2011-2012 サテライトリーグ 対 東芝ブレイブルーパス

2011.12.12

前日とはうってかわって快晴のサテライトリーグ

 トップリーグ第5節NECグリーンロケッツ戦翌日の12月4日(日曜日)、サテライトリーグ第4戦となる東芝ブレイブルーパス戦が、東京・世田谷区のリコー総合グラウンド(砧グラウンド)で行われた。天候は前日とはうってかわっての快晴。観戦用スタンドは、第5節での雪辱を期して臨むメンバーのプレーを観ようと、多くの人で埋まった。

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 13時、キックオフの笛が鳴る。まず攻め込んだのはリコー。敵陣右サイドゴール前のラインアウトから突進、ラックから持ち出してモールをつくって押すが、ボールを奪われる。しかし、インゴールエリアからの東芝のタッチキックが短くリコーのチャンスは続く。

今度のラインアウトでは展開。SH湯淺直孝からSO徳永亮へ。ゴール正面のギャップを自ら突きディフェンスを引きつけると、走り込んできたCTB小浜和己へパス。これが通り、小浜は中央に飛び込みトライ。開始から4分、鋭い攻撃でリコーがファーストトライを奪う。コンバージョンもSO徳永が決め7対0とした。

ここから試合は一進一退。ボールはハーフウェイラインを行き来した。リコーはトップリーグでも見せてきた集中力のあるディフェンスを見せる。FLハレ・ティーポレ、NO.8ロッキー・ハビリらは激しく相手に絡んでいき、チームの士気を高めていく。チームがフォワードにまず求めているという「試合の入りから激しさで相手を圧倒する」という仕事をしっかりやってのけた。

しかし、スクラムなどのセットプレーで安定度を欠き、攻めきれない。18分には自陣左サイド22mライン付近のラインアウトで反則。タッチキックを蹴られ、ゴール前に迫られた。東芝がラインアウトから展開。逆サイドにアタックを仕掛ける。

このアタックを、リコーは的確に止めていく。ゴール前でも焦ることなく全員が役割に集中した。密集からボールが出ず、左中間の5mスクラムで再開。ここで東芝が反則。根気比べに勝ったリコーは、タッチキックを蹴り22mライン付近まで押し返すと、右サイドのラインアウトからSH湯淺がハイパント。ハーフウェイライン付近に落ちたボールをリコーが奪い去ってアタックへつなげる。24分、攻め上がったバックスに回し左サイドをFB横山伸一が突き、WTB池上真介がボールをつなぎ、最後はCTB塩山瑛大が左隅にトライ。守り切り、一気に攻め込んで獲ったトライに歓声があがる。コンバージョンは外れたが12対0。

順調に加点、前半で3トライ

 2つのトライでリコーがペースをつかむ。敵陣22mライン手前の東芝ボールのスクラムでボールを奪うと、ディフェンスに回った東芝がオフサイド。タッチキックで右サイドゴール前ラインアウトのチャンスをつくる。
リコーはオープンサイドへ展開し、左サイドで勝負。最初のアタックは東芝の必死のディフェンスに阻まれたが、左隅にポイントをつくり激しくファイト。確実にボールを出すとSO徳永からのパスを、CTB塩山、FB横山伸と小気味良くつなぎ、WTBマーク・リーへ。右サイドのギャップを抜けると、リーは一気にインゴールエリアに到達し、32分右中間にトライ。コンバージョンも決まり19対0とした。

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 完全に勢いに乗ったリコーは前半終了までアタックを繰り返す。33分、自陣右サイドから蹴ったSH湯淺のキックをWTBリーがチェイス。プレッシャーをかけると、バウンドしたボールを相手が弾き、右サイド22mライン手前のラインアウトのチャンスを迎える。  徳永はまたもボールを回し、左サイドでアタック。タイミングを計りアタックラインを押し上げたCTB小浜、塩山、FB横山伸、WTB池上がラインブレイクを狙うが、ここは阻まれ密集でリコーに反則。東芝ボールのスクラムに。

だが、スクラムからボールを出したところにリコーが強いプレッシャー。こぼれたボールをSH湯淺がキャッチしターンオーバー。パスを受けたWTBリーがライン裏へグラバーキックを蹴り、ボールは右中間のインゴールエリアへ転がる。反応したFB横山伸が追うが、惜しくもデッドボールラインを越えた。

リコーはドロップアウトのボールをキャッチすると、攻撃を仕掛ける。ラインの整った東芝ディフェンスラインは破れなかったが、激しいアタックで反則を誘い、40分、正面やや右の位置からSO徳永がペナルティゴールに成功。22対0として前半を終えた。

ディシプリンに乱れも、全力で守って攻めた後半

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 後半が開始してすぐ、リコー陣内深くに蹴り込まれたボールを最終ラインまで下がっていたNO.8ハビリが受け、一直線に走って相手ディフェンスラインに突っ込むカウンターアタック。後半もリコーが激しさを維持して始まる。

5分、自陣左サイド10mライン付近の東芝のラインアウトから展開されたボールがこぼれると、CTB小浜が反応しセービング。パスを受けたSO徳永がキックを蹴るとこれが伸び、バウンドしてタッチラインを割るナイスキック。一気にエリアを挽回した。ここでHO野口真寛に替わり川口顕義が入る。

東芝はラインアウトからモールをつくり自陣から押す。リコーが押し返すとボールを回し前進を狙う。リコーは出足鋭く前に出るディフェンスで阻むが、この局面でNO.8ハビリにハイタックルの判定が下されターンオーバーできない。

ここからリコーのディシプリン(規律)に乱れが出る。ペナルティキックで自陣侵入を許すと、ラインアウトから東芝が仕掛けたアタックに対し、オフサイドなどペナルティを繰り返す。東芝はタッチに蹴り出しラインアウトからトライを狙い続ける。

14分、ゴール前でペナルティが3つ続いたところで、レフリーが認定トライを宣言する。コンバージョンも決まって22対7。LO生沼知裕にシンビンで10分間の一時退場処分が下された。ただし、この日は取り決めにより代替選手が入り15人の状態が保たれた。FLに相紘二、ティーポレがLOへ。この直後、CTB小浜に替わりダニエル・ピータース、塩山に替わり岩田光、NO.8ハビリに替わり森山展行が入る。

20分、またもスクラムでペナルティを犯しキックで自陣侵入を許すが、右サイド22mラインの内側で、東芝のラインアウトをスチール。

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 ブラインドサイドを抜けたWTBリーが東芝陣内22mライン手前まで50m近く走る。つかまったがリコーはしっかりサポートが走りボールをキープ。すぐさま展開し逆サイドを突く。しかし、タックルを浴びダウンボールが遅れペナルティ。東芝ボールとなったが、タッチを狙ったキックの距離が出ず、リコーのチャンスは続く。

東芝陣内左サイドのラインアウトで、リコーがボールを奪ってみせると、右サイドのWTBリーまで回しラインブレイク。24分、右隅にトライを決めた。コンバージョンはCTB岩田が蹴ったが、バーに当たり惜しくも外れた。しかし5点を追加し27対7。ここでSO徳永が津田翔太、WTB池上が横山健一に交代。その後PR桑原大祐に替わり松本友介、SH湯淺に替わり後藤悠太が出場。

28分、東芝も連続攻撃からギャップを見出し、バックスがトライを決め(コンバージョン成功)27対14とする。また終了間際、敵陣に攻め込みながら東芝にラインアウトをスチールされビッグゲインを許したが、守り切ってリコーは東芝に勝利した。

「レギュラーに強い刺激を与えたい」(SO徳永亮)

 試合後、前日のNEC戦でもメンバー入りしていたSH湯淺直孝は言う。
「勝敗にこだわって、皆がやるべきことをやろうと。自分がやるべきことはテンポを上げることでしたが、それぞれがテーマを意識してプレーできていたと思います。試合前に話していたのは、トップリーグの試合に出たいのなら、その気持ちを前面に出して闘おうということ。それは十分に出ていたと思います」

最初のトライを決めたほかにも、攻守で鋭い動きを見せたCTB小浜和己は、"すべきこと"を明確に意識してプレーしていた1人だろう。
「トップリーグに出場している先輩を意識して、どうやったら追いつけるかはずっと考えています。
(自分たちのアタックができていたのでは?)思ったよりも、東芝が圧力をかけてこなかったので、自分たちのプレーができていたというのはあるかもしれません。それでも、昨日のトップリーグでできなかったことをやろう、というこの試合の目標は達せた部分もあったと思います。いつ出番が来るかわからないので、気持ちを切らないように。今シーズンのトップリーグは15週で13試合。普通に考えれば、ずっと同じメンバーというのは難しい。いつでもいけるように準備はしています」

自信をつけ、司令塔としての風格を漂わせつつあるSO徳永亮も、淡々と手応えを話してくれた。
「先週末のサテライト(サントリーサンゴリアス戦 )では、攻めすぎてフォワードにきつい思いをさせてしまったので、エリアをしっかりとっていこうと思いました。前の試合で自分から仕掛けられていなかったので、今日は仕掛けていこうと。最初のトライはそれがうまく決まりました。
チームとしては、先週負けて悔しい思いをしていました。その気持ちをもち1週間いい雰囲気で練習してきて、その流れで試合に入れました。ロッキー(・ハビリ)なんかはこれまでずっと気持ちを出してくれていたけど、ついていくだけではなく、みんなが率先して盛り上げるようになってきている。それが結果にもつながっていると思う。
(同年代の多いバックスのパス回しなどでは、息が合って見えたが?)13番に入った新人の塩山(瑛大)をみんなで助けてやろうとしていて、そういう雰囲気もよかった。今日までの1週間みんなでいろいろ話す機会は多かったですよね。しゃべることでお互い足りない部分を指摘し合えているのはあります。
サテライトのメンバーの負けたくないという思いは強くなっています。いつもの練習で体験できているトップリーグレベルのプレーの威圧感に慣れていれば、今日のようにプレッシャーを感じずに闘える。もっと成長して、レギュラーに強い刺激を与えられる存在になれば、リコーはもっと強くなれると思います」

前日とは対照的な天候の中での、鬱憤をはらす快勝にチームのムードは明らかに変わったように見えた。自らを磨き来るべき時に備える多くのメンバーの存在は、リコーブラックラムズの総合力を高める貴重な財産だ。近々訪れるだろうチャンスを、彼らはどう生かすのか。そちらにも注目していただきたい。

(文 ・ HP運営担当)

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