【Review】NTTジャパンラグビーリーグワン2022 第12節 vs 静岡ブルーレヴズ

2022.04.13

復帰のLOストーバーグのキャリーからトライ。10点差で折り返す

1月に開幕したリーグワンは、4月を迎え第12節へ。リコーブラックラムズ東京(BR東京)は、序盤から選手の負傷に見舞われながらも、若手選手を積極的に抜擢し奮闘してきた。しかし、ここにきて3試合にわたり勝ち点獲得から遠ざかるタフな局面を迎えていた。

 

第12節は、残念ながらホストゲームが中止となった静岡ブルーレヴズ(静岡BR/前ヤマハ発動機ジュビロ)とのビジターゲーム。昨年度入団のWTB古賀由教と今年度入団のLO山本秀がメンバー入りを果たし、古賀は先発の座もつかんだ。また、ラインアウトの要であるLOマイケル ストーバーグが復帰するなどの好材料もあった。

静岡・磐田市のヤマハスタジアムはよく晴れ、気温は22度。春を通り越し初夏のような天候となった。BR東京が風下の陣地からキックオフ。SOアイザック ルーカスのキックが右サイドへ。返しのキックがタッチを割り、BR東京は左サイドのラインアウトからつなぎアタック。しかし右サイドのラックで倒れ込みの反則。(前半2分)

 

PKで前進した静岡BRが、BR東京陣内22mライン手前からアタック。強いフィジカルのFWがディフェンスラインに食い込んでいくが、エッジに近い位置でキャリーした15番をHO武井日向が倒して手を差し込む。ノットリリースザボールでペナルティを取り返す。(前半3分)

PKでハーフウェイ付近まで戻して、左サイドのラインアウトからのアタック。SOアイザック ルーカスがステップを切り、その後も粘って右へ。WTBネタニ ヴァカヤリアが前方のスペースをゲインして敵陣中盤までボールを運ぶ。ポイントをつくりアイザック ルーカスはもう一度狭いサイドを使うが、パスがこぼれターンオーバー。アタックに転じた静岡BR2番のランに対応したCTBロトアヘアアマナキ大洋にハイタックルの判定。(前半4分)

 

BR東京は再びPKでBR東京陣内へ。静岡BRの左サイドのラインアウトからのアタックに対し、BR東京はノットロールアウェイ。PKを蹴られさらに自陣深くに侵入を許すと、ラインアウトモールをコントロールされ、後方からブラインドサイドに飛び出してきた8番にグラウンディングを許した。オブストラクションの有無の映像確認の後、トライが認められた。CVははずれ0-5。(前半8分)

リスタートキックのリターンがタッチを割る。BR東京は右サイドのラインアウトを奥で合わせてアタック。敵陣中盤でフェイズを重ねていく。SHマット ルーカスとSOアイザック ルーカスのコンビが静岡BRのディフェンスを動かし崩しにかかり、22mに到達。しかし左サイドのエッジで、FBメイン平からSOアイザック ルーカスへのパスがわずかに高くこぼれる。これを相手14番が拾い独走。そのまま走りきって右中間にトライ。敵陣に入り、フェイズを重ねながら前に出ることができていたBR東京だったが、1つのミスをトライに結びつけられた。CVは成功せず0-10。(前半12分)

再開後、BR東京は自陣ディフェンスで反則を誘いPKで前進。ラインアウトではボールを失ったが、直後のディフェンスで、CTB濱野大輔が足首をつかんで相手のランナーを倒すとWTBヴァカヤリアがボールに手をかけノットリリースザボール。BR東京はPKで22mライン手前まで前進する。(前半14分)

ラインアウトをLO柳川大樹に合わせ展開し、BR東京が再びアタック。アグレッシブに攻めて22mラインを超えていく。しかし、中央のラックから右に出したパスがこぼれノックオン。テンポのあるアタックだったが、フィニッシュまでもっていけなかった。(前半16分)

直後のスクラムは静岡BRが押し勝ちペナルティ。BR東京は後退。自陣に戻されたが、NO8アマト ファカタヴァのディフェンスでノックオンを誘いボールを奪い返す。自陣10m付近のマイボールスクラムから、そのアマト ファカタヴァが持ち出してゲイン。右サイドでディフェンスをハンドオフしながらボールキープ。ラックで静岡BRにノットロールアウェイ。BR東京はPKを使い再び敵陣へ攻め込む。(前半19分)

右サイドのラインアウトから展開して攻めるBR東京。左サイドでボールを受けたSOアイザック ルーカスに対し、静岡BRがハイタックル。BR東京はアドバンテージが出た状態でCTB濱野が逆サイドにキックパスを放った後、PKにしてゴール前ラインアウトとした。(前半21分)

左サイドのラインアウトからモールを組む。しかし猛烈なディフェンスに遭い前進できない。HO武井がSHマット ルーカスにボールを渡すと右に展開。中央に運んだ後、長く速いパスで戻し、左サイドをWTB古賀が突く。2人のディフェンスをかいくぐりインゴール左隅へのグラウンディングを狙ったが、惜しくもラインの手前で、その後タッチラインの外に押し出された。

静岡BRスクラムとなるが、ここも押されBR東京にペナルティ。この攻勢も敵陣ゴール前から押し込めなかった。(前半23分)

直後、静岡BRはラインアウトでボールを失うが、自陣浅めのディフェンスでBR東京にノットリリースザボール。PKでBR東京陣内中盤まで前進する。右サイドをラインアウトモールで押し大きくゲインすると、22mラインを越えたところでモールが崩れBKへ。12番から14番への内返しのパスが通りゲインすると10番が左サイドへ大きなキックパス。これを11番がインゴール目前の位置でキャッチして、そのまま飛び込んでトライ。ワンチャンスを確実に活かす、対照的な攻撃で追加点を許した。CVも成功し0-17。BR東京は負傷したCTBロトアヘアアマナキ大洋を池田悠希と交替。(前半27分)

キックを織り交ぜながら互いに攻め手を探る。CTB池田のキックが敵陣22mライン付近でタッチを割る。ラインアウトで静岡BRにノットストレート。BR東京は敵陣のよい位置でラインアウトを得る。

これをキープしてアタック。中央から左に運び攻めていく。PR谷口祐一郎とLO柳川のコンビが押し込んでいくと、SHマット ルーカスがLOストーバーグにつなぎキャリー。ストーバーグがディフェンスをひきずりながら右をフォローしたFL湯川純平へオフロードパス。湯川はディフェンスに詰め寄られたが、一瞬早くボールを放す。これを受けたSOアイザック ルーカスがポスト右から回り込んで中央にトライ。CVも成功し7-17とした。(前半31分)

 

静岡BRの再開のキックは、直接タッチを割りセンタースクラムに。ここで静岡BRにアーリープッシュ。FKを得たBR東京はNO8アマト ファカタヴァがタップスタート。これを起点に攻めていく。敵陣10m付近で仕掛けたSHマット ルーカスに対し静岡BRがハイタックル。アドバンテージを得た状態で右サイドを攻めゲイン。22mラインに迫ったがノックオン。反則のあった地点からPKをタッチに出して前進。トライを狙いにいく。(前半34分)

右サイド、22mラインの内側のラインアウトからモールを組む。少し前進したところで崩れたが反則はなし。22mラインを越えたあたりでボールキャリーを重ねていくが、静岡BRは集中力を見せ前進を阻む。そしてFL福本翔平らが挑んだブレイクダウンで相手8番がジャッカル。CTB濱野が直後のパスを阻もうと伸ばした手にボールが当たり、故意のノックオンの判定。PKを蹴られ、BR東京は後退。(前半36分)

 

ハーフウェイ付近のラインアウトから、静岡BRがアタック。ワイドにボールを動かされたが、BR東京はこれを止め、FL福本がノットリリースザボールを奪い返した。PKで前進し敵陣に入る。

このラインアウトでこぼれ球をジャンプして捕りにいったHO武井に対し、相手9番がタックル。身体を持ち上げたのちに手を離した結果、頭から落下。これが危険なプレーと判定されイエローカードが出され、一時的退出処分が科された。(前半38分)

BR東京はPKで22mライン付近まで前進したが、ラインアウトでボールを失う。その後静岡BRに時間を使われ、ホーンが鳴ったところでキックアウト。ここで前半が終了した。

押さえたかった後半の入りで失点。流れを奪い返せず苦しい展開に

BR東京は選手の入替を行わず後半へ。点差は10点。人数的に有利な最初の8分間になんとか攻勢をかけたいところだった。しかし、キックオフボールを確保したあと、自陣からボールキャリーを図ったCTB池田がわずかに孤立しノットリリースザボールを奪われる。

 

PKでゴール前ラインアウトとした静岡BRは、モールでゴールに迫り、そこからアタック。人数は少ないが強いフィジカルでBR東京ディフェンスを押し込んでいく。右サイドのタッチライン際を10番が狙うがこれはWTB古賀がタッチラインの外に押し出す。(後半3分)

 

この攻防でHO武井が負傷し森雄基と交替する。自陣ゴール前のマイボールラインアウトで再開となったが、このスローがオーバーし後方の相手8番に直接入ってしまう。ラックにした静岡BRは、ボールをピックした1番がラックサイドを突きトライ。CVも成功し7-24となった。まずは競り合いに持ち込みたかったBR東京だったが、思わぬ形で失点し点差を拡げられた。(後半4分)

再開後はしばらくハーフウェイを挟んでの攻防を続いた。ここでランを仕掛けた相手15番がラインブレイクし前方へキック。フォローした11番がこれを追いかけ、弾むボールを手にしかけたが、ゴール目前で追いついたWTBヴァカヤリアが足にしがみつき止めると、ボールがこぼれる。

これをSOアイザック ルーカスが確保するとFBメインにつないで、右サイドタッチライン際を走りポジションを戻し、さらにアタックを継続。右サイドから左サイドにボールを運び、WTB古賀が前方のスペースをゲイン。10mラインに到達すると、右サイドにボールを運び、キャリーをするそぶりを見せたLOストーバーグからボールを受け取ったFL湯川がゲインラインを切り、22mラインを越えていく。

再び左サイドに運び、NO8アマト ファカタヴァから大外のWTB古賀へ。パスが通ればトライという場面だったが、わずかに低かった。古賀は足にかけたがボールは相手に入った。(後半9分)

 

だが、ラックの後方からのキックがタッチを割らず、ボールはBR東京に入る。再びアタックのチャンスを得たBR東京はFL湯川が右サイドをもう一度ゲインし深く攻め込んだが、中央のブレイクダウンでボールを出せずノットリリースザボール。

プレーがきれたところで相手9番の一時的退出が解かれ15人対15人に。BR東京もLOストーバーグをデーモン レエスアスに、SHマット ルーカスを南昂伸に入替。(後半11分)さらに、CTB濱野をマット マッガーンに入替。マッガーンがFB、FBのメインがCTBに回った。(後半12分)

 

相手のノックオンで得たハーフウェイ付近のスクラムでFKを得るとSH南がタップスタート。これを起点にBR東京がアタック。22mラインに迫り、越えていくと静岡BRにオフサイド。マッガーンがタッチに出し、ゴール前ラインアウトとする。(後半15分)

FL福本に合わせラインアウトモール。タッチライン際の押し合いの中で静岡BRが反則を犯しアドバンテージが出る。これを見てSH南がパスアウト。SOアイザック ルーカスから中央のFBマッガーンへ。マッガーンは内側にターンするステップを切りながら後方に走り込んだWTBヴァカヤリアにパス。さらに外のWTB古賀にボールがつなぐと前方は無人。古賀はインゴールに達し、リーグワンデビュー戦でトライを記録した。

難しいCVもマッガーンが成功させて14-24。トライの後、PR千葉太一を大川創太郎に入替。(後半18分)

再び10点差にして食らいついたBR東京だったが、再び突き放しにくる静岡BRが激しく攻め、自陣の深い位置に釘付けにされる。トライを狙う相手の多彩な攻撃に対応していくが、流れを変えるまでには至らない。苦しい時間が続く。

約5分にわたる攻勢の後、中央のゴール目前の位置のスクラムでBR東京が押す。押し勝ったように見えたが、レフェリーの手は上がらず組み直しに。再びプッシュをかけたBR東京だったが、それを見透かしたかのように、相手8番が持ち出しスクラムサイドを突く。FWはこの動きに対応できず、トライを許してしまった。CVも決まり14-31となる。(後半27分)

BR東京はPR谷口を西和磨に入替。(後半29分)直後の相手のノックオンで得たスクラムでコラプシングを奪う。FBマッガーンがキックを伸ばし、敵陣の22mラインの内側のラインアウトにする。(後半30分)

ラインアウトモールの押し合いで静岡BRにコラプシング。BR東京はもう一度タッチに出しラインアウトからトライを狙うが、これが相手に入ってしまう。BR東京サイドに蹴り込まれたキックを使い、やや下げたポジションからもう一度アタックを仕掛けたが、ここで17番にパスを狙われインターセプトを許す。ゴール目前までゲインされると、リリースしたボールをピックした23番が中央ゴールライン付近まで運び、8番がグラウンディング。CVも成功し14-38。BR東京はトライ後、FL湯川を山本秀に入替。(後半35分)

BR東京はさらに、タックルミスから相手10番にブレイクされ、22番が中央から右サイドに向けて蹴ったグラバーキックを14番に拾われトライを許す。CVも成功し14-45とスコアを重ねられた。(後半38分)

 

残り2分。右サイドに蹴ったリスタートキックをLOレエスアスがキャッチ。22mラインの手前にラックをつくり左に展開する。スペースをCTB池田とWTB古賀が前進。古賀は押し出される前にボールをうまく放し再び池田へ。ゴール前、左サイドのラックから右に出し攻めると、静岡BRにノットロールアウェイ。

 

SH南がリスタート。右への大きなパスでSOアイザック ルーカスにつなぐと、アイザックが外に回り込むような独特なランコースを走りギャップを突き、ゴールまであと5mまでボールを運ぶ。ピックした南は背後にいたCTB池田にボールを持たせると、池田はディフェンスを押しのけ、インゴール方向に身体を倒しながら手を伸ばしグラウンディグしてトライ。CVは不成功も19-45とした。(後半40分)

BR東京はホーン後も自陣から攻め手を探っていく。しかし最後はパスが乱れ、ボールがタッチを割りノーサイドを迎えた。

BR東京は4試合連続でノーポイントでの敗戦となった。だが、直近の3戦と同様に、アタックを継続し敵陣でフェイズを重ね、フィニッシュまであとわずかという場面は何度もつくった。セットプレーでプレッシャーを受けたこと、シンプルなミス、規律における問題などはあったが、それらは修正可能なものも多くある。

 

これで3勝9敗(不戦勝1、不戦敗2を含む)となり、順位を9位に落とした。厳しい状況を迎えたが、そんな中で戦うここからの4戦は、チームにとって成長や覚醒の機会にもなりうる。次節は4月16日(土)14時30分より、東京・秩父宮ラグビー場で行われる東芝ブレイブルーパス東京戦となる。現在5位とプレーオフ進出圏内を目前にとらえ、高いモチベーションで試合に臨んでくる相手に対し、誇りを持って立ち向かう姿をみせ、流れを変える一戦としたい。

監督・選手コメント

ピーター・ヒューワットHC

結果は残念なものとなりました。試合の入りはいいスタートを切れたかなとは思います。そこからセットピーストライをいくつか獲られて。ディシプリン(規律)ですね。

ペナルティのところがあまりよくなくて、フィールドポジションはいいところまで入れたんですけど、しっかりと点に繋げられず、そこも規律が悪く相手にどんどん戻されました。セットピースでもドミネートされて。そういった流れで少し勢いを失っていったと感じています。

FB マット・マッガーン

タフな試合になると分かっていて、準備をしてきましたが。どんな相手でも、あれだけフィールドポジションを取られると、すごくきつい日になってしまう。いくつかの規律の問題が試合に影響したところはありました。

(この試合に向けての2週間、選手同士でどんなコミュニケーションをとってきたか)この試合に向けての準備は良かったと思っています。オフを挟んで、エナジーも感じられました。コミュニケーションもよくとれていました。直近の5試合を振り返りつつ、次の5試合はいいパフォーマンスを見せるチャンスだと話していました。新型コロナの影響も含めて、タフなシーズンになっていますが、残りの試合をチームとして誇りに思えるブロックにしようという話をしています。

文:秋山健一郎

写真:川本聖哉

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