2009-2010 トップリーグ 対 コカ・コーラウエストレッドスパークス
2009.12.09
8試合を終え4勝4敗、勝ち点17。勝ち数と勝ち点で並ぶリコーブラックラムズ(リコーラグビー部)とコカ・コーラウエストレッドスパークスは、互いにトップリーグ(TL)終盤戦を勝ち抜き、上位食い込みを狙うもの同士。今回が初のTL開催となる北九州市・本城陸上競技場は、地元ラグビーファンの歓迎ムードに加え両チームのこの試合に賭ける想いや気迫が漂い、寒空と小雨、強風というあいにくのコンディションを吹き飛ばす高揚感に包まれた。
リコーラグビー部としては、九州電力、近鉄を連破した勢いに乗り、夏以降のトレーニングとTLでの奮戦により高めたチーム力を見せる――。九州に乗り込むメンバーのモチベーションは非常に高い。
*
13:00、コカ・コーラウエストレッドスパークス(コカ・コーラ)のキックで試合が始まる。最初の見せ場はリコーラグビー部がつくる。CTB金澤良のキックから敵陣右サイドになだれ込み、SO河野好光、金澤良とつないでゲインするとボールはLO相亮太へ。相は相手に捕まりながらもインゴールエリア右隅へ飛び込み、トライを決めたかに見えたが、グラウンディングならずとの判定。先制のチャンスを惜しくも逃す。
リコーラグビー部のペースは続く。5分、ゴール前のスクラムでコカ・コーラがアーリーエンゲージ(スクラムを突っかける)の反則。リコーラグビー部はスクラムを選択し押していく。再び河野、金澤、相とつなぐ攻撃を見せるが、ディフェンスに阻まれてゴール前で反則を犯し、コカ・コーラはタッチに逃れた。
コカ・コーラはキックを多用した攻撃でチャンスをうかがう。リコーラグビー部はFBスティーブン・ラーカムらの的確な処理でゲインを阻み、タイミングを計ってラーカム、FLピーティー・フェレラらがランで攻め上がっていく。9分、果敢な攻撃に焦ったコカ・コーラがオフサイドの反則。リコーラグビー部は、左中間22m付近からのペナルティゴールに成功。3対0と先制する。
11分、今度はリコーラグビー部が自陣中央10m付近のラックで倒れ込みの反則。コカ・コーラがペナルティゴールを決め3対3の同点とした。
14分には、ハーフウエイライン付近のラインアウトからの攻撃で、リコーラグビー部が反則。ほぼ正面とはいえ、わずかにコカ・コーラ陣内に入った位置だったが、コカ・コーラの選手がゴールを指差す。どよめくスタンドをよそに、コカ・コーラFBが50m超のペナルティゴールに成功。3対6とコカ・コーラが逆転する。
リコーラグビー部は自分たちのラグビーを貫く。19分、FLフェレラの突破などでゲインしてコカ・コーラ陣内へ侵入。ラックを連取してさらに前進すると、ゴールほぼ正面の密集のサイドをLO相が突きトライ。コンバージョンも決まり10対6と逆転した。
21分コカ・コーラは右サイドをランで破りゲイン。リコーラグビー部陣内22mエリアに攻め込むが、SO河野のキックで押し戻した。しかし、ハーフウエイライン付近のラインアウトからの守備でペナルティを与えると、コカ・コーラは再びゴールを狙い成功。10対9に。28分には、コカ・コーラはラインアウトから粘り強くボールを回し、最後は切り込んだ14番をフォローした4番が右隅にトライ。コンバージョンも決まり、10対16とリコーラグビー部は逆転を許した。
前半ラスト10分は、リコーラグビー部が攻勢を見せる。32分、右中間22m付近でスクラムを得ると、円陣を組み気合いを入れたFW陣が一気に押す。ブラインドサイドをSH池田渉が突き、WTB小吹祐介にパス。通ればトライ確実に見えた絶妙のパスだったが、惜しくもつながらず。
37分にはFLジョエル・ウィルソン、SO河野の縦への突破でゲインするが、ノットロールアウェイの反則を取られ、22mライン付近でコカ・コーラボールのスクラムに。しかし、相手スクラムから出したボールにFLフェレラらが飛び込みこれを奪う。ラックからSH池田が素早くボールを取り出すと、SO河野を経て駆け込んできていたCTB金澤にリズム良くつながり、そのままインゴールへ飛び込んでトライ。コンバージョンも成功し、17対16と前半終了間際で再逆転しハーフタイムに。
後半が始まると2分、ハーフウエイライン付近でリコーラグビー部がオブストラクションの反則。コカ・コーラは、正面やや左の位置からペナルティゴールを狙い、再度成功。17対19に。気を取り直し攻めるリコーラグビー部は、HO滝沢佳之らの突破などで相手陣内深くへと攻め込んだが、反則でトライには至らない。
逆に6分、コカ・コーラは、自陣内でのマイボールラインアウトから攻撃。蹴り込んだボールをチェイスしていくと、キャッチしてボールを回すリコーラグビー部BK陣からボールを奪取。中央22mライン付近から右に展開すると15番が右隅にトライ。コンバージョンも決まり、17対26と点差が開いた。
リコーラグビー部は、前半同様アグレッシブな攻撃を見せた。自分たちのラグビーに徹して状況の打開を図っていく。しかし、ここぞという場面で反則やアンラッキーなバウンドによって、歯車が噛み合わないもどかしい時間帯が続いた。
そうした中で18分、ハーフウエイライン付近でのノットリリースザボールの判定への発言がペナルティの対象となり、コカ・コーラは10m前進。そこからゴールを狙い成功。29対17となる。
じわじわと広がる点差――。リコーラグビー部は苦しい状況下でも冷静さを保ち、攻撃をし続けた。相手陣内22mエリアに何度も攻め込むが、ポイントを突いたディフェンスでテンポのよい攻撃を封じられ、トライを奪う最後のアタックがどうしても決まらない。
35分、インゴールエリアからの相手のキックをFBラーカムがチャージ、こぼれ球に反応したSH池田渉がこれを押さえてトライ。負傷退場のSO河野に代わりCTB金澤が蹴ったコンバージョンは外れたが、22対29と詰め寄る。
ここからの5分も、途中出場のFLロッキー・ハビリらの突進など果敢な攻撃を繰り返したが、コカ・コーラの執拗なディフェンスは続きトライは奪えない。
40分経過のホーンが鳴ったあとのラストワンプレーで、左サイドを破ったFLロッキー・ハビリが左隅に飛び込みゴールラインに達したかに見えたが、吹かれたホイッスルは短く、判定はタッチ。トライには至らずリコーラグビー部は22対29でコカ・コーラに敗れた。
*
この日1トライを決め、攻守に渡り優れたパフォーマンスを見せたLO相亮太は話す。
「うちのペースで攻められている時間は長かったと思います。でも、ペナルティを繰り返してしまったのはまずかった。そこにパスのミスなどが重なったこともあり、相手のペースになってしまったと思います」
この日、リコーラグビー部の反則は18。対するコカ・コーラは9。CTB金澤良も相同様、反則の多さをこの試合の課題として挙げていた。
「規律を守ったディフェンスができなかった。近鉄相手にできていた、耐え抜くディフェンスを今日も見せたかったけれど、ペナルティを重ねて、相手にスローなテンポに持っていかれてしまった」
反則はプレーのテンポを狂わせるだけでなく、ペナルティゴールという形で直接的な失点に結びつき、試合の流れを変えていたように映った。
「今日は相手のキッカーが良くて、ハーフウエイからでも決めていました。そうなるとペナルティ=3点というのが頭をよぎりだす。それで『相手陣地にいないと』というプレッシャーがかかってしまっていたので、多少リズムが乱れたかもしれない」
相は続けて話した。
「でも、相手にうまくやられた、という気持ちは無いです。今日の敗因はどう考えても自分たち自身。
相手陣地に入っている時間も、攻めている時間も長かった。そこには自信を持ちたいと思います。
次のサントリーは強い相手。それだけに、自分たちの力を出し切ることにフォーカスしやすいと思います。思い切ってやります」
金澤もサントリーサンゴリアス(サントリー)戦には闘志を見せる。
「僕らは追い込まれた状態を耐え抜くための練習はしてきていますから。切り替えて、しっかり準備して、その後につながる試合をしたいですね」
リコーラグビー部が下を向く様子はない。次戦は12月12日(土曜日)14時からのサントリー戦。山梨県・小瀬スポーツ公園陸上競技場での強豪との一戦。今季磨き上げてきた"リコーラグビー"の真骨頂を見せて、山梨のラグビーファンに大きなインパクトを与えたい。
当日会場で行われたファンとの交流
(文 ・ HP運営担当)