2011-2012 トップリーグ 第3節 対 ホンダヒート

2011.11.16

指揮官が、過ごした初の経験とホンダ戦の入り

 敗れた試合後の1週間をいかに過ごすか。トップリーグ最終成績をよりよいものにする上で重要な課題。山品博嗣監督は指揮官として、初めての経験となる一週間を過ごし、次のように語った。

「前節はブレイクダウン、ボールを奪い合う局面でディフェンスが出られなかった。大きなところはそこですね。アタックの部分でも、自分たちの組み立てができなかった。
前半は向こう(ヤマハ)はアタックを繰り返しながら、人数がどんどん減っていきましたよね。ただ、うまくターンオーバーできていなかったので、ブレイクダウンでのプレーの指示を変えたのですが、アタックを仕掛け続けられた結果、ストレスがかかり簡単なミス、特にタックルでのミスが増え、ああいう形になった。
それでも、後半23分にトライして6点差になったあとのキックオフ、蹴り返したところをチャージされ、結果、自陣深く相手ボールのスクラムになりました(そこからアタックを浴び、後半25分にトライ)。あそこが勝負の分かれ目。ああいうプレーをさせなければ違った展開になったはず」

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 リコーブラックラムズ(リコーラグビー部/リコー)の秩父宮ラグビー場での開幕3連戦、最終戦となる第3節ホンダヒート(ホンダ)戦は、快晴、微風の好コンディションの中、ホンダのキックオフで始まった。

最初のチャンスはホンダに。リコー陣内右サイド深くに蹴り込んだキックを、SO河野好光が足に当てて処理したが、跳ねたボールが手にあたりノックオン。22mラインの内側でホンダボールのスクラムとなったが、3度の組み直しの後、リコーにスクラムを落とすコラプシングの判定。ペナルティキックがホンダに与えられた。3分、ホンダはゴールを狙うが、ポストにあたり失敗。跳ね返りに備えていたリコーは、これを確実に拾いタッチに蹴り出しピンチを逃れる。

ホンダボールのラインアウトでリコーはボールを奪うと、キックを使い陣地を稼いでいく。22mライン付近からボールを回しアタック。昨シーズン開幕戦以来の先発出場となったSH神尾卓志がグラウンドを駆け巡りボールを出していく。ディフェンスが薄くなったと見るや、LOカウヘンガ桜エモシ、山本健太が強烈な縦の突進。さらにはCTBノヌーからのFB横山伸一、NO.8ジェームス・ハスケルへの鋭いパスが通り、切れ味ある攻撃を繰り返した。フォワード、バックスが一体となったアタックで、22mラインを越えたあたりのラックで反則が出てトライは奪えない。序盤、リコーは我慢の時間が続いた。

相手のミスを突き、FB横山伸一がカウンターを決める

 ゲームが動いたのは18分。FL川上力也がディフェンスで激しくボールに絡み、相手の反則を誘うと、リコーはタッチキックを蹴り、ホンダ陣内22mライン付近でマイボールラインアウトを得る。これをキープし、モールをつくり右サイドを前進。ゴールに迫るとLOカウヘンガが縦に突っ込む。ポイントをつくり展開、CTBノヌーが突破を図ると、ホンダの選手が数人がかりでディフェンス。密集に駆けつけたSH神尾が球出ししようとしたところで、それを妨げたとしてホンダ13番がイエローカード。リコーは左中間からペナルティゴールを狙いSO河野が成功。19分、3対0と先制した。

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 ホンダにシンビンによる一時的退出者が出て数的優位に立ったリコーは、好機を逃さず攻める。22分、CTBノヌーが蹴り込んだボールを、ホンダ15番が蹴り返すがこれがヒットせず、力なくハーフウェイラインを越えた辺りに落ちる。これをプレッシャーのかからない状態で拾ったFB横山伸がカウンターアタック。右中間を縦に、1人、2人、3人と抜き去りラインブレイクする。22mライン手前で内側をフォローしていたWTB小吹祐介にパスし、そのまま中央にトライ。コンバージョンも決まり、リコーは10対0とした。

さらに25分、自陣でパントキックをキャッチしたFB横山伸がダウンボール。CTBノヌーから左を走ったCTBタマティ・エリソンへ。左サイドを鋭く抜け、相手を引きつけて内を走るWTB小松大祐にパス。これが通り小松は縦に走る、ステップで相手をかわしホンダ22mラインを越える。さらにサポートがそろいラインができあがると、左中間から右サイドに向かい展開。大外を走ったWTB小吹祐介がゴールラインを越え、回り込んで右中間にトライ。コンバージョンも決まって17対0とリードを広げた。

その後は一進一退が続いたが、ペースはリコーが握ったまま時間は過ぎていく。35分、右中間22mラインの手前でFL覺來弦の低いタックルが決まり、倒れた選手はダウンボールできずノットリリースザボール。36分、リコーはペナルティゴールを狙い、SO河野が成功。20対0とする。

39分、自陣左サイド10mラインを越えたあたりのスクラムで反則を犯したリコーは、ペナルティゴールを狙われたが、ポストの手前に落ちて外れ、そのままのスコアで前半は終わった。

集中力切らさず、試合をコントロール

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 後半はSO河野のキックで始まる。ホンダの後半のファーストアタックをCTBエリソンのジャッカルでターンオーバーすると、ホンダ陣内に攻め込み、リコーがペースをつかむ。3分、ホンダが自陣のラインアウトからボールを回すとファンブル、HO森雄基がこれを奪い去り中央を縦に抜ける。ゴール間際のラックからSH神尾が右のLOカウヘンガに出し、グラウンディングしたかに見えたが惜しくもノックオン。だが、その前のプレーでホンダにオフサイドがあり、アドバンテージを得ていたリコーはタッチに蹴り出しラインアウトモールから再びトライを狙う。

モールが崩れると、フォワードが突進を繰り返す。だがホンダは必死のディフェンスのため、ゴールラインを割れない。ホンダにオフサイドが出るとリコーはタッチに蹴り、ラインアウトを列最後方のNO.8ハスケルに合わせ、バックスに展開。CTBノヌーが身体をつかまれながらもCTBエリソンにパスを通すと、左中間を縦に抜けゴールまであとわずかまで迫る。リコーはラックのオープンサイドをFL川上に突かせるが、激しいタックルを浴びせたホンダがターンオーバー。

そのホンダ5番にCTBノヌーがタックル。パスが乱れこぼるとFL川上が拾ってゲインし再びアタック。サポートしたSO河野もゲインし、左中間22mライン付近にポイントをつくるとSH神尾、CTBノヌー、NO.8ハスケルが前に出て、その裏を通しCTBエリソン、FB横山伸、そして大外から内に切れ込んだWTB小吹へと鮮やかにパスをつなぎ右中間にトライ。コンバージョンも決め、27対0。

ペースを握り続けるリコーは13分にLOカウヘンガに替えて馬渕武史をグラウンドに送る。16分には、ホンダはラックでターンオーバーすると9番がブラインドサイドを突き、右サイドのタッチライン際を走って一気にリコー22mライン付近までゲインする。久々のピンチとなったが、NO.8ハスケル、SO河野、CTBノヌー、エリソンが全速力で自陣に戻りこれを止めた。点差が開きつつある展開でも、高い集中力と守備意識を維持していることが伝わってくるプレーを見せた。ホンダはこのプレーでトライは奪えなかったが、ボールはキープしリコー陣内でアタックを続けた。しかし粘り強く守ったリコーは、ペナルティを誘い再び攻めに。21分には、NO.8ハスケルに替えて金栄釱(川上がNO.8に入り、金はFLに)、WTB小吹に替えてロイ・キニキニラウを投入。さらに23分にはPR高橋英明を伊藤雄大に替え試合は終盤を迎える。

27分、リコーは左中間で相手のミスパスを奪うと、CTBエリソンが左サイドを縦に抜ける。ラックになるが、出たボールをもらったFL川上が左中間を低く当たっていく。しっかりキープして展開。右サイドまで回しWTBキニキニラウへ。つかまってできたラックから出したボールをHO森、SO河野とつなぐと、河野は前方にギャップを見つけステップを刻み突破、インゴールに飛び込む。ボーナスポイントの得られる4つめのトライとコンバージョンを併せて決めて34対0とした。29分、リコーはHO森に替えて野口真寛、SH神尾に替えて池田渉。

終盤に猛攻、計7トライ。最後まで集中を切らさず

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 ラスト10分を切り、リコーはさらに勢いに乗った。30分、FL金が敵陣10mライン付近でのインターセプトからCTBノヌーへ。左中間からグラバーキックをやや外に向けて蹴ると外側を走るFB横山伸が反応。鋭く加速し転がるボールに迫ると、自らもう一度キックしてコントロール。ディフェンダーからボールを離してから拾って右中間インゴールに接地。冷静な判断でトライを決めた。ノヌーも両手を挙げて称える。コンバージョンも決まり41対0。32分にCTBノヌーに替えて金澤良。

34分、CTB金澤のキックでホンダ陣内22mライン内に進むと、ラインアウトを奪取。HO野口の縦の突破でゴール間際まで迫ると展開。スピーディに回すと大外をWTBキニキニラウが抜け右隅にトライ(コンバージョン失敗)。39分には、ゴール前右中間のスクラムからSH池田がショートサイドへ出し、WTBキニキニラウが再びトライ(コンバージョン成功)。53対0としたところでホイッスルが鳴りノーサイド。

リコーは全員が持ち味を出し切るラグビーで今シーズン2勝目。ボーナスポイント1を含む勝ち点5を得た。マンオブザマッチはSO河野好光が獲得した。

 先発出場を果たしたSH神尾卓志は言う。
「(久々の先発だったが?)今日は緊張より、やるぞ! という気持ちのほうが強かったです。長い時間プレーできて、楽しかったです。
テンポのよさを常に頭に置いてプレーしたのですが、序盤はホンダのプレッシャーもきつく、クイックにボールが出しにくかった。もっと早めから(ラックなどで)フォワードにボールの上を守るように指示が出せれば、素早くボールが出せて、いいアタックができたと思います。今日の課題はフォワードとのコミュニケーションでしたね。ハーフタイムである程度修正できましたが、もう少しはやい段階からできないといけない。
ディフェンスは、ここ! っていう大事なところでしっかり前に出られたのが大きかった」

WTB小松大祐は
「ここまで、チームとしては70%くらい。自分としては30%ぐらいですかね。まだまだ絡めていないので。もう少しボールをもらえるところに行かないとな、と思ってやっています。逆サイドまでいくような動きよりは、WTBとして(正位置に)残っておくべきだろうなという気持ちも働いています。
(今日は25分のCTBエリソンからパスを受け、トライにつながるビッグゲインをしたが?)もっと、ああいうところでボールを触りたい。エリソンやノヌーからパスもらえるように動ければね。でも、そういうことを考えるの、むちゃくちゃ楽しいですよ(笑)。練習も本当に楽しいよ。ノヌーも、細かくいろいろなことを教えてくれますし」

開幕3試合を2勝1敗。2勝はともにフルポイントとなる勝点5が獲れているのは、今シーズンの成長の証。次節は11月20日(日)12時から、福岡・レベルファイブスタジアムで今シーズン初のアウェー戦。コカコーラ・ウエストレッドスパークスと闘う。

開幕戦で負傷したキャプテン・滝澤佳之は、チームの一体感について、ことあるごとに「まだ足りない」と。結果は出はじめたが、最終目標達成のために、チーム自らで越えなければならないものはまだたくさんある。

(文 ・ HP運営担当)

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