春シーズン第二戦 神戸製鋼戦
2007.05.30
リコー、神戸戦で42-19で勝利
練習どおりの激しさで監督の故郷に錦!
「ゴール前ではFWにこだわれ!」
グラウンドに向けて声が飛ぶ。メインスタンドからみて右側に張られたテントからだ。後半38分、ブラックラムズはゴール前右中間でスクラムを獲得。NO8伊藤鐘史主将はサインを出した。スクラムから出たボールをNO8がそのまま持ち込む、「エイタン」のサイン。
この試合で最前線の攻防を優位に進めていたブラックラムズのFW陣は、スクラムをごりごり押し込んだ。伊藤はゴールラインを超す手前でボールを持ち出し、右側に出来たスペースに飛び込む。ゴールも決まってスコアは33対19。ロスタイムにも追加トライを奪ったブラックラムズは、42対19で神戸製鋼コベルコスティーラーズを破った。2007年5月27日、青森県八戸市・東運動公園。ブラックラムズ佐藤寿晃監督のふるさとだった。
試合前の会場では無料で雨具が配られていた。東北全体を覆う低気圧の影響で、地元の住民でも寒いというほどの一日だ。今季から平尾誠二総監督が率いるコベルコスティーラーズと佐藤体制2年目となったブラックラムズの一戦は、分厚い雨雲に横殴りの雨と、季節を間違えてやってきた寒風に見舞われた。
先制点はブラックラムズが挙げる。キックオフ早々から激しいブレイクダウンの連続で陣地を制圧、ゴール前右でラックを形成し、HO滝沢佳之がさらにその右側に走り込む。ノーホイッスルトライだ。コベルコスティーラーズも負けずに1トライを返したが、そのあとは完全にブラックラムズのペースだった。前半7 分には守備ラインのギャップを突いたCTB金澤良を右後方からフォローしたWTB池上真介がトライ。さらには15分には新戦力のLOエモシ・カウヘンガがセンターライン付近から独走トライを決める。
練習でもっとも「徹底した」(伊藤主将)ブレイクダウンで優位に立った。前半のトライでちびっ子のハートを掴んだ(ファンクション中はサイン攻めに遭っていた)カウヘンガらが健闘し、ターンオーバーも幾度となく奪った。後半も先手こそ奪われたが後半25分のトライで突き放す。佐藤監督が「うちのナンバーワンシューター」と認めるSO武川正敏が左ゴール前5メーター付近から、ゴールラインを少し越えたところへピンポイントのキックパス。雨露に濡れるゴールエリアにFB小吹祐介が飛び込み、26対12。貴重な追加点だった。
その後は"超攻撃的ラグビー"を提唱するコベルコスティーラーズがワントライを返すが流れは変わらなかった。接点でペナルティーを繰り返す相手FWに対し、ブラックラムズは練習に忠実なプレーを貫徹した。さらには冒頭の2トライで突き放しノーサイドを迎えた。会心の勝利に盛り上がるベンチ。佐藤監督は選手やスタッフの一人ひとりと笑顔で握手する。「接点にこだわるという、今やろうとしていることはできたと思います。故郷に錦?…選手に感謝したいですね。昨日も(伊藤)主将が監督に勝利を、と言ってくれたので…」
からっとした声で振り返るのは、自らの判断でダメ押しトライを決めた伊藤だ。主将就任2年目。最初は遠慮もあるにはあったが、今は年上の選手も体で引っ張る。
「ブレイクダウンで優位に立てました。去年は80分間のなかで気持ちが切れてしまうことはあったんですが、今日は80分間気持ちが切れずにできたと思います。だから相手のプレッシャーは感じなかったですね」
試合後、コベルコスティーラーズは一泊して神戸へ戻るとのこと。かたやブラックラムズはバスと新幹線「はやて」を乗り継ぎ、東京へ帰っていった。
「すべては、接点の精度をさらに上げるために」
最後に、雨の寒空のもと、地元青森リコーの社員やリコー関係者の皆さん、大きな声で応援いたきありがとうございました。
応援してくださる皆様に元気を与えられるよう頑張っていきますので、これからも宜しくお願いいたします。
(文・HP運用担当)