春シーズン第五戦 東海大学戦

2007.06.25

リコー、東海大学にに22-3で勝利

学生相手に白星も…

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予定通り前半終了と同時に交代し、後半戦を見つめるブラックラムズ伊藤鐘史主将の表情からは、苛立ち、苦悩がにじんだ。不満足な自分のプレーをさておいて指示を出すなんて、納得できない、それでも主将の役割がある…試合後は、「今日はノーコメントでお願いします」と精一杯の笑顔を見せてグラウンドを後にした。これが答えだった。

少し湿った芝生と、うだるような炎天下。前日までの梅雨前線に代わり、高気圧に包まれた砧グラウンドでは、6月23日、ブラックラムズと東海大学の練習試合が行われていた。後半5分、16分にシュウペリ・ロツコイ、20分には後藤慶悟、31分には岩淵俊輔がそれぞれトライを奪い、結果的には22対3 でブラックラムズが勝利した。しかし伊藤が出場した前半は、スコアレス。守備では組織が整備され個人でも好タックルが見られたが、攻撃面では「ボールキープができなく、ミスが目立ったところがあった」(佐藤寿晃監督)

「気温は暑かったんだけどな」。チーム関係者はこう振り返った。

本来はNO8の伊藤はこの試合、不慣れなLOのポジションを務めていた。佐藤監督は「誰だってやったことないポジションは苦労するから」と静かに見つめた。今のブラックラムズにはLOの怪我人が多い。チーム状況を考えての措置だったのだ。伊藤のほかに、本来NO8の相亮太がLOを務める場面もあった。

「怪我人の復帰が遅れた場合、トップリーグでもこういうこと(LOが足りない状況)はありえる。そのとき、LOがいないんで試合ができません、じゃあ困るわけで。今後に備えて今のうちにやっておこうと」

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2週間前のワールドファイティングブル戦で黒星を喫して以来、チームには危機感が募ったという。選手間の話し合いも何度も持たれた。接点で負けないように、一対一の守備をもっと激しく。原点を探りなおす2週間となった。それを乗り越えてのこの試合、「守備はよかったんじゃないですか。(達成度は目標の) 70%くらい」と、佐藤監督は一応の及第点を与えた。

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しかし、選手からすれば不満足だった。なかでもフル出場のFL・川上力也は、「個人的には30点ですね」。苦笑していた。

「練習の結果が試合に現れるじゃないですか。それなのにこの一週間、ふわっとした気持ちで練習をしてしまっていた。反省ですね…(チームとしては)ワールド戦で負けて以来、1対1の守備で負けないようにしましょう、その前のセット(誰を見るのかを確認するなど)をキチンとしましょう、という風になった。でもこの試合、ブレイクダウンでもサポートが遅い、そのためしっかりとクリーンアウトができない、それで攻撃でも相手のミス待ちになってしまって…勝ったからと言って喜べる試合じゃないですね…」

川上は清宮克幸(現サントリー監督)が率いる早稲田大学でプレーしていた。大学日本一も経験している。80分間集中力が途切れずに、時折ビッグプレーが垣間見える、チームが強いときの雰囲気を皮膚で実感している。

「それで、上手くいかなくなったときは、シンプルなプレーを繰り返すんです。基本的なプレーを積み重ねてペースを掴んでいく。それに対してウチは今、その基本を作っている最中ですから。どうしてもあたふたしてしまうんです」

困ったときに立ち返る原点さえあれば、どの試合でも必ず訪れる"我慢の時間帯"も乗り越えることができ、自ずと勝利が見えてくる。ようやく春シーズンを終えた今のブラックラムズは、メンバー構成も含めてチームの原点を作っている最中なのだ。

栄冠に向け、これくらいの寄り道は、あってもいい。

最後に。この試合から、長きにわたる新入社員研修を終えたルーキーが本格参戦いたしました。彼らが開幕戦のピッチに立つか否かは、これからの練習に大きくかかっています。試合の無い夏にも部内競争という「試合」は続きます。引き続き、熱い視線をお送りください。そして、この日は暑い中での観戦、誠にありがとうございました。

(文・HP運用担当)

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