春シーズン第四戦 ワールド戦
2007.06.12
リコー、ワールドに21-49で敗れる
ブラックラムズ、ワールドに痛い敗戦
「トライをとられた後、どうしてジョグで帰る?それじゃ取られて当たり前だよ。人のせいじゃない、自分で行かないと!」
ハーフタイム、佐藤寿晃監督は珍しく語気を荒げた。
6月9日のリコーラグビー部砧グラウンドで行われていたワールドファイティングブル戦。前半、ブラックラムズは防戦一方だった。
前半14分にはBKラインを抜け出したWTB谷崎正祥、17分には波状攻撃からFB南繁治、22分にはスクラムサイドでの攻撃からNO8ジョージ・スタワーズ、30分にはラインアウトからのライン展開からFL舛尾敬一郎、35分にはグラバーキックに走りこんだFL真羽闘力…計5トライを奪われ、スコアは 0対35。
ブラックラムズが練習で繰り返していた激しいタックルは影を潜め、トップリーグ返り咲きを目論むファティングブルに気持ちよく攻められていた。
「もう点数なんか気にするな!気持ち入れて当たろう!」
伊藤鐘史主将不在のチームを引っ張る滝澤佳之副将が声を上げる。前半はスタンドから観戦していた佐藤監督は、後半からグラウンドに降りて試合を見つめた。
流れは少し、ブラックラムズに傾いた。後半7分にゴール前ラインアウトからFL日和佐豊にトライを奪われるも、19分にゴール前で得たペナルティー後半から出場のSH後藤崇志が相手守備網の意表を突いた突破でチャンスメイク。最後はNO8相亮太がトライを決める。守備面でも1対1で抜かれる場面が減り、粘りを感じさせた。
しかし、大勢は変わらなかった。後半22分には自陣でのターンオーバーからWTB内山将文の独走を許し、これがダメ押し点に。ブラックラムズは後半30、40分のWTB池上真介による2トライで意地を見せるも、49対21で黒星を喫す。
「(後半からは)相手のメンバーが変わったということもあるけれど、タックルで少しは倒せるようになったかな。あれを続けていれば負けることはないんですけど…」
試合後、グラウンドから寮に帰る道すがら佐藤監督は試合をこう振り返る。練習時は激しいタックルを繰り返すBK陣を知っているだけに、「あれをゲームでできないかな…」と歯がゆかった。選手個々の意識に対しても同様の思いを抱く。
「(自分たちが)何様なんだっていうことですね…先週の九電(九州電力キューデンヴォルテクス)もそうだけど…まずは気持ちの問題。本人に言わせれば『(気持ちは)入ってる』と言うんでしょうけど、(気合が入っているかどうかは)見てれば何となくわかるでしょ、そういうの…」
佐藤監督はあまり練習に口を挟まない。練習中は、裏方スタッフの用具の出し入れを終始手伝う。声をかけるのは最初と最後だけ。
勝ちたいと思う気持ち、普段の練習への取り組み。
選手自身が気づくのを待っているのかも知れない。
一方。選手の数名は試合後の夜、寮の食堂に集まった。手ごたえを掴みきれないスクラムについて、個々のブレイクダウンへの意識について、自分たちのこれからについて…あぁでもない、こうでもないと、語り合った。少しだけその輪にいた滝澤はこう考える。
「強くなる可能性はあると思うんです。選手個々の能力は高いし、メシのときなんかもいい話し合いをする。ただ、『このままじゃいけない、勝ちたい』って思いながらも、負けだすと変わってしまう…」
今年はどう転ぶか。言葉を結んだ。
「今年の結果がこのチームのすべてだと思います」
夜の砧グラウンドには鮮やかなアジサイが咲いています。季節は梅雨。ぱっとしない天気のもと来場してくださったファンの皆様、厚く御礼申し上げます。今後も「今年の結果」までの一つひとつを追いかけてください。応援よろしくお願いいたします!
(文・HP運用担当)