2009-2010 トップリーグ 対 福岡サニックスブルース

2009.12.31

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地元福岡市の子供達と一緒に入場

「僕たちはあきらめない姿勢で闘うしかない。それを見てほしい」
福岡サニックスブルース(サニックス)戦の前々日、チームバイスキャプテンのSO河野好光は、全体練習終了後のプレースキックの練習を終えると、トップリーグ(TL)第12節への思いを語った。

「プレッシャーがかかっているのはサニックスも同じだと思います。プレッシャーを楽しんで、相手にプレッシャーをかけるくらいの気持ちでいかないと。ここ数試合は内容にともなう結果とは言えなくて、モチベーションを保つのが難しいのは事実。でも、みんな自分たちがここまでやってきたことには自信を持っている。あと2試合自分を信じて闘うだけです」

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 12:00、サニックスのキックで試合が始まった。サニックスは左サイドに攻め込むと、キックパスなどでボールをワイドに動かしリコーラグビー部ゴール前へ。リコーラグビー部は、落ち着いたディフェンス、キックを見せていく。両チームのこの試合への"準備"が垣間見える立ち上がりとなった。

最初の得点のチャンスはリコーラグビー部。6分、CTBジョエル・ウィルソンの突破からの攻撃でサニックス陣内に攻め込むと、左サイド30m付近でペナルティを得る。ここでゴールを狙っていったがこれは右へ外れた。

その後はサニックスの走って回すラグビーに対し受けに回る局面が続く。ゴール前での相手ノックオンなどに助けられ得点は許さなかったが、試合の流れはサニックスに傾く気配だ。ボールを回してくる相手に対し、リコーラグビー部はキックなどでペースを鈍らせようとするが、タッチを狙ったキックがノータッチとなって相手に渡るなど、効果的なキック攻撃を見せることができない。そんな中でも、WTB横山健一の快足を生かした突破などで状況の打開を図っていった。

しばらく守備が続いたリコーラグビー部だったが、21分に決定機を迎える。自陣22m付近から再びWTB横山健が左サイドをランで一気にゲイン。相手ゴールに迫るとゴロキックを蹴りインゴールエリアにボールを転がす。しかし押さえることができずトライにならず。

23分にはサニックスが約40mの距離のペナルティゴールを狙うが外す。27分にはSO河野好光が30m付近正面やや右からドロップゴールを狙ったがこれも外れた。流れを断ち切り、相手ペースに歯止めをかけたいリコーラグビー部。流れを完全に自分たちのものにしたいサニックス。そのために重要な先制点を両チームが渇望していた。

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 前半29分、試合が動いた。右サイド10mライン付近のラインアウトから右中間にラックをつくったサニックスは、素早くボールを出し左に展開。ディフェンスラインのギャップを突いて持ち込んだ8番がゴールほぼ正面にトライを決めた。コンバージョンも決まり0対7とする。

ここでリコーラグビー部は選手交代。CTBジョエル・ウィルソンに替えて重見彰洋、FB津田翔太に替えてスティーブン・ラーカムがピッチに入った。FBラーカムは登場早々正面ハーフウエイライン付近からドロップゴールを狙うなど、流れを取り戻すべく、果敢なプレーを見せていく。

痛かったのが33分、SH湯淺直孝が不行跡から一時的退出を課されるアクシデント。14人となったリコーラグビー部は横山健一がSHを務め対応を図る。だが36分、サニックスはリコーラグビー部陣内22m付近右中間のラックから展開すると左サイドでラインブレイク。そこから再度右へとつなぎ最後は2番が右中間にトライ。コンバージョンは外れたが点差が12と広がった。

リコーラグビー部にアクシデントが続く。前半終了間際、自陣での接触プレーでFBラーカムが負傷。一度ピッチ外に運び出されたが、復帰しないまま前半は終了。後半が始まるとFBラーカムに替わりピーティー・フェレラが入るアナウンスが流れた。

12点を追って後半が始まった。リコーラグビー部はなんとしても欲しかった後半早い時間での得点を理想的な形で奪う。3分、こぼれ球を拾ったSH横山健一がサニックス陣内10mライン付近で抜け出すと、俊足を生かして相手ディフェンダーを抜き去り40mを独走、左中間にトライを決める。コンバージョンも決まり7対12。ほぼ同時にSH湯淺直孝が復帰。15人となったリコーラグビー部の反撃ムードが高まった。

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 ところが、試合の流れはサニックスへ。7分にカウンターアタックから、14分にモールからサニックスが2つのトライ(2ゴール)を決め、7対26と一気に点差が開く。

リコーラグビー部はあきらめない。サニックス陣内に攻め込むと右中間のスクラムを押し続け、連続で相手反則を誘い認定トライを奪う。コンバージョンも決めて14対26。さらにベンチも動き、CTB金澤 良に替えて横山伸一、LOホッティ・ロウに替えて田沼広之。再度攻勢をかけて23分、相手ゴール前で得たペナルティからSH湯淺が得意の速攻を見せ、ボールを得たFL相 亮太が正面に飛び込んでトライ。コンバージョンも決まり21対26。約9分間で5点差にまで詰め寄ったリコーラグビー部のあきらめない姿勢に、スタンドのファンの歓声は一段と増しスタジアムは熱を帯びる。

しかし、28分、リコーラグビー部陣内中央22mライン付近のラックからの攻撃から抜け出したサニックス1番が中央にトライ。最後まで追いすがったLO馬渕武史が地面を叩き悔しがる――。コンバージョンも決まり21対33と再度点差が広がった。

リコーラグビー部は誰一人として下を向くことなく、無心に攻め続ける。しかし、相手に傾いた流れを変えることは容易ではなかった。31分にペナルティゴール、38分には1トライ1ゴールを許しさらに失点。21対43。リコーラグビー部は4トライで得られるボーナスポイントを目指し最後までアタックを繰り返したが、安定感を維持したサニックスのディフェンスに阻まれた。

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 試合後の記者会見に出席したSO河野好光は話した。
「前半は立ち上がりから自分たちのペースにできなくて、相手のペースで終わってしまった。でも、後半は気持ちも入ったリコーラグビー部らしいアタックができたと思っています。課題はディフェンス。タックルはかなりいったと思うんですが、一発で倒せないケースも多かった」

6トライを喫したディフェンスについては多くの選手が課題に挙げていた。
「ファーストタックルがうまくできず、流れがつくれなかった」(FL後藤慶悟)
「(タックルには)いっていたとは思う。でも正確性の部分で問題があった」(CTB重見彰洋)
「オーバートラッキング(相手選手を追いかけ過ぎること)気味になってしまい反省している」(PR長江有祐)

もう一つ、前半、ラーカムの退場にともなう選手の入替で、あまりマッチングを試していない形が生じたことの影響はあったのだろうか。トッド・ローデンヘッドコーチ(HC)も記者会見でその点を挙げ、「その中でもあきらめずによく闘った選手を誇りに思う」と評価していた。

「その点については、あまり動揺はなかったです。サニックスの攻撃は事前に想定していた通りの部分も多かった。それに対して、自分たちがすべきプレーができなかったのが今日の問題だったと思います」
そう話したFL後藤慶悟は今のチームについてこう続けた。
「試合前とかのチームの雰囲気、すごくいいんですよ。ここ数試合ゲームキャプテンを務めるタッキー(HO滝澤佳之)はよくまとめている。惜しい試合が続いたりアクシデントが起きたりしても、揺らぐ状態ではない。本当に結果だけ」

後藤は明るく前を向いて話す。しかし、4試合にわたる内容と結果がそぐわない状況で強い気持ちを持ち続けることは簡単ではないはずだ。そんなとき持つべきメンタルについて、ベテラン・LO田沼広之は言う。
「思いっきりやることでしょう。長い期間やっていれば、練習でうまくいっていたことが、うまくいかないってことが出てくるのは当たり前。考え過ぎず、迷いを捨てて」

次戦は2010年1月9日(土曜日)、近鉄花園ラグビー場で12:00から行われるトヨタ自動車ヴェルブリッツ(トヨタ)戦だ。今季、あきらめず挑戦する姿勢を貫いたリコーラグビー部の集大成となるゲームでTL最終節を締め括りたい。

(文 ・ HP運営担当)

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