プレシーズンリーグ2015 第2節 豊田自動織機シャトルズ戦レポート
2015.09.14
獲られたら獲り返す。迷いのない猛アタックで2トライ。
トップリーグプレシーズンリーグ第2節。リコーは豊田自動織機シャトルズを相手に、三重・三重交通Gスポーツの杜鈴鹿サッカー・ラグビー場でのアウェイゲームを戦った。昨シーズンはトップリーグ2ndステージで対戦し36−0で勝利した。しかし今年8月の網走夏合宿での試合では前半に5トライを許し31失点、38−38のドローに終わっている。
公式戦で雪辱を晴らそうと向かってくる相手に対し、リコーはFL福本翔平、CTB木上鴻佑、WTB深津健吾の3人のルーキー、また公式戦初出場・初先発出場の選手も数多く名を連ねた若々しいスターティングメンバーで、リコーは勝利を目指した。

深い緑に囲まれたフィールドに笛が鳴り、豊田自動織機のキックオフで試合が始まる。17時だが周囲はまだ明るく、試合に影響しそうな風は吹いていない。
リコーは自陣左中間をルーキーのWTB深津健吾がアタック。ハーフウェイライン手前でつかまるが、守る豊田自動織機にオフサイド。自陣を脱していなかったがFBピータースダニエルがPGを狙う。コースはほぼ正確、しかしバーのわずかに下を通りはずれる。(2分)
その後、リコーはペナルティキックで自陣侵入を許しアタックを受けるが、ボールを奪い、これをつないでゲイン。敵陣に達すると今度はミスパスを奪われる。しかしランナーを止めノックオンを誘う。めまぐるしい展開。
蹴り合いで双方エリアを獲りにいく展開になると、リコーはWTB星野将利が深めに蹴り込みSO徳永亮がプレッシャーをかける。豊田自動織機はボールをつなぐが、そこにPR辻井健太のタックルが決まりノットリリースザボール。右中間、距離20mのPGをFBピータースが決めリコーが3−0と先制する。(13分)

再開のキックオフボールをSO徳永が蹴り返すと、このボールで豊田自動織機がアタック。つながれて右サイドを破られたリコーはそのままインゴールまで運ばれ右隅にトライを許す。(14分)豊田自動織機は角度のあるCGに成功し3−7と逆転する。
しかしリコーは次のキックオフでやり返す。キックオフボールを敵陣に走り込んで確保すると展開。CTB木上鴻佑からボールを受けたNO.8柳川大樹が右中間のギャップを突いてゲイン、22mラインの内側へ。
ほぼゴール正面の位置で豊田自動織機がオフサイド。即座にSO徳永が速攻を仕掛ける。左中間でラックからの突進を繰り返し最後はFL福本翔平がトライ。(17分)。CGもFBピータースが決め10−7。すぐさまリードを奪い返した。
その後は互いに攻めるが、どちらも敵陣で反則を出し一進一退の時間が続く。リコーは前戦で乱れがちだったラインアウトが安定しピンチの芽を摘むシーンが見られたが、キックによる陣地獲得に苦労し自陣浅めでのプレーが続いた。
相手のアタックを止めて得た自陣22mライン付近のマイボールスクラムからボールを出しタッチに逃れるが、豊田自動織機はリコー陣内の中盤のラインアウトをキープしワイドに展開。右サイドからつないで左サイドで勝負する。WTB星野がこれを止めるが、豊田自動織機はボールをつなぎ再び右サイドまでボールを運びリコーのディフェンスを破り、2番が右隅にトライ。(31分)CGも成功し10−14。
ここでもすぐに獲り返すリコー。キックオフボールの豊田自動織機の蹴り返しがタッチを割って得た敵陣のラインアウトをキープ。展開時にパスが少し乱れたが、ループでパスをもらいにいったSH山本昌太がうまくリカバリー。右中間を突いたSO徳永、LOロトアヘアポヒヴァ大和らのゲインを経てゴール前にラックをつくる。そのサイドに走り込んだのがPR辻井。パスを受けると鋭く突進しそのままポストの右にトライした。(34分)CGも成功し17−14。リコーが再逆転する。
前半終了直前、豊田自動織機がラインアウトから展開したボールに食らいついたLOロトアヘアのプレーがオフサイドを誘う。リコーは左サイド、ハーフウェイラインを越えたあたりからPGを狙うが惜しくもはずれ(40分)、前半は終了した。
攻めながらトライ生まれず。しかし試合の流れは渡さず手堅く勝利。

後半はFBピータースのキックオフで開始。蹴り返しがタッチを割って得た敵陣のラインアウトで、HO芳野寛が最前列に立ったNO.8柳川にボールを渡すと、すぐさま戻しタッチライン際を走る。22mラインの内側までゲインする。相手のラインアウトになるが、キックによって挽回した距離は短く、リコーは再度敵陣ラインアウトのチャンスを迎える。(2分)
リコーはラインアウトで確実にボールをキープして展開。ラックからボールをテンポよく出しゲインライン突破を狙っていく。豊田自動織機もディフェンスラインを上げプレッシャーをかけるが、リコーは簡単にボールを失うことなく攻撃を継続。
すると22mライン付近で豊田自動織機に倒れ込みの反則。リコーは左サイドゴール前に蹴り出しラインアウトを得る。やや乱れたがキープ。展開するとWTB深津へのパスが惜しくもスローフォワード。(4分)

一度ボールは渡したがリコーのチャンスは続く。敵陣10mライン付近のラインアウトからPR辻井が左中間で縦の突破。さらに展開し右サイドをLOロトアヘアが突くと守る豊田自動織機にオフサイド。ゴール前ラインアウトからのモールは押し返されたが、ボールを出し中央を縦に数回突く。そして今度はSO徳永がライン裏へグラバーキック。WTB深津が追ったがわずかに届かず相手にセーブされた。
アタックを続けながらトライは奪えなかったリコーは、オフサイドを犯しPKで自陣侵入を許す。
FBピータースに替えて長谷川元氣が入りWTBに。WTB星野がFBへ。(11分)さらに出血したHO芳野に替えて滝澤佳之が入る。(12分)
相手ボールのラインアウト、さらにスクラムとなるが、スクラムでフォワードが踏ん張る。コラプシングを獲るとPKで陣地を押し戻した。PR松本友介に替えて大川創太郎が入る。(14分)

リコーは豊田自動織機の反則を突いて前進。再びゴール前に迫る。(16分)ラインアウトモールで押した後、ボールを出し突進を繰り返す。ゴールラインに達したかに見えたが、惜しくも届かずノットリリースザボール。
しかし再度敵陣ラインアウトのチャンスをつかむと、左サイドから展開。右中間を破ったSO徳永が22mライン付近へ。ディフェンスが迫ると逆サイドへの長いパスを狙う。ボールは相手選手に当たりルーズボールになるが、走り込んだNO.8柳川が拾う。左中間をまっすぐ走り相手につかまれながらも力強くインゴールへ運び待望のトライが生まれた。(21分)SO徳永が蹴ったCGも成功し24−14とリコーがリードを広げた。
ここでSH山本昌太を中村正寿に(22分)、LOロトアヘアを生沼知裕に(24分)に入替。
SH中村は持ち味のテンポのよい球出しとフラットなパスを連発。受け手もアングルを変えて走り込むなどして積極的にラインブレイク、そしてボーナスポイントの条件である4つめのトライを狙っていく。
トライは奪えなかったが、セットプレーの安定感もあって試合の主導権を譲ることなく試合は最終盤へ。SO徳永を小浜和己に、FL福本を川口顕義に入替。(34分)
終了直前、自陣のラックでターンオーバーに成功すると、すぐさま切り替えリコーは最後のアタック。ワイドにボールをつなぎながら前進。22mライン付近に達しさらに攻めようと出したパスを、飛び出してきた相手23番(CTB)にカットされる。
FB星野が追いかけたが届かず、そのままインゴールまで走り切られトライ。(39分)CGは外れたが24−19として豊田自動織機が5点差に迫った。
しかし試合はこのまま終了。リコーが逃げ切りプレシーズンリーグ初勝利を挙げ、勝ち点4を追加しプールD2位に浮上した。マンオブザマッチはこの日80分間グラウンドに立ちスクラムでチームに貢献。アタックでも切れ味を見せたPR辻井が選ばれた。
次戦は18日(金)、東京・秩父宮ラグビー場で19時30分から行われるキヤノンイーグルス戦。プールD1位突破の可能性を残してリーグを終えるには、今シーズン最初のホームゲーム、そして昨年苦汁を飲まされたこのカードに勝つことが絶対条件となる。
「SHとしっかりとコミュニケーションをとって、いいかたちでボールをもらえた。PRらしく力強く前に進めた」(PR辻井健太)
神鳥裕之監督
地方開催のゲームに、たくさんの方々に足を運んでいただいたことに感謝を申し上げます。我々は先週悔しい負け方をしましたので、結果という部分を求めて試合に臨んだのですが、選手たちがセットプレーなど先週の反省点を改善し、勝利に結びつけることができたことには満足しています。ただ最後のところでトライを献上してしまったことなどまだまだ反省点はありますので、次のキヤノン戦に向けてしっかり準備していきたいです。今日はありがとうございました。
(ハーフタイムは何か具体的な指示をしたか)前半はセットプレーも安定していましたし、自分たちがやろうとしていたことに対するパフォーマンスは悪くありませんでした。試合前は「狙えるところはしっかりゴールを狙ってスコアを重ねていこう」という指示をしていたのですが、後半は積極的にトライを狙っていこうと話をしました。
(豊田自動織機に対する印象は?)キープレイヤーに外国人選手がそろっていることはわかっていたので、そのインパクトに警戒していこうと考えていました。試合中もプレッシャーはかなりきつく感じましたが、それをしっかり止めてくれたことが今日の勝利につながったと思っています。【以上共同記者会見にて】
勝因はセットプレーが大きく改善できたところですね。トップリーグ経験があまりない選手がよくやってくれました。(前半に許したトライについて)試合前にコーチからエリアマネジメントをしっかりしようというフォーカスポイントが伝えられていたのですが、なかなか陣地を返せずそこに相手の攻撃をつなげさせてしまう状況をつくってしまった。
(相手はディフェンスラインを上げプレッシャーをかけてきていたように見えたが)そういう対応はあったと思いますが、自分たちとしてはイージーなミスをなくし完成度を上げることは大事。それはできていたと感じています。
(アタックでは迷いのないチャレンジングなプレーが見られた)SO徳永(亮)はあそこまでゲームタイムがあったのは久しぶりだったと思います。キックで成長すべき点はありましたが、アタックだけではなくディフェンスでも成長を感じました。SH(山本)昌太もここ最近ではベストのパフォーマンスだったと思います。途中交代で入ったSH中村(正寿)には、テンポを上げチャレンンジしてほしいと伝えましたが、それに応えてくれました。彼らに限らず、若い選手たちの底上げも図れたと思いますし収穫の大きい試合でした。
(マンオブザマッチの辻井選手については)頑張りましたね。逆転された東芝戦の終盤に出場して彼自信も悔しい思いをしていたと思うし、本当のトップリーグのスクラムというものを体感して、今日に臨んでいたんだと思います。彼にとって大きな自信になったのでは。フィールドプレーもよかった。元々PRの中ではフィールドプレーは高いレベルでできる選手という認識でした。今日の経験でセットプレーの自信もつけて次のレベルに進んでくれれば、PR藤原(丈宏)のいい競争相手になってくれるかなと。(1番の強化は重要?)昨シーズンは藤原が1人でレギュラーを守っていたので、追随する選手をつくるというのはターゲットですね。そこに(辻井)健太が出てきてくれたのはチームにとっても収穫です。
(新人ながらFL福本選手が2試合続けて先発)いいですね。勢いがありますね。思いきりがよくてはつらつとしている。迷いがないプレーをしてくれているので、チームの戦力として期待ができるレベルまできたと思います。FL武者(大輔)と最後まで切磋琢磨してほしいですね。今日は先週の6番と7番を入れ替えたりして競わせた部分もあるんですけど。武者も意識してると思いますが、彼のここ2試合のパフォーマンスもよかったので、彼らの競争はチームの中においてもいい刺激になっていると思います。
次のキヤノン戦は金曜日のナイターで注目度も高い試合なので、しっかり勝って社員やファンの皆さんにいい気持ちで帰ってもらえるように。僕らも昨シーズンは悔しい思いしていますので。
SH山本昌太ゲームキャプテン

たくさんの会社関係者、ファンの皆さんが来場して下さって、多くの方々の前でプレーできたことを本当に嬉しく思います。今日は何よりも勝てたことがよかった。改善点は多々ありますが、また来週に向けて一週間しっかり練習して、試合に臨みたいと思います。
(豊田自動織機の印象は?)やはり外国人選手が3人、4人といたのでしっかり警戒して。あとは夏合宿からやってきたことをしっかり出すというところ。豊田自動織機さんとは夏合宿でも試合をしていたのですが、ふがいない結果だったので、そこを踏まえてなんとしても勝とうと思っていました。しっかり勝てたのでよかったです。【以上共同記者会見にて】
PR辻井健太(マンオブザマッチ)

プレシーズンマッチではありますが、トップリーグの試合では初めての先発出場、しかも80分間プレーすることができました。1番のポジションは今年の夏合宿からやるようになって今日で4試合目。できることとできないことそれぞれあるのですが、特にスクラムでは課題が多く出ているので修正していきたいです。アタックではゴール前で力強いプレーができたので、その強みはしっかり継続しつつ、もっとチームに貢献できるように頑張っていきたいです。
(スクラムは安定しているように見えたが)リコーのマイボールスクラムは安定していたと思いますが、トップ4のチームとスクラム組むイメージを持って常に上を目指してやっていきたいです。(トライのシーンはスピードに乗っていた)SHとしっかりとコミュニケーションをとって、いいかたちでボールをもらえたので。PRらしく力強く前に進めたのでよかったと思います。(ボールを持ってのプレーにも自信?)いや、どちらかというと(笑)。やっぱりブレイクダウン、ディフェンスのほうが。今後強みにしていきたいとは思います。
FL福本翔平

先週の東芝戦は80分出場させてもらいながら自分の思い通りプレーできなかったので、目標を立ててそれを実行しようと考えて試合に臨みました。(目標とは?)タックルの回数だったり、ボールキャリーの部分だったり。先週の試合はバックローとして存在感が見せられず不完全燃焼でした。今日の試合は準備の段階からかなり気合が入っていたと思います。ボールタッチ回数とタックル回数は意識しました。(充実感は?)あります。でもまだまだいいプレーできるとも思っています。
CTB木上鴻佑

僕たちの対面の10番、12番、13番が外国人選手だったので、フォーカスとしてはとりあえずディフェンスからやろうと。身体を当てて流れをつくっていこうと思っていました。それは終始意識してできたと思います。(大学時代に比べ、トップリーグには身体の大きな外国人選手が多くいるが)特別意識せずにやれています。(今年の目標は?)11月からのトップリーグの本戦に出場したいです。ディフェンスで身体を張り続ければチャンスは来るかなと思っています。
CTB塩山瑛大

ちょっとまだ身体が動いていなかった部分があったので、自分の体調をさらに整えて臨まなければいけなかったと感じています。(その中でもこだわれた部分は?)ディフェンスで早めにプレッシャーをかけるというところ。相手のCTB陣が外国人選手だったので、僕らCTBがしっかりプレッシャーをかけようというのは試合前から確認していました。そこの部分は少しできたかなと思います。ただ完璧にタックルが決まったかっていうと、そうでもないのでまだまだです。トライを獲られた場面はコミュニケーションの部分がちょっと雑になってもいました。
(相手のディフェンスラインが前に出てきていたが)相手の13番が特に出てきていたので、クロス系に変えようとか、そういうのは途中で話をしてやりました。バックスがフラットにプレーするというのはフォーカスしてきて、ずっとやろうとしてきていること。今日はフォワードがセットプレーで頑張ってくれたのでチャンスはたくさんありました。(トップリーグ本戦への初出場に向けて。今年は気合が入っている?)毎年一緒ですね。出るためにやっています。