トップリーグ 2015-2016 第2節 Honda HEAT戦レポート

2015.11.26

攻めきれなかった前半。ディフェンスでは我慢強さ見せる

必勝を期した開幕戦に敗れたリコーの第2節の相手は、同じく初戦に敗れたHondaHEAT。敗戦を引きずることなく、1週間でうまく空気を変えていけるかが一気に日程が進む今シーズンの上位進出のカギ。プレシーズンリーグで見せた勢いを取り戻し、今後の戦いに弾みをつけるような勝利が期待された。

快晴の山口県・維新百年記念公園陸上競技場にホイッスルが響き、SOコリンボークのキックで試合が始まる。深く蹴り込みプレッシャーをかける。Hondaは蹴り出してリコーはゴール間近の位置でラインアウトを得る。

キープしてモールに。しかしうまく対応され押し切れず展開。22mラインの内側でボールを順目につなぎ攻める。フェイズを重ねたが左サイドのタッチライン際で仰向けに倒され、ボールを離せずノットリリースザボール。最初のアタックは阻まれた。

PKで前進したHondaはリコーのハンドリングエラーを突いてターンオーバー。中央ハーフウェイライン付近から、左サイドへラインの裏へ少し浮かせたキック。転がったボールはゴール前へ。CTB小松大祐が追いつくが、チェイスしてきたHondaの選手が絡み、ほぼ対等なラックとなる。

リコーはラックからボールを出しタッチキックを狙う。そこでキックをチャージしようと飛び出したHondaの選手の足に、ラインに立っていたFL武者大輔の足が引っ掛かる。危険なプレーだったとして10分間の一時的退出処分が科される。(3分)

PKをタッチに蹴り出したHondaは、ゴール前ラインアウトからモールを組む。リコーはこの対処がうまくいかず、左中間に一気になだれ込まれ4番にトライを許す。CGも決められ0−7。(5分)先制を許す。

リコーは再開のキックオフを左サイド深くへ蹴り込む。キャッチした選手を押し出して敵陣22mライン付近のラインアウトに。モールを組むが、うまくボールを出せずパイルアップ。Hondaのスクラムとなる。

リコーは1人少ないFWでファーストスクラムを組んだが、相手1番がスクラムを落としコラプシングを獲る。FBピータース ダニエルが左中間22mライン付近からPG成功。3−7。(9分)

リコーはHondaがこぼしたボールを確保し、自陣からキックを蹴り込む。キャッチしハーフウェイライン手前から回して攻めるHondaにプレッシャーをかけるとミス。リコーがターンオーバー。右サイドから長いパスをつなぎ展開、陣形が整わないうちに左サイドを突こうとしたがわずかにずれ、FBピータースが出した足にボールが当たる。前へ転がったボールをHondaがこぼす。共にボールが手につかない。
ハーフウェイライン付近のリコースクラムとなり、ここでFL武者がグラウンドに戻る。(14分)

人数がそろい安定したスクラムを起点にリコーがハーフウェイライン付近から攻める。フェイズを重ねていくがテンポが上がらない。リコーはマイボールのラックでボールを覆う反則を犯しボールを失ってしまうが、リコーは自陣のディフェンスでノットリリースザボールを獲り返し、PKを敵陣深くに蹴り込む。その後蹴り合いを経てしばらく互いに攻めたが、一進一退の攻防が続いた。

リコーはキック処理のミスで自陣侵入を許す場面が続く。30分を過ぎた頃、ミスで得たチャンスを生かしたHondaが勢いのあるアタックを見せ、リコーはディフェンスの局面を迎える。ゲインを切られゴール前まで攻め込まれる場面もあったが、ここはよく我慢して守った。

前半終了間際にPKで攻め込みアタック。ワイドにボールを展開し、ラックからSH山本昌太が仕掛け、LOロトアヘア ポヒヴァ大和の縦へのゲインでチャンスを迎えたが、展開したボールを落とし22mラインの先へ入っていけなかった。3−7のスコアのまま前半を終える。

ペナルティ5つのうちノットリリースザボールが3つ、シーリングオフが1つとアタック時のものが4つと大半を占めた。目立ったハンドリングエラーと併せ、攻めきれなかった前半を象徴する結果となった。

悔しい開幕2連敗。しかし終盤にアタックの形つくり2トライ

リコーはSOボークに替えてこの日トップリーグ初出場となるバーナード フォーリーを送り後半に臨む。開始直後にHondaがアタックを見せる。リコー陣内でボールを回し、ジリジリとゲイン。ミスを突いてリコーが押し返すが、試合はHondaペースで進む。

状況を打破すべく、リコーはWTB高平拓弥をティム ナナイウィリアムズに、マイケル ブロードハーストをカウヘンガ 桜エモシに入替。ナナイウィリアムズはCTB、小松はWTBへ。カウヘンガはLO、柳川大樹はFLへ。(6分)

これで流れが変わる。SOフォーリーがハイボールをキャッチすると自陣から仕掛ける。SH山本につなぐとギャップに仕掛け前へ。さらにカウヘンガが縦に突進。

勢いに乗るリコー。ワイドに展開し右サイドを突く。タッチライン際にラックをつくると再び展開。中央をCTBナナイウィリアムズが華麗なステップで突破。ゴールラインに迫ると、ラックからFWが突進を繰り返す。左中間から狭いサイドへ出すと、再びナナイウィリアムズがラインブレイクを狙う。引きつけて外のWTB小松にパスを出すが、相手が伸ばした手に当たりタッチラインの外へ。スピードに乗ったアタックにトライの予感が漂う。

ゴール前ラインアウトからモールを組むリコー。しかしHondaが激しく押し返す。ボールが動かなくなりパイルアップ。リコースクラムで再開、展開したがSOフォーリーへの激しいタックルでノックオン。タックラーが負傷し試合がしばらく止まった。リコーはPR藤原丈宏を辻井健太に、大川創太郎を柴田和宏に、さらにFL柳川を福本翔平に入替。(13分)

両PRが替わって挑んだスクラムで、リコーは押し勝ちコラプシングを獲る。中央22mラインからFBピータースがPG成功。6−7とする。(14分)

直後、ハイパントの処理でリコーがノックオン。リコー陣内のスクラムからHondaがアタック。ゴール前まで前進しFWが突進。展開して外で勝負するがボールをこぼす。リコーはこれを拾いタッチに蹴り出し、ピンチを一旦脱する。

しかし、Hondaは左サイドハーフウェイライン付近のスクラムから展開、右サイドを突破。リコーはゴール前5m付近でなんとか止めるが、Hondaはすぐさま左へ展開。ディフェンスラインが整わないリコーの左サイドを破り、Honda18番がトライ。CGも決まり6−14。(21分)

Hondaは再開のキックオフを確保すると自陣からボールを回し攻め上がる。さらにライン裏へキックし、リコーのドロップアウトを挟んで再びアタック。リコーは止めきれず前進を許し22mライン付近までボールを運ばれた。

それでも粘ってディフェンスしリズムをつかみかけるが、縦の突破を続けて許すと5番が右中間を破ってインゴールへ持ち込みトライ。CGも決まって6−21。(26分)リコーはHO滝澤佳之に替えてマウ ジョシュア。

勝利のためには、残り15分で2トライ2ゴール以上のスコアが必要となる。攻めるしかないリコー。Honda陣内スクラムから、NO.8野口真寛がボールをキープした状態でスクラムが回り、これを見てボールを持ち出し前方へ抜ける。右サイドに展開。CTBナナイウィリアムズ、SOフォーリー、CTB山藤史也らが右サイドを突くと折り返し左へ。左中間まで運ぶと、LOカウヘンガが突進。ラックからHOマウ、LOロトアヘアが続けて縦へ。最後は再びカウヘンガにボールが渡り、インゴールへグラウンディング。CGも決めてリコーが13−21。(29分)この試合遠かったトライを、怒涛のアタックで一気に獲りきった。ここでSH山本に替わり中村正寿がグラウンドへ。

勢いづき自陣から攻めるリコー。しかしノックオンでHondaにボールが渡る。スクラムから展開し、左サイドタッチライン際を攻める。オフロードパスをつないで一気に押し込み、インゴールになだれ込む。テレビジョンマッチオフィシャル(TMO)での判定となったが、ここはグラウンディングが確認できずノートライ。(32分)

Hondaボールのスクラムで再開。サイドアタックを出足のよいタックルでリコーが止める。押し戻しつつあったが、Hondaは中央のラックから22mライン付近に立っていた10番にボールを戻す。10番は真正面からDGを狙い成功。13−24。(34分)リコーにとっては重い失点となった。

再開後リコーは再びPKで自陣侵入を許すが、このピンチを守りきるとゴール前スクラムから展開して攻める。Hondaにオフサイドが出るとLOカウヘンガがタップしてリスタート。左中間から広いサイドにボールを回し、右サイドをWTB長谷川元氣が抜け出す。22mラインまで前進すると展開。左サイドまでボールを運び、荒々しく縦に突き、再び右へ。右サイドのディフェンスラインのギャップを突いたWTB小松が相手につかまれながらもインゴールに持ち込みグラウンディング。TMOとなったがトライが認められ18−24。(39分)CGは外れたが、ラスト1プレーでトライとゴールを奪えば逆転できる点差に詰め寄った。

最後のキックオフボールはリコーに入り、スタンドから大きな歓声が沸く。さらにNO.8野口がブレイクしゲイン。ハーフウェイライン付近まで戻すと展開。左サイドをCTBナナイウィリアムズが突く。しかしその後のラックをオーバーされ、Hondaがボールを奪う。

ホーンは鳴っていたが、ボーナスポイントを狙い試合を切らずにトライを狙ってくるHondaにリコーは食らいつく。失点すればリコーも7点差以内で得られるボーナスポイントを失う場面だけに激しいブレイクダウンとなったが、最後はHondaが蹴り出してノーサイド。リコーは開幕戦に続く敗戦で、第2節を終えて0勝2敗勝ち点1。グループA7位となった。

次節は11月29日(日)13時からの群馬県・太田市運動公園陸上競技場でのパナソニックワイルドナイツ戦。もどかしい試合が続いたが、チャンピオンチームへの挑戦を通じ、浮上のきっかけをつかむしかない。

「過去を変えることはできない。大事なのはこれから何をするか。そこで自分たちの真価が問われる」(FLマイケル ブロードハースト)

神鳥裕之監督

今日はたくさんのファンの方にお越しいただいたことに、まずは感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。開幕戦で悔しい敗戦をしてしまいましたので、切り替えてなんとか流れを変えて、勝利して次に進みたかったんですけれども、負けてしまい残念に思っています。前半はイージーなミス、ハンドリングエラーだったりでリズムがつくれず、後半も先手先手を取られる苦しい展開の中で、流れを取り返せず厳しい試合でした。試合自体は残り5戦続きますので、しっかり気持ちを切り替えて、次の試合の準備をしていきたいと思います。【以上共同記者会見にて】
この1週間は自分たちのラグビーにフォーカスし、ディフェンスシステムの理解をもう一度促して信頼を深めたり、アタックも自分たちのポシリーを遂行できるようなトレーニングに取り組みました。緊張感を持ってやれたと思ったのですが、結果につながらなかった以上は改善しないといけません。
前回の試合に比べれば我慢強く守れている部分もあったんですが、自分たちが目指しているものからはほど遠い。昨シーズンの後半のパフォーマンスをベースに、そこから成長しようと言っている中で、そのベースにも達していないので見直さないといけない。具体的にはラインスピードが出ていなかったり、一次攻撃で簡単にゲインされていることだったりとか、その原因は追及します。(ハーフタイムの指示は?)サイドからサイドにボールを動かす中で、エッジ部分でボールを奪われるケースが続いたので、もう少し相手を前後に動かせるように、キックをうまく使って敵陣に入ろうというアタック面の指示と、ディフェンスは一貫して粘り強くやって相手のミスを誘おうと伝えました。
前半は相手のアタックがミスで終わる場面は多く、しっかりとしたディフェンスからアタックを仕掛けていく場面はありました。それが後半に入ると、自分たちのアタックがうまくいかずフラストレーションを溜めディフェンスが破られてしまうという。トライがなかなか獲れず自信がなくなっているのかな。選手、特にリーダーたちと話をして、選手レベルで感じていることを聞きチームを立て直していかなければと思っています。試練ですが、これを乗り越えられるかにはリコーの未来がかかっていると思います。
とにかく選手たちの能力はこんなものではありません。自信を取り戻させたり、パフォーマンスレベルを上げてあげることが我々の仕事だと思っていますので、この1週間の中でどれだけ取り戻せるかにフォーカスしてやります。次はチャンピオンチームとの試合ですが、いい意味で開き直って自分たちの持っている力を最大限出せるような準備するだけ。思い通りにいかなかったり、想定外の出来事が起きたりするのが勝負事の難しさであり面白さ。絶対にあきらめることなく、暗くならずに戦っていきます。

NO.8野口真寛キャプテン

本日はたくさんの応援ありがとうございました。今日の試合はディフェンスで我慢すべきところでしっかり我慢できていたと思います。ただ要所要所、大事な場面でモールのディフェンスだとかでミスを犯してしまっての失点が最後まで続いた試合だったと思います。特に実力が拮抗した相手との試合ではミスは響く。それが試合展開につながった試合だったと思います。【以上共同記者会見にて】

ミスが多い。勝負所のミス。個人の実行力が足りないのかもしれない。(練習の雰囲気などは?)今週は先週の敗戦を重く受け止めていい練習をしてきました。それは今日のディフェンスの我慢強さにつながってはいたと思うんですが、それでも足りなかった。(アタックは?)敵陣には多く入ったと思う。一番外、エッジのところでターンオーバーが多かったですね。ノットリリースザボールを何度も獲られました。チャンスというのは何回もあるわけではないので痛かった。セットプレーはモールディフェンス以外は安定していたと思います。1週間はとにかくミスをなくすことに集中したい。

FLマイケル ブロードハースト

Hondaはいいプレーをしました。今日は自分たちで自分たちの首を絞めてしまいました。まずハイボールの処理でミスが続いたのでそこの対策をしないと、多分他のチームも突いてくると思います。セットピースはまずまずでした。ノックオンは多かったですね。ブレイクダウンは試合の最後のほうでも簡単にターンオーバーされていたので修正が必要。前半のディフェンスはまずまずでした。最後の20分は落ちたかもしれない。何本かラインブレイクされていました。個人のところですね。ミスタックル。それぞれがタックルを決めきらないといけない。フィットネスに問題はないと思います。長いシーズンではないので最初の数試合は勝ちたいと思っていたので残念です。ただ過去を変えることはできないので、大事なのはこれから何をするか。そこで自分たちの真価が問われると思います。

FL福本翔平

プレシーズンはスタートで出してもらっていたのですが、トップリーグではリザーブスタート。メンタリティや身体の準備の部分がなかなか難しい。グラウンドに入らないと雰囲気ってわからないものですね。リザーブは入ったときにパッと合わせることができないといけないので、今はそこをいかにうまくやるかを考えています。パフォーマンスそのものについては十分やれるという自信を持ってやれています。チームとしては苦しい状況ですが、元気にプレーして若手としてチームの雰囲気づくりに協力していきたい。チームの意思統一をさらに図りやろうとしていることを全員が等しく理解して実行すれば、アタックもディフェンスもまだまだよくなると思います。

SOバーナード フォーリー

しっかり準備することができましたが、チームに勢いをつけられなくて残念でした。相手は自分たちの裏にキックをしてきたので後ろを向くことが多かった。ただ、試合の最後でボールを持ってアタックしているときのリコーは、危険なチームに見えました。修正すべきはディフェンスのほうですかね。後半20分過ぎに続けてトライを獲られた場面は、ハイボール処理のミスと1対1のタックルミスが続いてしまった。ただ簡単に直せる部分だと思いますので、ポジティブにとらえて練習をしっかりやっていきます。パナソニック戦が楽しみです。

CTBティム ナナイウィリアムズ

勝利まではそんなに遠くはありません。アタックでもディフェンスでも、小さいことが大きな代償になってしまっています。小さなところを直していけば流れはよくなる。プレッシャーをかけて戦い、トライを重ねていけるようになると思います。(今日の試合はどんなことを考えてグラウンドに?)とにかく勝つんだ、できる限り多くの仕事をしたいと考えていました。チャンスが来たらそれを最大限生かすぞと。次の試合もそれは変わりません。全員で勝利をつかみます。

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