ついに2007-2008シーズン開幕
2007.05.26
初戦を大勝で飾るもチームに奢りなし!
目指すは晴れ模様。ブラックラムズはゆっくりで着実な一歩目を刻んだ。
2007年5月20日、灰色の雲に覆われた花園ラグビー場。時折雨も芝を濡らすなか、リコーブラックラムズ対近鉄ライナーズの定期戦が行われた。あいにくの天気だが、ブラックラムズの2007年度ファーストゲームだ。
監督就任2年目の佐藤寿晃監督は、やれることから一歩ずつ、と「決意新た」だ。昨季は11位。「色々なことに手をつけ過ぎて消化不良になった」という昨季の反省から、この試合の焦点もごくシンプルに限定した。
「オフェンスではブレイクダウンでのボールキャリア、サポートの動き。ディフェンスでは新しく取り組んでいるラインの確認」
佐藤監督が掲げたポイント2点を徹頭徹尾貫く。グラウンドの選手たちはそこに注力した。ひとつのブレイクダウンに対して、ボールの置き方やサポートの入る位置など、細部にこだわった。佐藤監督いわく「近鉄さんが5~6人入っていたところにウチは3~4人で」球出しを可能にし、外側での数的優位を作り出した。スピード豊かなバックスリーを気持ちよく走り、前半17、20分のFB小吹祐介などトライを量産した。守っても相手をタッチラインと挟み撃ちにするシャロー気味のラインが機能し、近鉄攻撃陣をわずか1トライに抑えた。スコアは55対7。ブラックラムズは快勝した。
もちろんこの時期の試合、結果はさして重要でない。「ウチのムーブ(基本的な動き方)が崩れたときの対応」という課題も発見したし、「自陣からもっとワイド攻める」必要性も感じたと、佐藤監督は振り返る。
それでも「この時期にやろうとしていたことができた」ことに、まずは満足できているようだ。あれこれ手をつけるよりも着実にひとつづつ課題をクリアする。焦らず慌てず、「もともとそういう性格じゃない」とゲンにも頼らず、静かに階段を登る。佐藤監督は八戸西高校卒業。いいフリこかず(カッコつけず)、粘り強く、東北出身らしくしぶとくチームを強くする。 そしてゴールは日本一。去年の目標は「とりあえず8位以内」だったが、今年はとにかく頂点をめざす。
「やっぱり選手は正直ですから。上を目指さなきゃモチベーション上がらないし、今は日本一の練習をしようとキャプテンも言ってくれています。おかげで選手の意識は変わりました。ひとつひとつの習得が早くなりましたよ。1年目と比べての心境の変化?……うーん。選手を勝たせてやりたいな、という気持ちは強くなったと思いますよ」
ノーサイドの直後、雲は消えてグラウンドにゆっくりと陽が差してきた。雲のてっぺんに上り詰めれば、こんな陽気が待っている。
(文・HP運用担当)