2014-2015 トップリーグ 1stステージ 第6節 vsNTTドコモレッドハリケーンズ戦

2014.10.14

風上から攻めた前半はリードを広げられず

トップリーグ第6節は、岩手・盛岡南公園球技場でのNTTドコモレッドハリケーンズとの対戦。前節初勝利を挙げたリコーのターゲットは、残り2試合のボーナスポイントを獲っての勝利。厳しい状況ながら残された2ndステージにおける上位グループ進出の可能性をとにかく追うことだ。

前半、強い追い風を受けて戦える風上の陣地を選んだリコーは、キックオフボールからのNTTドコモのアタックをディフェンスする。ミスせずよくつなぐNTTドコモはゴールライン間際までボールを運ぶ。しかし、ラックで反則を獲ったリコーはSOコリンボークのキックでハーフウェイライン付近までボールを戻した。

リコーが中盤でボールを回しワイドに攻めると、NTTドコモにオフサイド。FBピータースダニエルのキックでゴール前ラインアウトにする。追い風を生かしうまく攻めていく。

右サイドのラインアウトを確実にキープすると、モールで右中間を突く。力強くドライブし最後はバックスも加えてインゴールへ。HO滝澤佳之が先制トライ(6分)。強風の中、FBピータースがCGを決めて7−0。ターゲットの4トライに向けて好発進を見せた。

再開すると、NTTドコモはリコーがこぼしたボールを拾い自陣からアタックに転じ、さらにペナルティキックでリコー陣内に侵入する。ラインアウトからボールをつなぎ、ディフェンスに穴を空けようとフェイズを重ねていく。リコーは声を掛け合って対応し、ひたすらタックルを続ける。

我慢比べとなるが、ミスせずボールキープしたNTTドコモは8番が中央を破りゲイン。ゴールラインそばでラックをつくると展開し、7番が右中間にトライ(15分)。CGははずれたが7−5とする。

リコーは自陣からボールを回すNTTドコモに対しディフェンスでプレッシャーをかけ反則を奪う。ペナルティキックを蹴り出してゴール前ラインアウトにすると、再度モールでトライを狙う。ラックに移行しサイドを突いていくが、グラウンディングできず。アンプレアブルで5mスクラムとなる。

NTTドコモがコラプシングを犯すと、リコーは再びスクラムを選ぶ。しかし2回目のスクラムでNTTドコモが激しくプッシュ。ボールを乗り越えると8番がボールを奪い、陣地を押し戻す。リコーは大きなトライチャンスを逃した(23分)。

押し戻したNTTドコモが、リコー陣内に蹴ったゴロキックをWTB小松大祐が拾う。チェイスしてきた選手をうまくかわすと、縫うように走ってカウンターアタック(26分)。NTTドコモ陣内22mライン手前でフォローしたHO滝澤にパス。これが通るがNTTドコモが激しく絡みノットリリースザボールに。

リコーは、パントキックをキャッチしたWTB小松がタックル後も押さえ込まれ、ホールディングの反則を獲る。キックを蹴り出して左サイドのラインアウトにすると、これをキープして攻める。サイドを破りゲイン、ゴールライン際に持ち込むが、ここで粘り強いディフェンスを受ける。ボールをこぼしここもトライならず。この攻防でSH山本昌太が負傷。中村正寿と交替した(31分)。

一進一退の攻防を経て、リコーは敵陣中盤で相手のラックからこぼれたボールにSH中村が手をかけ、体勢を崩しながらキック。中央をゴールラインそばまで転がり、追いかけたリコーの選手がボールを拾ったNTTドコモの選手に襲いかかる。インゴールでボールが動かなくなり、右中間5mでリコースクラムとなる

2つ目のトライがどうしてもほしいリコーは、今度はスクラムをしっかりこらえて展開。左中間をSOボークが突くが、13番と15番が2人で止めにかかりわずかに届かず。またも好機を逃した(38分)。

終了間際、自陣右中間ラックサイドのギャップ抜けたNTTドコモ6番がビッグゲイン。止めにいったリコーはホールディングの反則を犯す。直後にホーンが鳴ったため、NTTドコモは右サイド40mの位置からPGを狙ったがこれははずれた。

連続トライで流れつかむも、NTTドコモの粘りに苦しむ

選手交替なしで後半がスタート。リコーにいきなりチャンスが訪れる。キックオフボールをNTTドコモがこぼし、さらにオフサイドポジションの選手がボールに触れる。

リコーはキックを蹴り出して左サイドゴール前ラインアウトにするとモールを組む。相手の力をうまく受け流し、中央に向かってドライブ。前方が空くと一気に押し込みインゴールへ。NO.8マウ ジョシュアがトライ(1分)。向かい風のCGも成功。14−5とする。

さらにハーフウェイライン付近のラインアウトを奪ってせめると、ラックでNTTドコモにハンドの反則。またキックを蹴り、ゴール前ラインアウトにする。ここからのアタックで反則を犯しNTTドコモスクラムとなるが、これを押し込んでターンオーバー。

左中間でWTB小松が仕掛けるとLO馬渕武史がサポート。ラックからLOロトアヘアポヒヴァ大和へ出し縦。相手選手を引きずりながら、左中間にグラウンディングしてトライ(6分)。CGははずれたが19−5とさらに点差を広げた。リコーが連続トライで後半の入りをうまく制した。

NTTドコモは自陣10mライン付近のラックでターンオーバーすると、ボールを回して攻め上がる。約3分にわたりボールを失わず攻め、リコー22mラインに到達。リコーのタックルもヒットしてはいたが、ボールを奪えずじりじりとラインを下げられる。

そしてNTTドコモ15番がわずかな左中間のギャップを縦に突き、10番にパスしてゴールに迫る。さらに外に8番、11番とつないで左隅にトライ(14分)。CGははずれたが19−10。粘り強いNTTドコモのプレーに、試合の行方はまだまだわからないという雰囲気がスタジアムに漂った。WTB松本悠介を高平拓弥に交替(15分)

今度はリコーが粘り強く攻める。敵陣10mラインを越えたあたりのスクラムからワイドにアタックを仕掛け前進していく。左サイドタッチライン際のFL武者大輔の突破でさらに前進しポイントをつくると、展開し中央をCTB山藤史也が突く。

さらに右へ。LOロトアヘアにつなぐと力強く前へ出て、最後は右手を伸ばしグラウンディング(19分)。CGははずれたが24−10。リコーはボーナスポイントの得られる4トライに到達した。PR大川創太郎を柴田和宏に交替(20分)

さらに自陣から回して攻めるリコーは、LOロトアヘア、FL柳川大樹、WTB小松、FL武者らのゲインで前進。最後はSOボークが縦に仕掛け、右中間インゴールにグラウンディングした(22分)。CGも成功し31−10。LO馬渕をカウヘンガ桜エモシに交替(23分)

4トライを達成。21点差をつけて残り16分。理想的な展開になったが、ここからリコーは苦しむ。

キックオフボールをキャッチし自陣で回すとここでミスが出てノックオン。さらにスクラムで反則。リスタートしたNTTドコモ8番が左中間を縦に突いてトライ(25分)。CGも成功し31−17とされる。HO滝澤を森雄基に交替(26分)。

さらにハーフウェイライン付近でキックをキャッチしたNTTドコモが、これを起点にアタックを継続。ミスなくフェイズを重ねリコー陣内深くに攻め込むと、左中間に空いたギャップを抜け19番がトライ(28分)。CGも成功し31−24。

5分間で14点を奪われ、再び試合はわからなくなった。SOボークをルイ フーシェに交替(29分)。

SOフーシェは逆風にも負けないキック力と果敢な仕掛け、ディフェンスで存在感を見せる。敵陣で時間をうまく使って試合をコントロールしかけたリコーだったが、残り1分のところで、こぼしたボールを奪われNTTドコモが猛攻をしかける。

ギャップを抜けた13番がゲイン。リコー22mラインまで前進する。さらにリコーに反則が出て、中央22mライン上のスクラムに。ここは押し勝ってボールを奪いかけるが再度反則。リスタートからNTTドコモがもう一度アタック。

引き分ければ上位グループ進出の可能性は消滅する。重い意味を持つラスト1プレーにスタジアムは緊迫したが、リコーはラックでLOロトアへアが絡んでこぼれたボールを、NO.8マウがターンオーバーするビッグプレー。このボールをSOフーシェが蹴り出してノーサイドを迎えた。

最後まで苦しんだリコーだったが、なんとか勝ちきって2勝目。通算成績を2勝4敗、勝ち点を13とした。次節でトヨタ自動車を勝ち点0に抑え、さらにボーナスポイントを獲得して勝つこと。さらにコカ・コーラが近鉄に勝利する必要もあり状況的には厳しいが、リコーは上位グループ進出の可能性を残し最終戦に挑む。

「勝つしか道は残されていない。その試合に懸ける気持ちを見せたい」(WTB小松大祐)

神鳥裕之監督

まずは東北という私たちがあまり試合をする機会の場所にもかかわらず、たくさんのリコーファンの方、また会社の方が応援に来てくださったことに感謝いたします。
試合としては、グループA入りに向けてあとがない状態で、ボーナスポイント含め勝ち点5を獲って勝つ、そういうメッセージを出し、最低限の仕事ができたことには満足しています。
ただし内容については、休み明けというコンディションのつくり方が難しい状況で、特にディフェンス面でゴールラインを割られる場面が多かった点、ブレイクダウンで受けに回ってしまった点で、本来やりたかった姿とは違ったとは思っています。

とはいえ勝てたということで、次につながる結果にはなった。反省をして最終戦に向けてしっかり準備していければと思っています。

(後半、風下の陣地で戦うことになった。それについて何か伝えたか?)風に関するメッセージは出していません。ボーナスポイントを獲るにはあと3トライ獲る必要があったので、イメージとしては(後半4トライを挙げた)サントリー戦の後半、あのときのようにしっかりボールキープしてアタックをしていこうと話して送り出しました」
【以上共同記者会見にて】

(風が強かった。風上でスコアできず多少あわてたのでは?)選手に風のことはあまり伝えないのです。意識させすぎてもしょうがないし、実際今日も風下から攻めた後半のほうがスコアできていたわけですし。
前半がタイトになるのはわかっていたので、得点差よりも自分たちがやろうとしていることができていないことに多少ナーバスになっているようには感じました。
(前半はトライシーンとは別に3回くらいチャンスがあった?)ボールが出てこなかったり、イージーなミスでノックオンしたり、NTTドコモさんのブレイクダウンへのチャレンジでバタバタしたという印象。4トライというメッセージがプレッシャーになったのかはわからないのですが、普段の自分たちのラグビーを取り戻せない状況が続いたのが前半だったと思います。
後半も一度はペースをつかんだんですけど、試合全体を通してディフェンスのクオリティはよくなかった。ラインスピードの部分。タックルクオリティは高かったんですが。相手のブレイクダウンが激しいということで意識しすぎたのか、うまく仕留められませんでしたね。それでも結果的には、接戦をものにできたので、チームの成長につながる試合ではあったと思います。
この1週間でディフェンスを修正したいと思います。トヨタ自動車はフィジカルが強いですから。次の試合を終えればウインドウマンスに入るので、来週は総力戦になりますね。もう自分たちの力を信じてやるだけです。

WTB小松大祐キャプテン

素晴らしい応援の中プレーできたことを嬉しく思います。試合を観に来てくれた僕の地元の佐沼高校の生徒の皆さん、ラグビースクールの子供たちも一生懸命応援してくれました。皆さんの声援で勝てたのだと思います。
試合については、ブレイクダウンのところで、相手の寄るスピードのほうが速くて、ターンオーバーだったり球出しのテンポを遅らされたところなどが反省点でした。改善して次の試合に臨みたいと思います。
(風の強い試合だったが、影響は?)前半風上の陣地をとったのは、その影響を考えてです。前半はもう少し得点したかったんですが、NTTドコモさんのいいディフェンスもあって得点できず焦ってしまった。それが苦しんだ原因だと思います。
【共同記者会見にて】

前半は攻めようという気持ちは強かったんですが、ブレイクダウンで相手のサポートのほうが速かった。その結果球出しが遅れ、形を崩したままアタックしていました。後半はそれを修正して、外まで使うという意識を持ってプレーできた結果、ディフェンスのプレッシャーをうまく受け流しながらできたのかなと。(追い風の中で、チャンスを逃して前半を終えた。それでも開き直ってプレーできていた?)修正する部分がはっきりしていたので。ブレイクダウンのサポート、グラウンドのエッジまで使う、セットプレーをもっとうまくやる、という部分。(ディフェンスは?)自信もってやれていたと思う。ここぞっていうところのミスでトライまで持っていかれたのは次修正しないといけませんが。最終戦、僕らには勝つしか道は残されていません。その気持ちの部分を見にきてほしい。試合に懸ける思いを見せたいと思います。
(個人的にコンディションは?)少し前の試合から時間が空いていたので、コンタクトの部分で試合勘がちょっと。(次の試合は?)戻ると思います。

PR藤原丈宏

スクラムでプレッシャーをかけていこうと話していたんですけど、前半プレッシャー受けてやられたところもあった。そのあとやり返せた場面もあったのでよかった。修正できたと思います。(終盤2本トライを許して苦しい場面もあったが?)我慢してディフェンスしようと。しんどかったですね。ペナルティから攻め込まれていたので、次のトヨタ自動車戦はそこに気をつけたい。

LOロトアヘア ポヒヴァ大和(マンオブザマッチ)

最初は思ったよりうまくいかなかった部分があったけれど、後半は修正できたように感じました。ハーフタイムは、あとがない状況だったので、ここであきらめるわけにはいかない、残り40分出しきろうということでみんな1つになれた。何があっても思いきりやろうって。個人的には自分が前に出ていければチームにも勢いがつくと思っています。それを信じてプレーしました。最後まで頑張ります。

SOルイ フーシェ

最初からタイトなゲームで、風も強かったので難しい部分もあったのかもしれません。コンディションにうまく合わせてプレーする必要のあるゲームでした。その中でもゲームプランをよく実行できたと思います。最終的には勝ててよかったですね。もう少しディフェンスシステムを守ってやる必要はあったかな。
(試合に入るときには何を考えた?)試合の前にはいろいろ考えますけど、ピッチに立つときにはそのときの、チームにとってのベストを考えてプレーしました。(日本のラグビーについて感じることは?)速いですね。リコーのラグビーもシーズンが深まって、攻撃のシェイプなどがよくなってきていると感じています。

CTB山藤史也

とりあえず、5ポイントを獲って勝てたのでほっとしています。内容はあまりよくなかったかもしれませんが、よくないないなりに結果に結びつけられたのはよかったのかな。調子悪くても結果残せるチームになっていけば、上にいけると思うので。
前半はアタックでうちの形ができていなかった。日頃やっていた練習の形が出なくて。それでも最終的に5トライ獲れたのはよかったのかな。ディフェンスはトライを多く獲られてしまいましたけど、そんなに悪くなかったと思うのですが。
みんな上に残ることしか考えていないし、それを信じてやっているので、引き続き応援をお願いします。サントリー戦以降は気持ちを前面に出して戦えているし、勢いも出てきているので、いい状態だと思います。

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