【Review】NTTジャパンラグビーリーグワン2022 第5節 vs トヨタヴェルブリッツ

2022.02.10

強烈な向かい風を受けたタフな前半。苦しみながらも粘り強く戦う

「ディシプリン(規律)が守れなかったこと。そして最後の20分で相手の勢いが勝っていたこと」

 

わずかに4点届かなかったゲームを終え、ピーター ヒューワットヘッドコーチが振り返ったのは、この2つの要素だった。これらは接戦を勝ちきれるチームを目指し、改善点として挙げていたテーマの中にもあったものだ。指揮官が前節以上の悔しさをにじませているように見えたのは、それゆえかもしれない。

 

前節(第4節)、首位の東京サントリーサンゴリアス(東京SG)との接戦を落とし、通算成績を2勝2敗の五分としたリコーブラックラムズ東京(BR東京)。今節は世界的なスターも含めた多くのタレントを擁する強豪・トヨタヴェルブリッツ(トヨタV)とのビジターゲームに挑んだ。

 

会場の愛知・パロマ瑞穂ラグビー場は、気温4度とかなりの冷え込み。試合が始まる前には晴れ間がのぞいたが、キックオフが迫ると雪がちらつき始めた。

 

ほぼ真横とみられる向かい風を受ける風下の陣地から、FBマット マッガーンのキックが放たれ、キャッチしたトヨタVのFWが強烈なキャリーで挑み試合が始まる。強風と重く硬いランナー。2つの敵を相手にしなければならない前半が、タフなものになることをうかがわせる幕開けとなった。

 

トヨタV15番のキックをキャッチしたSOアイザック ルーカスからBR東京がアタックを開始。ハーフウェイ手前でパスをつなぎ攻め手を探ると、LOタラウ ファカタヴァがディフェンスの隙間に鋭く身体を捻じ込む。


 

しかし、トヨタVはこれを引き倒し即座に8番の手が伸びボールに迫る。BR東京にノットリリースザボール。トヨタVは、ほぼ正面の40m超の位置からPGを狙い成功。0-3と先制する。(前半2分)

 

再開後はハーフウェイ付近での攻防となる。ボールを動かしながら、互いに激しく身体をぶつけ、こぼれ球やペナルティを奪い合う。ここでトヨタVは15番の裏への浮かせたキックに5番が走り込み確保。15番が走り込んでボールをもらうと再度キック。中央を華麗に抜けるプレーとなったが、FBマッガーンがインゴールでボール追いつく。そのままデッドボールラインを割る。(前半5分)

 

ゴールラインからのドロップアウトで再開。BR東京は自陣22mライン付近でのディフェンス。粘り強く守ると、乱れたパスをCTBメイン平が奪って攻めに転じる。SOアイザック ルーカスがランでディフェンスを翻弄しゲイン。倒され、トヨタV4番にジャッカルを狙われたが、自立できておらずペナルティ。

 

強風を意識してか、SH髙橋敏也がタップしてリスタート。中央、自陣10mライン付近からアタック。FL柳川大樹のキャリー、PR笹川大吾からHO武井日向へのオフロードパスなどを決めてボールを前に運びハーフウェイを越えていく。敵陣に入りつくったラックから左へフラットなパスを狙うが、詰めてきたディフェンスのプレッシャーを受けノックオン。ボールはトヨタVへ渡る。蹴り合いを挟んで、BR東京陣内中盤でのラインアウトとなる。(前半8分)

 

ラインアウトでジャンパーのFL柳川につかみかかったトヨタVにペナルティ。BR東京はPKで前進し敵陣へ。だが強い横風の中でのラインアウトが真っ直ぐ入らずノットストレート。トヨタVのスクラムとなる。(前半9分)

 

ファーストスクラムは互いに第1列が落ちたが、レフリーはBR東京にコラプシングの判定。ハーフウェイよりも自陣側で得たPKだったが、トヨタVは追い風を使ってPGを狙う。10番がこれに成功。0-6となる。(前半12分)

 

FBマッガーンのキックで再開。BR東京は蹴り返しを使って攻めると、トヨタVがラックでホールディング。BR東京はPKで敵陣に入りラインアウトから攻めたが、直後のラックへの参加でオフザゲート。ボールを失う。(前半14分)

 

BR東京陣内中盤、左サイドのラインアウトからトヨタVがFWで攻める。BR東京は的確にタックルを決めるが、簡単には体勢を崩せず、ランナーの重みが伝わってくる。中央22mライン付近でBR東京にラインオフサイド。トヨタVはここも10番がPGを狙ったが外れた。(前半17分)

 

22mラインからのドロップアウトでの再開。NO8ボークコリン雷神がタップして自ら持ち出しキャリー。22mラインから10m付近まで運びゲインに成功する。これをきっかけにアタックを仕掛けていくが、パスの呼吸が合わずノックオン。

 

自陣10m付近での2度目のスクラムはBR東京が押したが、押し切る前にトヨタVの8番が持ち出しスクラムサイドをキャリー。SH髙橋、FL松橋周平が捕まえにいくとボールを放せずペナルティ。強力なランナーに対し、冷静な対応を見せる。

 

BR東京はPKで前進。ハーフウェイの少し先、左サイドのラインアウトを高い位置ではたいてキープ。SH髙橋からのパスを受けたCTBメインがプレッシャーをかけてきたディフェンスをかわすように回り込んで、中央付近で突破を図る。タックルを受けて膝をつくが、ボールを放し拾い直して再度前へ。このキレのあるプレーで裏に抜け出す。

 

敵陣22mラインが視界に入ったところで、サポートしたCTB池田悠希へのオフロードを狙うがこれが通らず。だがこぼれ球をキープしてアタックを継続。しかし、素早く戻りラインをつくったトヨタVは、強いキャリーを見せたFL松橋がダウンボールしたところに猛烈なプレッシャーをかけジャッカル。後方の15番にパスすると、キックを蹴り込み、ボールはBR東京陣内深くに転がった。攻め込んでも、ボールを失うやいなや風を使われ一気にポジションを下げられる苦しい状況が続く。(前半20分)

 

トヨタVは、BR東京がゴール前から放つもノータッチとなったキックを受け、再度アタック。BR東京はキッカーに追い抜かれていない選手がディフェンスをしてしまいオフサイド。トヨタVは正面やや左、30m強の距離からPGを狙うが外れた。(前半22分)

 

再開のドロップアウトを確保したトヨタVが再び攻める。BR東京は少しずつ食い込まれ後退。自陣でノットロールアウェイを犯すと、PKでゴール前ラインアウトを与えてしまう。競らずに対応したラインアウトモールを猛然と押し返していくが、ボールを持った選手がその中を抜けるようにしてゴール間際までゲイン。すかさずサポートが入りラックにするとここから連続攻撃。中央をFWが激しく攻めると、ディフェンスの間隔が空いた右中間を狙われ、12番がトライ。CVも決まり0-13となる。(前半26分)

 

食らいつきたいBR東京。再開後、SOアイザック ルーカスのランをきっかけにアタックを開始。ハードなキャリーで押し込みテンポを上げていこうとするが、惜しくもノックオン。

 

トヨタVがスクラムから蹴ったキックはダイレクトタッチ。BR東京はハーフウェイ付近でラインアウトを得ると、ここからもう一度アタック。前に出てくるディフェンスに手を焼きながらもひるまず突っ込んでいく。左サイドでCTB池田のキャリーの両脇にサポートが入りモールとなるとそのまま押し込んでゲイン。敵陣の10mラインを越えていく。さらに状況を打開すべくSH髙橋が地を這うゴロキックでタッチを狙うが、処理されてキックを蹴られ後退。(前半31分)

 

BR東京はこのキックを落としてしまったことからトヨタVのスクラムで再開。トヨタVは右サイドから展開し左サイドをえぐったが、FL松橋がランナーを倒し、ボールに手をかけペナルティを奪う。SH髙橋がクイックリスタート。自陣10m付近からBR東京は推進力のあるアタックを見せる。ボールがこぼれたが、リスタート時にトヨタVにノット10mバックのペナルティがあったとして、BR東京ボールに再度PKが与えられる。タッチに出しラインアウトに。

 

ラインアウトからのアタックはボールをこぼしターンオーバーを許すが、直後のキックをキャッチしたWTB栗原由太がカウンターアタックでゲイン。左中間のハーフウェイ付近まで戻し、ここからアタック。

 

狭いサイドにボールを出すとFBマッガーンとSOアイザック ルーカスが突破を図る。これは止められたが、もう一度外へ。CTBメインを経てCTB池田に渡り、タッチライン際を抜ける。22mラインまで前進しポイントをつくると、今度は内に戻しNO8ボークが両サイドにFL松橋とHO武井を従えてボールキャリー。

 

松橋との連携でディフェンスを引きつけると、内側のスペースに走り込んだSOアイザック ルーカスにパス。ルーカスはステップを刻みながらディフェンスを弾き、そのまま左中間インゴールに持ち込みトライ。WTB栗原のキックカウンターを起点に、アンストラクチャーな状況からのアタックをものにしてこの日最初のスコアに成功。CVもFBマッガーンが決めて7-13とする。(前半37分)

 

流れを得たまま前半を終えたかったBR東京だが、リスタートキックがトヨタVに直接入り、自陣中盤で勢いのあるアタックを受ける。これはなんとか止めたが、ハーフウェイ付近まで押し戻した後のディフェンスでインテンショナルノックオン。PKを与えてしまう。

 

40分間経過を知らせるホーンの後、トヨタVのゴール前ラインアウトからのアタックに対応するBR東京。オフサイドを犯しアドバンテージが出たところで左隅にキックパスを通され、11番がインゴールに到達。しかし、映像確認でタッチラインを踏んでいたという判定となる。トヨタVは正面のPGを決め7-16となったところで前半が終わる。(前半43分)

優位を得た後半。多くのチャンスをつくりだしたが、攻めきれず。

強風の風下で戦っての9点という点差は、決して大きくはないようにも感じられた。“後攻め”といっていい40分に挑もうとピッチに戻ってきたBR東京の選手たちの表情は明るくみえた。ハドルを解きポジションに広がっていく面々からは、大きな声も聞こえた。

 

風下の陣地に回ったトヨタVのキックで後半がスタート。ノックオンが出て、BR東京のスクラムとなる。ここは右PRの笹川の側の相手が落ち、BR東京にPKが与えられた。(後半1分)

 

しかし、追い風を使い左サイドに出そうとしたFBマッガーンのキックがノータッチ。キックを挟みながら互いに攻め手を探る展開となるが、自陣中盤からSOアイザック ルーカスがカウンターアタック。ステップを切り、絶妙なランコースを走ってディフェンスラインを切り裂く。22mラインを越えたところにポイントをつくると右に出し、中央をFWで攻める。トヨタVにインテンションナルノックオンが出て、BR東京はPKでゴール前ラインアウトにする。(後半4分)


 

ラインアウトモールを使い左サイドで前進を図るが、強く押し返される。最後尾のHO武井が、モールサイドを突き打開を試み、ラックをつくるとゴール目前でピックゴーを繰り返す。トヨタVは接点に激しくプレッシャーをかけ、ボールキープにも手を焼くBR東京だったが、中央へとポイントを動かしてディフェンスを引きつけると、戻すようにして左に展開。

 

SH髙橋からSOアイザック ルーカス、そしてCTBメインへ。メイン平は左にスライドしながら内側のディフェンスを右手でハンドオフ。さらにボールを持ち替え、外から迫った14番を左手で弾くとそのままインゴールに達しトライ。前節に続き決定力を見せつけた。CVは外れたが12-16と点差を縮めた。(後半6分)

 

1トライで逆転可能な点差となり、試合は熱を帯びていく。ハーフウェイ付近のスクラムでFKを得たトヨタVは9番がサイドを突きゲインし、アタックを開始。BR東京もこれについていき激しくディフェンス。ワイドにボールを動かしてくる相手を冷静に対応していく。我慢比べに勝ったのはBR東京。自陣22mライン付近でノックオンを誘いスクラムを得る。(後半11分)

 

このスクラムでBR東京がコラプシングを獲るり、PR笹川が歓喜の声をあげる。PKで前進し、敵陣10m付近でラインアウトにするが、乱れたボールをさばこうとジャンプしたSH髙橋に相手3番がタックルしてしまいイエローカード。10分間の一時退出を科された。BR東京は数的有利を得る。(後半12分)

 

BR東京はPKでゴール前ラインアウトとするが、これがうまく入らずノックオン。ゴール前での相手ボールのスクラムとなるが、ここでLOデーモン レエスアスをブレア カーワンに入替。柳川がLOに、カーワンがFLに入った。

 

ゴール前でのスクラムはBR東京が強く押す。だが、どうにか出したボールを10番が持って前方に走る。FWがいないスペースをゲインしハーフウェイ付近まで運ぶが、展開しキックを試みたところにHO武井がチャージ。こぼれたボールの争奪で選手が入り乱れる。BR東京にオフサイドが出ると、トヨタVはPKをBR東京陣内深くに蹴り込む。なんとか戻ったBR東京がボールを確保。キックアウトしてプレーを切る。ここでSH髙橋を山本昌太に入替。(後半16分)

 

BR東京陣内10m付近のラインアウトからトヨタVが猛烈なアタック。FWが力で挑んでくる。BR東京はしっかりと詰めて止めにいき、決して受けに回ったディフェンスではなかったが、互いの身体を弾く火花が見えるかのようなクラッシュの後に、わずかに前に出られ、じりじりと後退。22mラインの内側まで押し込まれる。

 

しかし、CTBメインとLOタラウ ファカタヴァが、6番の大きな身体に値千金のダブルタックル。ボールがこぼれ、これを確保したSOアイザック ルーカスがハーフウェイを越えていく大きなキックアウト。大ピンチを逃れた。(後半17分)

 

その後、ラインアウトのミスを突いたBR東京がエリアを奪い、トヨタV陣内浅めのポジションでの攻防となる。互いに激しくフィジカルを削り合い、ボールの跳ね方ひとつで、どちらにもスコアが入りそうな緊迫感のある時間が続く。ここで風下からトヨタVが蹴ったハイパントが風に押し戻され、ほぼ蹴った位置に落下。落下地点の争奪でトヨタVにオフサイド。(後半19分)

 

ハーフウェイ付近でSH山本がクイックリスタートで再開すると、トヨタVにノット10mバック。BR東京はPKで敵陣に深くに入っていく。ここでPR谷口祐一郎を千葉太一に入替。(後半20分)

 

22mラインの内側のラインアウトをキープし、モールを組んで押していく。じりじりと前進していくが、2度目の停滞となったところでトヨタVの選手がモールに横から加わったとしてオフサイドのペナルティ。PKを蹴り出し、もう一度ラインアウトからトライを狙う。

 

しかしモールは前進を阻まれ引き倒される。ラックに移行してBKにボールを出すが、素早くディフェンスラインに復帰していた8番らに鋭く迫られターンオーバー。トヨタVの切り替えの早さが光った。(後半22分)

 

しかし、この日の風下の自陣からの脱出は容易ではなかった。トヨタVのキックは風で押し戻され、BR東京は再び敵陣浅めから攻めるチャンスを得る。SOアイザック ルーカスが後方のスペースを見極めタッチキック。跳ねたボールは22mラインの内側でタッチを割る。

 

トヨタVが、自陣ゴール前ラインアウトをキープし、インゴールからキックアウト。逆風を切り裂く強いキックにより、BR東京は10m付近まで戻されてのラインアウトとなる。(後半23分)

 

このラインアウトを中央で合わせにいくが、完全なかたちでスチールされてしまう。ハーフウェイの手前から攻めるトヨタVに対し、守るBR東京はハイタックルを犯してしまう。トヨタVはタップしてリスタート。陣形が整っていないのを突き、左中間を一気にゲインし22mライン付近まで前進。ポイントをつくりさらにエッジを攻めるが、SH山本が低く突き刺さるタックルを決めノックオンを誘う。(後半24分)

 

BR東京は自陣22mライン付近でのスクラムを前に、PR笹川を大川創太郎に入替。フレッシュなメンバーを加えたスクラムはほぼ対等だったが、フッキングしたボールが、FLの身体の下を横に転がり、相手SHの目の前にこぼれ出る。これを拾われ右に展開。13番が鋭いランでディフェンスを破りポスト右にトライ。CVも成功。思わぬかたちで得点が生まれ12-23。点差は11点となった。(後半26分)

 

BR東京はLOタラウ ファカタヴァをハリソン フォックスに入替。15分を切った残り時間での逆転を狙う。再開のキックの落下地点に迫ったフォックスの力強いタックルでディフェンスを開始。キックを蹴り込まれるがこれをFBマッガーンに回しハイパントを上げる。捕球した10番をチェイスしたWTB栗原が力強いタックルで倒すと、互いに選手が駆けつけボールを争奪する。レフェリーの手がBR東京側に上がり、トヨタVにオーバーザトップのペナルティ。BR東京はPKで前進しゴール前ラインアウトとする。(後半27分)

 

これをキープしてモールで押すBR東京。だが押し切れないのを見て、SH山本が展開。CTBメイン、SOアイザック ルーカスが強いプレッシャーを受けながらも正確にパスをつなぎ、ルーカスの後方から走り込んだWTB栗原へ。栗原は目前のスペースに向かって加速。両脇から詰めてきたディフェンスに挟まれるようにタックルを受けて倒れかけるが、そのままポスト右のインゴールに身体を伸ばしトライ。優位を得ても追いつけず、逆に点差を拡げられる苦しい展開を、エネルギッシュな新鋭が打開した。CVも成功し19-23。(後半29分)

 

勝ちきるラグビーを見せるべく挑むラスト10分。BR東京は右サイドをCTB池田が貫きゲイン。敵陣に入るとPR千葉が低い姿勢で鋭いボールキャリー。サポートした選手がディフェンスをはがすと同時にリリースしたが、わずかにタイミングが遅かったのかノットリリースザボールの判定。ボールを失うが、強風の壁という味方がキックでの前進を阻む。ハーフウェイ付近のトヨタVのラインアウトにも風が影響しノットストレート。BR東京がボールを奪い返す。(後半32分)

 

さらにスクラムペナルティがトヨタVに出る。BR東京はPKを大きく伸ばし、右サイドの22mラインの内側のラインアウトとする。NO8ボークを福本翔平に入替。(後半34分)

 

ラインアウトは距離を詰めすぎたトヨタVに反則。FKを得たBR東京はスクラムを選択し、逆転を引き寄せるべくトライを狙う。右中間、22mラインのスクラムはやや押されたが、スクラムサイドに走り込んだWTBネタニ ヴァカヤリアにボールを出し突っ込ませる。

 

次のフェイズはFLカーワンに託すが孤立。粘るが相手に後方からつかまれ倒される。そこに互いの選手が寄せるが、わずかに早くボールに仕掛けられ、痛恨のノットリリースザボール。(後半36分)

 

PKはまたも風に阻まれタッチを割らず、WTB栗原の手に入る。BR東京はもう一度アタックのチャンスを得るが、残り時間は3分。

 

SOアイザック ルーカスが深く蹴り込み、そこにチェイスしたディフェンスが詰め前進を阻む。ハーフウェイ付近のラックで、HO武井がジャッカルしかけるが、ここで笛。直前のラックでBR東京にノットロールアウェイがあったという判定が下された。PKを蹴り出され、BR東京陣内中盤のラインアウトに。痛い後退となる。(後半38分)

 

このラインアウトで、トヨタVはボールを後方にオーバー。HO武井がキャッチしてキャリー。BR東京が再びアタックの機会を得る。左サイドを攻めた後、SOアイザック ルーカスが右側へ真横に走りサイドチェンジ。外のFL福本にボールを託す。さらにNO8松橋、LO柳川、WTBヴァカヤリアらがボールを前に運ぼうと身体をぶつけていくが、ボールがこぼれトヨタVに。

 

15番がゴール前にキック。これはBR東京に入ったが、トヨタVが押し寄せ猛烈なプレッシャーをかける。残り1分をきったところでFBマッガーンがキックアウト。ラインアウトをキープしたトヨタVはラックをつくりボールを守り、ホーンが鳴ると同時にタッチに出しノーサイド。極寒の中での熱戦は幕を閉じた。

 

結果的にスコアで上回る時間はなかったものの、しっかりと相手の背後に迫り続けた。最後まで逆転への期待を感じさせるゲームではあった。スコアを見ても、ペナルティの数をみても、前半と後半でわかりやすく対称的になっており、本当に対等だったことが見えてくる。

 

わずかな差を生み出したのは風という味方を得た時間帯であったようにも映った。トヨタVがフレッシュな状態の前半だったのに対し、BR東京は互いに激しく削り合い、消耗を余儀なくされて迎えた後半だった。

 

なお、最後のFBマッガーンの判断で7点差以内を守ったBR東京は勝ち点1を確保。通算成績を2勝3敗(不戦勝1、不戦敗1含む)、勝ち点12とし順位は7位となった。

 

次節(第6節)は、1週間を空けて、2月19日(土)14時30分より、駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場では初となるホストゲーム、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦が予定されている。連敗を断ち切ることが何よりも重要な、マストウィンの一戦となるだろう。溜め込んだ悔しさを力に変え、チームは大きなジャンプを狙う。

監督・選手コメント

ピーター・ヒューワットHC

フラストレーションの溜まるような残念な敗戦となりました。前半の最初は強い風を受ける風下で。ハーフタイムのときは、静かに自信は持っていました。正しいエリアで正しいことをやれば大丈夫だと。ただ残念ながら、ディシプリンですね。規律のところが守れなかったことと、あとは最後の20分で相手の勢いが勝っていたかなと思います。

(3試合を消化した。ここまでの手応えや感じていることがあれば)やれなかった試合が2試合あったことから、勢いをつける難しさがありました。私たちは今、成長したいと思っているチームで、習慣を変えようとしているチームです。ここ2週間は、過去を振り返ってもトップ4に入っているレベルのチームと試合をやらせていただきました。自分たちもそこを目指していますが、まだ達してないということが見えました。ハードワークを続け、さらに自分たちのゲームのレベルを上げていかなければいけないなと感じています。

HO武井日向キャプテン

ヒューイ(ヒューワットHC)の言ったとおりだと思うんですけど、規律の部分で自分たちがうまくできなくて、流れもつかめなかったと思いますし、自分たちがやりたいラグビーっていうのができなかったかと思います。

(後半の入りなんかはムードをつくって、勢いに乗っていこうという雰囲気を感じた。前半を終えて選手同士で話したことがあれば)

前半からペナルティが少し多かった部分があったんですけど、後半からは風上になるので、もう1回自分たちのプラン通りにやっていこうという話をしました。

(フィジカルの強い相手に対して、ディフェンスなどを粘り強くやれていた時間もあった)大きな選手のいる相手に対して、フィジカルにいこうという話は試合前からしていたんですけど、それができた部分もあったと思いますが、80分間できたかと言われたらできなかった。今後は80分間それをやり続けるというのが課題だと思います。

(スクラムについては、お互いにペナルティを取ったり、取り返したりしていて、どちらが優勢なのかはわかりにくかった。組んでいてどんな感じだったのか?)何がペナルティで何がペナルティでないかをレフェリーとしっかりコミュニケーション取りながらやっていました。その判断が全てだと思っていたので。うまくいった部分もあったと思うんですけど、ゲームを支配できるところまでスクラムをコントロールできたかと言われたらそうではないと思うので、そこももう少しこだわってやっていかなければいけないと思っています。

文:秋山健一郎

写真:川本聖哉

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