2009-2010 トップリーグ 対 ヤマハ発動機ジュビロ

2009.10.21

 10月18日(日曜日)、正午。秋晴れの熊谷ラグビー場の中心より楕円球が大きく蹴り出される。トップリーグ(TL)第6節・リコーブラックラムズ(リコーラグビー部)対ヤマハ発動機ジュビロの試合が始まった。

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 開始直後からヤマハ発動機が攻勢をかけ、テンポの早い攻撃でリコー陣内に攻め込む。リコーラグビー部はSH池田渉、SO河野好光らのキックで対抗するが、ヤマハ発動機が主導権を握り試合は進んだ。

7分、ヤマハ発動機がリコー陣内右サイドゴールライン間際に蹴り込んだボールがタッチを割りそうな位置に飛ぶ。リコーラグビー部はプレーを切らず、ボールをつないでキック。これを駆け込んできたヤマハ発動機のFLにチャージされ、ボールは右中間インゴールエリアへと転がり、押さえられトライ。コンバージョンは外れたが0対5とヤマハ発動機に先制を許した。

11分、SH池田が蹴ったハイパントのこぼれ球を確保したヤマハ発動機が、自陣からカウンターアタック。ハーフウェイライン付近まで攻め上がる。リコーラグビー部は必死に止めにかかるがペナルティを取られ、ヤマハ発動機がタッチキックで再びリコー陣内に侵入する。

リコー陣内左サイド22m付近のラインアウトからラックができると、ヤマハ発動機はそのオープンサイドを縦に突進。リコーラグビー部はタックルを仕掛けるが、スピードに乗って内に切り込んできた相手12番にパスが渡ると突破を許し、ゴール中央にトライ。コンバージョンも決まり0対12となる。

リコーラグビー部も攻撃の形をつくろうと仕掛けていくが、焦りからかミスが生まれ、それを見逃さないヤマハ発動機が繰り返しターンオーバー。反撃の芽を摘まれた。
17分には再び右サイドのラインアウトから回したボールを外から走り込んできた相手11番が受けてゴール中央へトライ。コンバージョンも決まって0対19。

リコーラグビー部は21分、CTBロッキー・ハビリに代えて山藤史也を投入。局面の打開を図ろうとするが24分、ハーフウェイライン付近でSH池田からSO河野へのパスをターンオーバーされ、そのまま一気に攻め込まれる。ヤマハ発動機はリコー陣内になだれ込み、12番がゴール左隅にトライ。コンバージョンも決まり0対26。

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 前半ラスト10分に入ると、リコーラグビー部が反撃を見せる。

ハーフウェイライン付近のラインアウトからSH池田、SO河野、FL後藤とつないで突進。形成されたラックでヤマハ発動機が反則。河野がタッチキックを蹴ってヤマハ発動機陣内右サイドに攻め込む。ラインアウトからLO田沼広之、ホッティ・ロウらが突進を見せる。ボールはタッチを割り再度リコーラグビー部ボールのラインアウトとなる。31分、今度はSO河野がWTB小吹祐介にボールを出すと、ディフェンスラインのギャップを突いてゴール中央にトライを決めた。コンバージョンも成功させて7対26。

34分、敵陣22mエリア右サイドに攻め込んだリコーラグビー部はボールをつないで攻め上がり、ゴール正面付近で相手ペナルティをもらうと再び攻撃を仕掛ける。左サイドにボールを出すと、最後はWTB小松大祐が左隅にねじ込んでトライ。コンバージョンは惜しくも外れたが12対26と点差を縮めた。

連続トライにスタンドからの声援も一段と増す。リコーラグビー部はさらに攻めていくが38分、敵陣内でのラインアウトからの攻撃をターンオーバーされ、チャンスは一転ピンチと化す。

ボールを奪ったヤマハ発動機はリコー陣内にロングキック。WTB小松の前に落ちたボールはゴールとは逆方向、不運にもボールを追ってきていた相手11番に向かってバウンド。11番はボールをつかむと同時に小松をかわしてそのままトライ。コンバージョンも決まり、12対33として前半を折り返した。

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 後半が始まると、リコーラグビー部はWTB小松に代えて星野将利を、PR伊藤雄大に代えて高橋英明を投入。アップテンポを意識した早いパス回しで攻撃を開始する。

いい雰囲気の立ち上がりだったが暗転する。1分、ハーフウェイライン付近で距離のあるパスを通そうとしたところを鋭い出足で飛び出してきた相手12番にボールを奪われてしまう。そのまま独走を許し、ゴール中央にトライ。その後8分にもグラバーキックから左中間にトライを決められて、後半10分の時点で12対47となる。早い時間帯でトライを奪い、流れを変えようという意識は見られるが、前半からのヤマハ発動機のペースを覆すことがなかなかできない。

リコーラグビー部はLOロウに代えてサムエラ・マフィレオ、そしてSH池田に代えて湯淺直孝をピッチに送り、なんとか攻撃の糸口を見つけようと必死のプレーを続けた。

14分にはWTB星野が自陣からの果敢なアタックを見せ、19分にはSH湯淺が相手キックをチャージしてディフェンスラインを突破、チャンスをつくる。だが、サポートの遅れから攻撃は単発に終わる。粘り強く攻める形とならず、得点に結びつけることができなかった。20分にFL相亮太に代わり馬渕武志が入る。

ヤマハ発動機は勢いを保ち続け、24分にゴール前のスクラムのブラインドサイドを突いて、26分には左サイドをステップで抜いてさらに2トライ(2ゴール)を挙げて12対61とする。

4トライによるボーナスポイント1を目指し、リコーラグビー部は最終盤もあきらめずに闘ったが、ヤマハ発動機ディフェンスの壁は最後まで厚く、そのままノーサイドを迎えた。

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「集中力というところで、学ぶところが多かった。TLで闘っていくにはそれがとても重要なことだと感じました」。試合後の記者会見で、トッド・ローデンヘッドコーチ(HC)は、冷静な口調で話した。

高いレベルでのせめぎ合いとなるTLの闘いでは、わずかな集中力の低下が生むプレーにおける目に見えないレベルのひずみが、チームの良さを消し去り、大きな得点差となって表れてしまう。選手たちは今、そんなTLの厳しさに真正面からぶつかっていっている。

「どうしたって、下を向きがちになることはあります。神戸製鋼、東芝に負けた翌日なんかはやっぱりそうでした。でも、相手に打ち負かされて下を向いているんじゃありませんよ。みんな、自分たちに負けてしまったこと、リコーのラグビーができなかったことが悔しくてたまらないんですよ」
試合前日、FL相亮太はチームの状況についてこう話した。

自分たちとの闘いに勝つことはTLで勝負する上での前提条件だ。雌伏の1年を経てTLに挑むリコーラグビー部のメンバーにとって、それができずに終わる試合が続くことほど歯がゆいことはないだろう。

次戦は10月24日(土曜日)12時から、秩父宮ラグビー場での九州電力キューデンヴォルテクス戦だ。折り返しとなるこの第7戦を終えると日程は1ヵ月ほど空く。ローデンHCとメンバー、スタッフ、そしてサポーターが一体となってつくりあげてきた「新しいリコーのラグビー」を堂々と披露し、完全燃焼のゲームでインターバル期間に入りたい。リコーラグビー部の力は、こんなものじゃないはずだ。

(文 ・ HP運営担当)

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