村がしっかり位置を確認していた右後方のアイザックにパスを出すと2対2の状況に。
アイザックはディフェンス2人を引きつけると、右手のワンハンドパスで大外のWTB栗原へ。栗原は右隅からインゴールに達しグラウンディング。最後の最後でBR東京らしいアタックをみせてトライを奪って見せた。CVは不成功。17-64としたところでノーサイドを迎えた。(後半43分)
最後のトライで笑顔を見せた選手はいなかった。若手選手の中には、64失点を喫しゲームに敗れるという経験がない選手もいたかもしれない。ただ、それでも戦い続けるのだという覚悟を見せてもらったような気もした。ここ数試合、バウンドに恵まれないと感じたことも多かったが、後半の最後、WTB古賀が蹴ったキックはきれいにこちら側に跳ねた。あきらめず、前を向き、ハードワークを重ねていれば、必ず風景は変わっていく。
リーグワン初年度の最終第16節は、5月7 日(土)、14時30分より秩父宮ラグビー場にて、NTTドコモレッドハリケーンズ大阪を迎えて行われる。最終順位を入替戦圏外の9位以内にするためには、必ず勝利が必要となる。今季チームが育て上げてきたレジリエンスが試される重い一戦となる。
監督・選手コメント
ピーター・ヒューワットHC
少しタックルのミスが多すぎました。今日は「正しいエリアでプレーしよう」というプランがあって、それはできていたと思うのですが、トヨタさんの大きなパックの勢いを止めきることができませんでした。それによって、エリアは支配できていたにもかかわらず、相手に簡単に抜け出す方法を与えてしまったかなと思います。勢いを止めることができませんでした。でも、このグループは絶対にあきらめないので。若い選手が多いですが、彼らはファイトし続けました。今日もそういったところはよかったと思いました。
(若手の成長をどのあたりに感じているか?)現状の話はいつもさせてもらっていて、それを言い訳にするつもりではないのですが、今週は水曜日のセッションの時点で19人のセレクションできないメンバーがいて、さらに金曜日に(HO武井)日向がそこに加わり、20人になりました。その結果、チームの中のリーダーの多くが試合に出られない状況になっており、それは若い選手たちにとって、とても苦しいことだと思います。ただ、苦しいからこそ、いい経験になっているとも思います。この期間を乗り越えたときには、チームにとってとてもよい状態を迎えられるはずです。若い選手をどれだけ多くの時間起用しているかというデータを出してみたとき、他のチームを勝るものだとも確認できました。経験というのは急に得られるものではなく、苦しい思いをしながら得ていくものかなと思います。それを今やっている段階です。
FB マット・マッガーン
ヒューイ(ヒューワットHC)が言ったのと同じです。最初の50分、60分は正しいエリアでプレーできていたと思います。相手はパワーゲームで知られているチームです。タックルが決まりきらなかったところで、自分たちを苦しめたのかなと思います。
(いままでと比べて、今日のトヨタに違いを感じた部分があれば)イメージは、プレビュー通りです。ただ、ミスタックルをしてしまい思うようなゲームにできませんでした。
ラグビーはコリジョン、衝突の部分で勝てないとなかなか試合に勝つことはできません。ただ、プレビュー通りではありました。
LO 柳川大樹
リコーとしては絶対に勝ちたい一戦だったのですが、トヨタさんのフィジカルにやられ、タックルを決められずペースをつかまれた感じです。
(ハードワークはしている。なにをどうすればよくなると感じているか)やっぱり、我慢し続けることでしょうか。チームでもそれを言い続けていて、ボールキープをキーワードにやってきていますが、それを継続していくことだと思います。
(若い選手の出場も多い。ベテラン選手として心がけていることは)まず自分の役割を全うするというところ。ラインアウトしかり、ボールキャリー、ブレイクダウンしかりを、しっかりチームに求められるクオリティでやっていくというのが大事なので、それを遂行していく。チームとしてはケガ人が増えていて苦しいですが、そこでベテランが若い選手にどういう姿を見せられるか。姿勢を示していかないといけないので、そこは意識しています。
(最終節は負けられない試合となった。どんな修正をして、どんな戦いをしていくか)タックルは絶対に修正しないといけない。あとは今までやってきたラグビーを信じること。リコーのラグビーをやり続けるというのが勝つためには必要だと思っています。信じてやるしかない。
(これだけケガ人が多いシーズンは記憶にあるか)
これだけ多いシーズンの記憶はないです。自分が経験したことがないシーズンになっていると思います。
CTB 池田悠希
相手のフィジカルを活かしたアタックで乗っかられる時間が続いてしまった。自分たちはタックルを決め切ることができずスコアされてしまったというのが今日の敗因かなと思っています。
(ハードワークはしている。なにをどうすればよくなると感じているか)ディフェンスにおいては自分たちのコネクションを切らさないということ、しっかりコミュニケーションを取って連携し続けること。それをした上で、一人ひとりがタックルを決めるということ。今日はその一人ひとりがタックルを決めるという部分ができなかった。
(最終節は負けられない試合となった。どんな修正をして、どんな戦いをしていくか)ディフェンスの部分でこれだけ乗っかられて得点を重ねられてしまうと、勝てる試合ではなくなってしまうので、まずはディフェンスで一人ひとりがタックルを決めるというところ。それからコネクションを切らさないというところを修正していかないといけない。アタックはヤナ(柳川大樹)さんからもあったんですけど、自分たちのアタックを信じて、やってきたことをしっかり実行する。それをやりきりたいと思います。
文:秋山健一郎
写真:川本聖哉